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しおりを挟む――シグは、ふ、と笑った。
可愛すぎる。
いつもは、オメガと思えないくらい強気だし、元気なのに。
なにあの耳。ぺしょ、て潰れてる。おびえてんのか?
……可愛いな。抱きしめたい。
「オレ、ノヴァのこと、前から」
つい口をついて言いかけたシグに、ノヴァの耳がぴくん、と立った。
びっくりした顔をしている。
「――」
――ヒートの時に言っても駄目だよな。
そこで言葉を切って、ノヴァを見つめた。
「また今度、言うよ」
そう言って、シグはノヴァの近くに立つ。
自分の着ていた制服の上着を脱いで、ぴく、と震えるノヴァの頭に、そっと掛けて、隠した。
「――見ないから。襲わないし。ちゃんと我慢する」
「……っ」
「可愛くてたまんないけど、な?」
綺麗にウィンクされて、ノヴァは、ぽかん、と呆けた後。
「か、かわいくないっ」
噛みつくみたいに言うけれど、上着の下の耳は、ぴょこんと立ち上がってて、ぴくぴく動いてるのが見て取れる。
これは、嬉しそう。てことかな。
シグは、笑いを堪えながら、ノヴァから感じる甘い匂いに苦笑する。
――反則級に、愛おしい。
「いつもそうなるのか? 耳」
「ん……だから、学校は休んでる」
「そっか……もしまた学校で出そうになったら、オレを呼んで? その可愛いの、他の奴には見せたくない」
「え……」
しばらく無言のノヴァは。「うん――分かった」と呟くように答えた。
その時。下からも、ぴょこん。
「ノヴァ、しっぽも、出てる」
「っ……こ、これは……」
ズボンから出てしまったしっぽを隠そうと思うけれど、それもまた今さらで。――ノヴァは上着の中で、また、しゅんとしょげている。
「……ヒートの時、よくでちゃうの。やっぱり、おかしいよね、これ」
しょんぼり言うノヴァ。
シグは、「え?」と声を出して、それからすぐに続けた。
「何で? おかしくないよ。死ぬほど愛しいし、撫でたいし、触りたい」
「……は? ……っっな……なに、いって……」
上着をかぶったまま、シグを見上げるノヴァの顔が、どんどん赤くなっていく。
「――けど今日は、我慢する。そういうのはちゃんとしてから、だよな」
上着越しに、ぽふぽふ、撫でる。すると、耳も尻尾も、再びぴよぴよ元気に揺れ始めた。
「なに? 嬉しいの?」
「ち、ちがうし」
焦って否定するノヴァに、シグはそれ以上は何も言わない。
もう誰もいない校舎。校庭から、部活動の声が遠く響いている。
「ヒートの間って、ずっと出てるのか?」
「ううん。ずっとじゃなくて。ひっこんだり、出たり…………」
「そうなんだ。――つか、ほんと、可愛いな。」
「っ……だから、可愛くないし」
ノヴァはそんな風に強がって言うけれど、さっきまでぺしょっとなってた耳は、ぴょこんとして、ぴくぴく元気だ。
黒い耳は、中側がうすいピンク色。
強がってるのに、どこか甘い。――ノヴァみたいだ。
シグは、顔が綻ぶのが止まらない。
「家まで送ってやるから。耳としっぽ、ひっこんだら帰ろ」
「……うん」
「まあひっこまなかったら、車呼んで送るし。いいよ、ゆっくりひっこめてみて」
めちゃくちゃ優しくシグが言う。
ノヴァは、ドキドキしっぱなし。
まだヒートなりかけとは言っても、フェロモンは少しは感じるだろうし、辛いだろうに、ちゃんと我慢してくれて、優しくしてくれる。
しかも、抑えられなくて出ちゃうのは、みっともないって思ってたのに。……可愛いって言ってくれた。
そういえば、モテるけど、遊んでるって噂はないかも……なんて、ふと気づいたりする。
しばらく経って、耳としっぽがひっこんで、今のうちに帰ろうってことになった。頭にかけてくれていた制服を、シグに差し出す。
「これ、ありがと」
「あぁ」
くす、と笑って、制服を受け取ったシグ。
いい匂いの制服――もうすこし、持っていたかったな、なんて咄嗟に思ったノヴァは、すぐにはっと気づいて、ぷるぷる首を振る。
「いこ、ノヴァ」
そう言われて、静かな廊下を、二人で歩く。
昇降口で靴をはいたところで、シグが手を差し出した。
「ノヴァ、手、つなぐ?」
「な、なんで……や、やだし」
あわてふためきながら拒否るノヴァ。
でも校門を出たところで。
「ちょっとなら繋いでも……いいよ」
そんな言い方に、相好を崩しながらシグが手を出すと、小指を握るノヴァに。
あんまり可愛すぎると襲うぞ、と、シグは心の中で、ため息をついた。
✨Fin✨
短編、お付き合いくださり、ありがとうございました♡
長編にするなら、出会いからかな(*´艸`*)💕
バレそうになるのを隠してあげるシグとか。
「ありがと」てノヴァが言ったら、シグは「オレが絶対見せたくないだけ( ̄ー ̄)ニヤ」とか💙笑
はっ。長編にするならR18だな…( ´∀` )
ここを見てる18歳未満の方は、長編版は大人になった時に…✨
この二人可愛いと思っていただけたら🩷
感想欄(^O^)/とか いいね🌟とかで
よかったらリアクションいただけたら嬉しいです(*'ω'*)💖
(2026/1/24)
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Madame gray-01さま♡
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え、超絶可愛い話始まったーー(((o(*゚∀゚*)o)))
て思ったら完結!Σ( ̄□ ̄;)
ネコ科の耳の動きの描写好き過ぎる
続きプリーズ!
ツイノベ読んでなかったんですが引き続き読んでる方に配慮されるなら可愛くてたまんないのにシグが耳やしっぽに翻弄されながらも卒業するまでは!と血の涙で我慢する日々とかどうでしょ?
気長に待ってますぅ(^o^)/
kuronekoさま♡
超絶可愛いってうれしい~🥰ありがとうございます🥰
耳やしっぽの描写を気に入っていただけて嬉しいです。
今後どうなるかは未定ですが、またお届けできたらいいなと思っています(*´艸`*)💕
終わっちゃった😰🌀可愛かったです(ノ≧▽≦)ノ
ねぇねさま♡
読んでくださってありがとうございました。
可愛いと思っていただけて嬉しいです。
短編だったので、すみません🥰