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第2章
◇決意*圭
しおりを挟む思わず、俯いていると。
そんなオレの横で、先輩は、うーん、と唸って。その後、ぶつぶつ言い始める。
「つうかさー、あいつ、可愛いはずねえんだよなー。オレらより仕事できそうだし、背ぇ高いし、足なげえし、顔いいし、すげーモテるし、何なのあいつ」
「……先輩…… 超ほめてますけど」
すごくすごく嫌そうに高瀬をほめちぎっている先輩に、思わず、苦笑い。
「……まあそんな感じで、新人2人を、オレらは受け入れてるって事でさ。とりあえず、お前は、さっさと高瀬と元通りになってこいよな」
「――――……」
……元通り……
元通りといっても。
――――……あんな事になる前には、やっぱり、もう、戻れないから。
高瀬と、そういう風に付き合うんじゃない限り、プライベートでは一緒に居られない。
そう思うと、胸が痛くて、死にそうになる。
高瀬と絡むと心臓の動きが速すぎて、ドキドキしすぎて、死ぬかもって思ってたけど……あれは、だた嬉しくてドキドキしてただけで……。
今は、逆に心臓が、ほとんど動いてないんじゃないかと、思う位。
なんか、冷たい。
黙ってるオレを見て、先輩は、ふ、と笑んだ。
「―――……つか、大丈夫だよ。どんな喧嘩したって、怒らせたって、高瀬がお前を嫌うなんてねーから、きっと。オレにはそうとしか見えない」
「……先輩、なんでそんなにいい人なんですか……」
……泣きそう。
「頑張ればその内、お前も高瀬と肩並べて働けるようになるって。良いコンビになると思うからさ。まあ、頑張れよ」
「――――……」
先輩の笑顔に、はい、と笑って頷いた。
その時。机に出ていた先輩のスマホが震えだした。
「……あ」
「……彼女さんですか?」
「ん、悪ぃ、ちょっと電話してくる」
オレが頷くと、先輩はスマホとともに席を外した。
ふ、と息をついたその時。
オレのポケットのスマホが、ぴこん、と鳴った。
ディスプレイを見ると、そこには、高瀬の名前。
「――――……」
今家ついたから。電話、いつでもいいよ。
そう、入ってて。
――――……何だか、その瞬間。
思わず、泣きそうになって。
そこに先輩が戻ってきた。
「悪い、織田」
「え?」
座ろうとせずに、上着を手に取った先輩を不思議に思って見上げると。
先輩は、顔をしかめて見せる。
「彼女から呼び出しかかった」
「……呼び出し?」
「……食事の約束してたの、すっかり忘れててさ。 今すっげえ怒ってる……」
「え゛え゛……?何してるんですかー??」
「完っっ全に忘れてた。つーか、眠りながら約束してたみたいで。今からダッシュで向かうしかねえな、こりゃ……食事途中なのに、ごめんな」
「いえいえ。 急いで行ってあげてください」
「おう」
クスクス笑いながら立ち上がったオレに、先輩もふ、と笑った。
「全然食ってねーし、途中だし、オレおごる」
言ってくれた先輩に、礼を告げる。
何度も飲みに連れてきてくれて、何かしら理由をつけて奢ってくれる。出すと言っても、頑なに断られるだけなので、最近はそう言ってくれてる時は素直に好意を受け取る事にしていた。
一度そこらへんについて聞いたら、先輩の先輩がいつも奢ってくれたらしく、それをマネしてるだけ、との事で。
だから、お前も、後輩できたら、たまに奢ってやれよ。と、その時聞いた。
ほんとよく気が付く、優しい人。
マンツーマン指導の先輩が、この人で良かったなーと、仕事中も、仕事外でも、いつも思う。
2人で店を出て、店の前で別れる事になった。
「ほんと悪いな? 早く、仲直りしな?」
「はい。ありがとうございました。先輩も彼女さん、頑張ってくださいね」
「……頑張ってくる」
苦笑いの先輩に。
「オレも来週は仕事、ちゃんと頑張ります」
「おう♪ またな~」
言って、手を軽く振ると、先輩は軽く走り始めた。
消えていく後ろ姿を見送って。
それから、すぐ。
オレは、スマホを取り出して。
さっきの高瀬のメッセージを見て、数秒。
電話をかけずに握り締めて、早足で、歩き出した。
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