【やさしいケダモノ】-大好きな親友の告白を断れなくてOKしたら、溺愛されてほんとの恋になっていくお話-

星井 悠里

文字の大きさ
238 / 255
第2章

「来て良かった」

しおりを挟む

 途中一瞬だけ冷や冷やしたものの、それ以外はすごく楽しんで、バーベキューが終了に近づいていく感じ。
 もう焼くものも無いし、皆お腹いっぱいって言ってるし、あーなんかもう終わっちゃうのか、寂しいなあと思った時、宿の人達が「もう食べ終わりましたか~?」とか言って、やってきた。皆で「ごちそうさまでしたー」と揃う。



「じゃここ片付けちゃいますんで……えーと、こちら、用意していた分です」
「あ、どうも、ありがとうございます」

  啓介が何か、おっきな紙袋を受け取っている。

「むこうの広いところでどうぞー」
「あ、これバケツです。そこの水道使ってください」

 なんだろー? と皆が見てる。
 オレは我慢できなくて、啓介の近くに小走り。


「なになに?」

 そう言ったら、バケツの一つを渡された。

「何人かバケツに水入れて、あっちまで持ってって」
「何なの? あっもしかして……」

「せや。花火」

 ニヤ、と笑う啓介に、寂しくなってた気持ちが、ぱぁぁぁと明るく輝いたみたいな。

「やったーありがとー!」

 わーい、と啓介にぴょん、と抱きついて、一瞬で離れる。

「要―、水入れに行こ―!!」
「水―?? あ、花火?」
「そうだってー!」

 わーいと、同じように盛り上がった皆で、バケツを手分けして、花火を持ってる啓介の後ろに、ついていく。

「やったーやったー」

 弾みながらそう言ってると、啓介がオレを振り返って、「がきんちょか」とクスクス笑う。でも啓介も楽しそうな顔してるので、まあ良し。
 ていうか、今は何を言われても、楽しいから全然オッケイなのだ。

 啓介が紙袋から花火を出すと、紙袋を敷いて、その上に花火を並べた。
 
「もう袋からは出してくれてるんだね」
「そうみたいやな」
「花火袋から出すのめんどいもんねーセロハンテープとかすっごいついててさ。子供ん時、早く花火したいのに取れない―ってなってた記憶がある」
「まあ、花火やからな。袋んなかで動いても危ないやろうし……ちゅーか、子供ん時やなくて、今も雅己はそうなってるやろ」

 啓介に、可笑しそうに笑われて、視線を合わせて、ん、と頷く。

「うん。 早くやりたい」
 わくわくする。花火、去年の夏以来だもん。

 すぐに花火専用のろうそくをいくつかばらけて置いた。

 花火の先に火をつけると、ふわ、と炎が燃えて、しゅわ、と音を立てて、光る。音と光。すごく、綺麗。

「啓介、花火ー!」
「ああ。綺麗やな」
「うんうん!」

 少し広い方に移動して、花火をじっと見つめる。

 皆がやりはじめて、すごい煙と、光。
 
 めっちゃきれー。
 手に持った花火をちょっとくるくるまわして、光の残像を追って楽しんでいると。

「雅己」

 啓介に呼ばれてそっちを見ると、写真を撮られた。

「は。良い写真」

 クスクス笑って言う啓介に、「あとで見せてー」と笑うと、啓介が頷く。

「皆も撮ってくるわ」
「うん。あ、なあ啓介」
「ん?」

「花火ありがとー。なんかバーベキューもう終わりかーって寂しかったから、すっごいテンション上がった」
「――――……」
「あ、終わった」

 持ってた花火が終わって、バケツに入れてると、啓介が近づいてきた。

「ん?」
「抱き付いてきたもんな?」

 囁かれて、ぱ、と顔を見る。抱き付いたっけ? と考えてから。

「あ、さっき? ああ、だって嬉しくてー」
「……お前今、抱き付いたか考えたやろ」
「あ、バレた」

「お前、ほんま、それ他の奴にすんなや?」
「しないよー……多分」
「多分て……はー。もうオレ、写真撮ってくるわ」

 何だかちょっと呆れたように、でも笑う啓介に、オレもクスクス笑いながら。

「あ、オレも皆のこと撮っとくね~」
「頼むわ」
「はーい」

 バイバイ、と手を振って、皆の撮影にいった啓介を見送る。


 抱き付く……。
 うーん。オレ、割と高校ん時の部活、やってた気がする。
 さすがに大学ではそんな人に抱き付くようにこと無かったけど。だから多分、久しぶりにあんな風に抱き付いたんじゃないかなあ……よく覚えてないけど。

 他の奴にはしないほうがいいみたいだな。うん。
 
 ていうか。
 ほんと、啓介ってば、ヤキモチ焼き。
 ぜーんぜん、オレには意味ないのにな。なんて思うと、ちょっと可笑しい。

 絶対オレ、そういう意味で好きなのも、触るのも、
 啓介だけなんだけどな。とか思うと、くすぐったくて、笑っちゃう。



「あ、その花火、超きれー、こっち向いて!!」
「おー」

 綺麗な花火と、楽しそうな皆を撮ったり。
 オレも花火いっぱいして、撮ってもらったり。

 旅行、来て良かったなぁ、としみじみ思った。
 
 
 

しおりを挟む
感想 74

あなたにおすすめの小説

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった

ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン モデル事務所で メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才 中学時代の初恋相手 高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が 突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。 昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき… 夏にピッタリな青春ラブストーリー💕

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

こわがりオメガは溺愛アルファ様と毎日おいかけっこ♡

なお
BL
政略結婚(?)したアルファの旦那様をこわがってるオメガ。 あまり近付かないようにしようと逃げ回っている。発情期も結婚してから来ないし、番になってない。このままじゃ離婚になるかもしれない…。 ♡♡♡ 恐いけど、きっと旦那様のことは好いてるのかな?なオメガ受けちゃん。ちゃんとアルファ旦那攻め様に甘々どろどろに溺愛されて、たまに垣間見えるアルファの執着も楽しめるように書きたいところだけ書くみたいになるかもしれないのでストーリーは面白くないかもです!!!ごめんなさい!!!

過保護な義兄ふたりのお嫁さん

ユーリ
BL
念願だった三人での暮らしをスタートさせた板垣三兄弟。双子の義兄×義弟の歳の差ラブの日常は甘いのです。

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

処理中です...