【やさしいケダモノ】-大好きな親友の告白を断れなくてOKしたら、溺愛されてほんとの恋になっていくお話-

星井 悠里

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第2章

「強敵」

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 その後、卓球をしてから部屋に戻った。
 試合は楽しみだけど、午後からなので、予定通り、今日は、川遊びと、魚釣り。川に入れる用意をして、宿を後にする。

 昨日歩いてた何にもないとこじゃなくて、釣り場と遊び場が出来てる河原迄歩く。釣れた魚をさばいて焼いて食べさせてくる店もあって、まだ朝なのに結構な人でにぎわっていた。

 皆で魚釣りの道具を借りて、川で魚を釣る、のだけど、これが。
 なかなかの強敵だった。

「生餌じゃん!!」
 エサのカップを持って、ひー、と騒いでいると、啓介が、当たり前やんかと言いながら近づいてきた。

「どんなエサやと思うたん?」
「……いや、なんも考えてなかった。そういえば、子供の頃釣りした時は、父さんが全部つけてくれて、オレ、投げるところからやってたっけー」
「いやいや……頑張れや、男やろ」

「いやいや、頑張れるかー!!」
「オレもちょっと無理」

 無理をアピールするオレ派と、全然いけるやろ、いやむしろ、行けや、という啓介派とに分かれた。

「一応やり方教えたるから、どーーーしても無理っちゅう奴は、出来るこっちの皆に、頼むこと」

 啓介が呆れたように笑ってそう言った。
 で、やり方って言っても……うにょうにょした虫に針を刺す。取れないように。それだけ。

「……教えるって……! そんなの刺すだけじゃん!」
 ひー、と文句を言うと、啓介は呆れたようにオレを見た。

「これ以外に何を教える思うたんや?」
「あんまり見ないで刺す方法……!」
「見ないと刺せへんわ」

 また呆れたように言って、啓介が笑う。
 ギャーギャー騒いでると、「あ、居たーおーい」と、階段から、さっきのチームの人達が現れた。

「志門だ。ちょっと持ってて?」
「え? 誰です?」
 オレが生餌を隣にいた涼に押し付けると、刺したくない派の涼は、嫌そうにしながら聞いてくる。

「あとで試合する人たち」
「名前呼んでるんですか」
「うん。聞いてこよ。啓介」
「ん」

 釣り竿も置いて、志門たちの方に駆けよる。

「何かあった?」
「すげー騒いでたね」
「え? ああ、オレ?」
「うん」

 志門と周りの皆に笑われる。

「雅己って、イメージ、ずと変わんないんだね」
「試合中と今とは全然ちゃう話やと思うけど」

 啓介が苦笑いで志門に言った。

「今何してたの? 釣り?」
「そう、釣りして、つった魚、あそこで焼いてもらって食べるの」
「へーすげーそんなのあるんだ」
「志門たちもできるよ、多分。釣れなくても食べさせてくれるらしいし」
「何でそれで叫んでたの? おかげですぐ見つかったけど」
「だって、エサが……! 生餌なんだもん!!」
「……ああ」

 ぷっと笑う志門たちをきっと睨む。

「笑ったけど、できんのかよ! 超きもいぞ、うにうにした虫に針……ひえーやだ、絶対無理……」
「多分オレ平気」
「嘘だろ」

 思い出して、ひいい、と騒いでいたら、また笑われて、ムムッとしてるオレを尻目に、志門と啓介が話し始める。

「夜さ、バーベキュー、一緒にやんない?」
「一緒にできるん?」
「宿で、そっちも夜、バーベキューだって聞いてさ。一緒に出来るって聞いてきた」
「あぁ、えーよ」
「皆に聞かなくていいの?」
「どーせ試合して、仲良くなってるやろうし。反対する奴おらんやろ。な?」

 啓介が笑いながらオレを見つめて、聞いてくるので。

「絶対オッケー! 楽しみだね」

 そう言うと、志門がまた笑う。

「ほーんと、あん時のままだね、雅己」
「確かに」
 志門の言葉に周りの奴らも頷いてて、オレはちょっと複雑。
 だって、あん時って。
 オレがけーすけって呼びまくってたという時でしょ。うーん。

「元気なイメージそのまま」
 クスクス笑われて、あ、そっちならまあいっか、とちょっと笑顔で、そう?と返す。

「じゃあ、昼過ぎに少し腹ごなししてから、試合なー! で、夜はバーベキューで」

 そんな風に志門たちは言いながら、じゃーなーと離れていった。


「うわー、なんか余計楽しみになってきたね」
「せやな」

「……んー。ていうか、まず餌をどうするか考えないと……」
「やってやろか?」
「……それも悔しい」

 言ったら、はは、と啓介に笑われる。

「ほしたら、思いきればええだけやて」
「それが出来てたら、オレだって騒いでないんだよー!」

 もー、と文句を言いながら、釣り竿の元に戻って歩き始めた。

 
 
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