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第2章
「なんとなく」
しおりを挟むしばらく、啓介の事、盗み見ながら、ぼーーと考えていたら。
目の前の啓介が、ふっと、笑い出した。
「啓介?」
「――――……見すぎ」
静かに、でも、肩揺らして笑ってる。
「いつまで見てんのかなーと思うたけど。ずっと見てんのやもん」
「あー……」
また、バレてるし。お前の目はどこについてんだ。
「……何? もう、飽きた?」
「飽きたんじゃなくて、一通り、結構進んだの」
「ふうん? そーなん?」
「うん。そう」
うんうん頷いて見せると。
まだ笑いながら。
「そんで、何でオレに見惚れてんの?」
「べ。べつに。 見惚れてた訳じゃ……」
言いながら、ふい、と視線をそらしてしまう。そんな事したら、バレバレなのに。でも、平気で見つめてる事も出来ず。
案の定、また笑われるし。
「まー……雅己が見惚れてくれてのんは、嫌やないから、ええけど」
「……見惚れてない」
クスクス笑いながら、啓介は、教科書をまとめだす。
「なんか昼食べにいこ、雅己」
「あ、うん」
急いで片づけて、啓介と歩き出す。
図書館を出ると、またいつもの空気感。
「静かなのもたまにはいいけど、やっぱり声出せた方がいいなー」
「せやな」
クスクス笑って、啓介はオレを見つめる。
「午後も図書館行く?」
「うん。いーよ。じゃあここらへんで食べちゃう?」
「んー……せやけどここらへん……ああ、駅前の方行くか?」
「でも今、混んでそう」
「せやなーちょうど昼時か……」
公民館の前の広場に、ベンチと芝生と木陰が見える。
「コンビニで何か買って、あそこで食べよ?」
啓介はオレの視線の先を追って。
「ああ、ええよ」と笑んだ。
近くのコンビニで、おにぎりやサンドイッチと飲み物を買って、ベンチに腰掛ける。
「ここ結構、木陰良い感じ」
「ん。そーやな」
「いただきまーす」
言いながら、おにぎりを頬張るってると、啓介が覗き込んできた。
「今日は鮭?」
「うん」
「いつも鮭かツナやな?」
「うん」
ふ、と啓介が笑う。
「啓介はいつも違うよなー」
「色んなの食べたい」
「ふうん」
「でも結局、いつものがうまいって結論になるんやけどなー」
「うん。啓介はいつもそんな事言ってる」
頷きながら笑ってしまう。
「――――……」
ひとしきり笑ってから。何となく黙ったまま。
おにぎりを食べながら。
「……けーすけ」
「ん?」
「――――……たのしー、な?」
何だかすごく、そう思って。
図書館で勉強して。
木陰のベンチで、コンビニのお昼食べて。
これからまた、図書館で勉強する。てだけなのに。
何だかすごく。
全然特別じゃない、なんとなくの時間。
楽しいなあと思って、そう言ったら。
啓介はオレをじっと見つめて。
「ん、せやな……」
と。なんだかとっても穏やかに笑った。その笑顔に、うん、と、頷いた。
――――……ずっと、こんな風に居れたらいいなぁ。
なんて思いながらの、のんびりお昼時間になった。
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