【FairyTale】 ノンケ同士×お互い一目惚れ。甘い恋♡

星井 悠里

文字の大きさ
10 / 236
第1章

◇花見*拓哉

しおりを挟む


 最初行くのをやめようと思っていた花見。
 織田が、「高瀬が行くなら」と言うので、参加を決めて。

 一緒に課題を終えて出発して、一緒に着いたから、当然隣に座った。

 織田と酒飲むの、初めて。
 ちょっと顔が赤くなる程度かな。まだ、2本目だからそんなもんか。


「……超キレイ」

 そんな声が聞こえて織田に目をやると、ぼんやりと桜を見上げている。桜に癒されに行く、とか言ってたから、桜が好きなんだろうなと、思ったが。

 少し赤くなって、ほんわかと桜を見上げてる織田に。
 ふっとぎる気持ち。


 ――――……可愛い。とか。
 ……何で、思うんだか。


 ――――……大体にして、素直すぎ。


 多分入社式で、一目惚れ?……多分、された。
 もうそうとしか、思えない表情と視線だった。

 その時、オレにとっては、面白い奴。ちょっと可愛い、小動物みたいな、という印象。

 かっこいーすごーい、てな視線と。
 少し見つめるとものすごく動揺するし。


 入社式の翌日からの、新入社員研修。同じグループになって。
 もう、ひたすら懐かれてる。

 高瀬すごい、さすが高瀬、高瀬助けて、いややっぱ自分でやる、でもやっぱり助けて。ありがとう高瀬。

 ここらへんの言葉、この数日で、一体どれだけ聞いてるか。
 
 
 どうしてもダメな時だけ助けを求めてくる。
 丁寧に説明してやると、わりとすぐ理解して、そこからは自力で頑張ろうとしてる。

 これが全部頼られて、全部教えて、だったら、面倒臭かっただろうけど。
 ……織田のは、可愛い。

 頑張って、一生懸命だから、頼られた時は、助けてあげたくなる。


 オレの自己評価と、昔から仲の良い奴からの評価は、多分、一致してる。

「クール」「面倒くさがり」「淡泊」「冷静」

 多分最初に出てくるのはきっと、こんなとこ。基本、冷めてる。あんまり熱くなったりしないし、動揺も、しない。
 「優しい」とかを最初に言う奴は居ないと思う。

 なのに、織田は、「高瀬優しい~」「なんでそんな良い奴なの」と、事あるごとに言ってくる。
 何言ってんだろ、と思うけれど。

 ……織田から見たオレは、もしかしたら、そうなのかもしれない。

 何でか構いたくなって、何でか優しくしてしまう。
 織田を見てると、自然と、笑顔になってしまう気がする。

 一目惚れされて、懐かれるとか。
 しかも、男に。

 普通に考えたら、嫌悪以外の何の感情も沸かないんじゃないかと思うのに。
 何故か。

 全然真逆の気持ちしか沸かない。


「高瀬、今週、いっぱいありがと」
「ん?」

「なんかいっぱい、助けてもらった気がするから」
「……んな事ないよ。それ、オレのセリフ」


 織田が居るおかげで、すげえかったるかった研修が、ひたすら楽しいし。
 ――――……もともとは、研修内容が基礎からで、知ってる事が多い事もあって、1カ月もの集合研修なんて物凄くだるいと思ってたのに……。

 そんな風に思って織田に言ったセリフは、織田にとったらすごく意外だったみたいで。 へ??とものすごく不思議そうな顔で、オレを見上げてくる。

「オレ、高瀬、助けてないよ?」

 そんな風に言って不思議そうなのが――――…… 可愛いとか。
 
「助けられてるから」
「……なにも思い当たらないんだけど」

「いーのいーの。 お前が同じグループでほんと良かったよ」

 そう言うと、織田は、まだ少し不思議そうにしながらも、嬉しそうに笑顔になる。

 こういうとこ。だよな。
 人の好意、めちゃくちゃ素直に受け取る、というか。

 嬉しそうに笑うとこ、とか。


 そんな話をしていたら、織田は後ろの男連中に呼ばれ、オレは女子に囲まれた。 しばらく、そのまま、それぞれを相手しながら、時を過ごす。

 冷やかしでついてきたっぽい子は置いといて。
 彼女が居るのかとか、好きな子のタイプとか。多分本気で聞かれてる。

 適当に流しながら答える。
 ――――……まあ同期の女子と初っ端からそんな関係なんてありえないっていうのもあるけど。それだけじゃなくて、何だか、今、全く興味を持てなくて。
 思わず、好きな子は居るんだ、と一線を引いてしまった。

