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第2章
「平和すぎる?」
しおりを挟む綺麗な庭園の夜景を楽しんでから、啓介と部屋に戻った時にはもう皆、寝てた。静かに奥まで歩いて、オレが先に布団にごろーんと転がると。全員動かないのを確認した啓介が、ちゅ、とオレにキスしてきたりして。こらー!と睨むと、スリルって楽しいな、とか笑う啓介。もー!と静かに怒ったまま、お布団をかぶる。
すると、啓介がすぐ近くに寝転がってきて、目が合うとふ、と笑う。
「おやすみ」
囁かれて、ん、と頷く。自然と微笑んでしまうから、不思議。
翌日。皆で朝風呂入ってのんびりしてから朝食。
バイキングはやっぱり楽しい。
帰る途中で、アスレチックに寄ることになってるから、朝食が終わるとすぐに荷物を片付けて、フロントに向かった。
志門たちが玄関のところまで見送りに来てくれた。
たった一日、過ごしただけなんだけど、旅先で会ったからか、なんだかちょっと特別。
「またバスケしようね」
「おー絶対なー。またなー」
もう連絡先も交換してあるし、同じ県内だし、どこかでバスケしようって、再会を約束して別れた。駐車場のバスに向かいながら。
「会えてよかったよなー。試合もできたし、楽しかった」
「そうだね」
要と話しながら、楽しかった試合や、夕食や花火を思い出す。二泊三日。色んな事した思い出が残ってるから、長くも感じるのだけれど、でも、あっという間だった気もするなあなんて考えていたら要が「なんかさあ」と言いだした。
「二泊三日て、短いよな」
「あっ分かるー! オレもそう思ってたとこ」
「まあ雅己は特に、目いっぱいだったから、余計短く感じてそう」
クスクス笑う要に、「そう?」と聞くと。
「だってなんか石投げも大会でもしてんのかって感じだったし、バスケも、うちらより先に啓介とやってたりしたし、練習も、くそ暑いのに死ぬほど走ってたし。釣りも、なんか虫との格闘がすごすぎて」
言ってる最後の方、ぷーと吹き出した要に、クックッと笑われている。
「そんな笑わなくても……あ、でも忘れてた、石投げるやつ、啓介とリベンジしようと思ってたのに!」
しまったーと悔やんでると、「まだやろうとしてたの」と、要にますます笑われる。
バスのところで運転手さんと話してた啓介の顔が見えた。バスの外側から、荷物入れに大きな荷物を詰め込んでから、バスの入り口の啓介のところに行く。
「啓介、石投げるやつ、もう一回やりたかったのに忘れたー」
そう言うと、啓介は、ああ、と笑いだす。
「また今度しよな?」
クスクス笑いながらオレの背中を、ポンポンと叩く。その様子を要がクスクス笑いながら見てる。
「もう中乗って座っといて」
啓介に言われて、バスのステップに足を掛けながら、ふと、啓介を振り返って、「啓介、隣くる?」と聞くと。
「んー? ああ、アスレチック迄やから、もう奥から座ってってええよ」
すぐつくから、隣じゃなくてもいいってことか。
……ていうか、まあ、こういう時絶対隣ってこともないんだけど。つい聞いてしまった。こういうのを、まわりで聞かれるから、オレが啓介を大好きってことになるのかもなあ、と思いながら、バスを奥まで進んで、空いてるところに座った。後ろからきた要が、隣に座ってきた。
「要、窓際の方がいい?」
「別にいいよ」
クスクス笑いながら、首を振ってる。腰に回すシートベルトをしめて、ちゃんと背もたれに背をついて座ると、要がオレを見て、ふ、と笑った。
「何?」
「それ聞くのって、雅己が窓際の方がいいと思ってるからだよね?」
「え? あー。うん、そうかも。景色、見えるじゃん?」
「窓際の方が良いってオレがいったらどうしてたの?」
「えー?……場所、かわったかな?」
「窓際の方が好きなのに?」
「……そんな深く考えてなかった。普通に聞いて、要がうんっていったら、チェンジしたと思うけど。何で?」
そう聞くと、要はクスクス笑って、肩を竦めさせた。
「雅己のいいとこだなーと思って」
「……席かわるとこ?」
「違う……」
呆れたように笑われて、クスクス笑う。
「なんか居心地いいんだよねー。雅己のそば」
「え、それ言ったら、オレも、要のそば、居心地いいよ?」
「そう?」
「うん」
「そっか」
二人で、そうだよーなんて言って、あははーと笑ってると。前に座ってた先輩達が、振り返ってきて。
「平和すぎる会話が後ろから聞こえてきた」
「お前たちみたいな性格のが全人類だったら、平和だろうなあ」
なんて言われて、はて? と首を傾げつつ。
何となく要と顔を見合わせて笑った。
(2024/8/9)
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