 
 一通り色んな奴と話し終えて、2時間位経過。
 オレに背を向けた形で周りと話して笑っている織田に呼びかけた。
 振り返った織田に、一緒に帰るか残るか聞くと、即決で一緒に帰ると言った。

 楽しそうに話していたから置いて帰っても良かったのだけれど。
 でも、一緒に帰るとすぐ言った織田に、何だか嬉しい気がした。
 
 すぐに立ち上がった織田と一緒に、皆に別れを告げて、桜の下を歩き出した。

 織田と、モテるとかそんな話になった時。
 学生時代は彼女が居ない時が無かったと、織田が何気なく口にした。

 ふーん、と思ったのは。
 「彼女」なんだな、と言う事。

 てことは、もともと男が対象な訳じゃないんだな、と。
 まあでも、そんな感じはしてた。

 女に普通に人気ありそうだもんな。
 可愛い顔してるし。いや、女から見たら普通にカッコいい方だろうし。明るいし、人懐こいし、モテそう。


 ――――……でも。
 ちょっと見つめると、狼狽えるし、顔赤くなるし。


 なんなんだろ、この反応。
 ……すげー可愛く見えるんだけど。


「高瀬、土日は何してんの?」
「今週末は土曜だけ飲みに行く位」
「じゃゆっくりしてるんだね」
「最初の週もっと疲れるかと思ったから」

「え、疲れてないの?」
「ああ、思ったほどじゃなかった」

 というか、織田が居たから、精神的に楽しくて、疲れなかった。
 としか、思えないけど。

 そんな事をオレが思っているとは知らず。

「え゛え゛ー。オレ、めっちゃ疲れてるけど。 主に頭……」

 使いすぎた、と言いながらも、楽しそうに笑ってる。


「あのさ――――……もしさ、高瀬が良かったらさ」
「ん?」

「今度、週末遊んだりもしない?」
「――――……」

「っあ、同期で、ね?」

 オレがとっさに返事をしなかったら、織田は慌てたように付け加えてきた。
 

「いいよ」
「あ、ほんとに?」

 嬉しそうに笑う織田に。


「織田と2人でも、いいよ?」
「え。……ほんとに?」

「織田が同期と皆でって言うならそれでも良いし」

 何て答えるかなと思って、そう言ってみると。

「うん。もちろん、皆でもいいし――――…… 高瀬が良いなら、2人でも遊びたい」


 はは。
 ――――……超、素直。


「いいよ。何して遊びたいンだ?」

 
 嬉しそうに笑う織田に、ふと、頬が緩む。

 なんかな……。
 やっぱり、織田の笑った顔に、すげー弱いのかも、オレ……。


 ライトアップされた桜は、とても美しくて。
 不思議な位、綺麗で。


 まだまだずっと、この道が続けばいいのに、なんて。
 柄にもない事を、思った。


しおりを挟む
感想 73

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
 漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。  漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。  陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。  漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。  漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。  養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。  陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。  漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。  仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。  沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。  日本の漁師の多くがこの形態なのだ。  沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。  遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。  内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。  漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。  出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。  休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。  個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。  漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。  専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。  資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。  漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。  食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。  地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。  この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。  もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。  翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。  この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

BL短編まとめ(現) ①

よしゆき
BL
BL短編まとめ。 冒頭にあらすじがあります。

貢がせて、ハニー!

わこ
BL
隣の部屋のサラリーマンがしょっちゅう貢ぎにやって来る。 隣人のストレートな求愛活動に困惑する男子学生の話。 社会人×大学生の日常系年の差ラブコメ。 ※この物語はフィクションです。 ※現時点で小説の公開対象範囲は全年齢となっております。しばらくはこのまま指定なしで更新を続ける予定ですが、アルファポリスさんのガイドラインに合わせて今後変更する場合があります。(2020.11.8) ■2025.12.14 285話のタイトルを「おみやげ何にする? Ⅲ」から変更しました。 ■2025.11.29 294話のタイトルを「赤い川」から変更しました。 ■2024.03.09 2月2日にわざわざサイトの方へ誤変換のお知らせをくださった方、どうもありがとうございました。瀬名さんの名前が僧侶みたいになっていたのに全く気付いていなかったので助かりました! ■2024.03.09 195話/196話のタイトルを変更しました。 ■2020.10.25 25話目「帰り道」追加(差し込み)しました。話の流れに変更はありません。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった

ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン モデル事務所で メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才 中学時代の初恋相手 高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が 突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。 昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき… 夏にピッタリな青春ラブストーリー💕

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

処理中です...