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第2章

◇幸せすぎ*圭 4※

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「――――……辛そうだから一回イかせるよ……」
「……っ……」

 後ろから回ってきた熱い手に包まれて。
 と思ったら、すぐに翻弄されて。あっという間に、イッてしまう。

「……っ……っ……」
「――――……織田……」

 高瀬と向かいあうように立たされて、何度も優しくキスされる。上がった息が少し、落ち着いてきた時。


「……高瀬……オレ……」

 高瀬の腕に触れて、すこしだけ、唇を離した。

「……オレ、高瀬じゃなかったら、何かされそうになったら暴れるし」

 まっすぐ見上げて、高瀬の顔を見つめる。

「高瀬だから……今は、しないだけだから……」

 まっすぐ高瀬を見つめて、そう言った。


「――――……可愛い事言ってもダメ……」

 高瀬はそう言って。む、と口を閉ざしたけれど。
 すぐに、むぎゅ、と抱き締めてきた。


「……って……だめじゃないな……」

 高瀬は、胸の中にオレを取り込んで。くっと笑いだした。


「……もうちょっといじめようと思ってたのになあ……」
「――――……」


「……ずるいなー、織田……」

 クスクス笑って、高瀬が、オレの頬に手をかける。
 そのまま、ぶに、と頬を引っ張られる。


「……でも、気が気じゃなかったのは、ほんとだからな。あと、飲みすぎ」
「……ごめん……」

 謝ると、高瀬はふ、と笑った。


「ん。――――……風呂はいろ」

 高瀬に手を引かれて、浴槽に入る。

「……ここで入るの初めてかも」
「いつもシャワーだもんな。おいで、織田」
「……しかも一緒にとか……すごい照れるんだけど……」

 高瀬が座った前に、座らされる。後ろから抱き締められてる感じになって、かあっと赤くなる。

「……ここまで赤いけど」

 くすくす笑ってる高瀬に、ちゅ、と首筋にキスされる。
 しばらくちゅっちゅとキスされて遊ばれて。

 むぎゅ、と後ろから抱き締められて、少し落ち着いてから、ちら、と後ろの高瀬を振り返った。

「……なー、高瀬?」
「ん?」

「……ちょっと……ていうか、すごく、不思議なんだけどさ」
「うん」

 高瀬が後ろからオレと視線を合わせてくる。

「……高瀬ってさ、オレがさ」
「うん」

「男と、ほんとにそんな事になると、思ってるの???」
「――――……」

「……オレが、高瀬以外の、男と、だよ??」
「――――……」

「思ってるの?」

 なんでずっと無言なんだ。
 振り返ったまま、高瀬を見つめると。高瀬はふ、と苦笑い。

「――――……酔っぱらってて、あれあれ?てなってる内に、そーなっちゃった、て事はあるかもって」
「っうそだろ、そんな訳ないじゃんっ」

 て事は、さっきのも本気で言ってたのかとかなりびっくりしているのに、高瀬はさらに続ける。

「相手が、モロその気で、織田が超よっぱらったとこを連れ込まれて……て事なら、あるかもって思ってるかなぁ……」

 そんな風に言われてしまい。
 くるっと振り返って、真正面から、高瀬を見つめる。

「無いから。絶対。 ……ていうか。オレ相手にモロその気の奴、なんてそもそも居ないから」
「――――……だからさぁ、織田」

 頬を両手で挟まれて、ぐい、と間近まで引かれる。

「オレ、お前にその気になるだろ?」
「――――……」

「……もともとはオレ、男に興味なかったし。オレがその気になったんだから、他の奴だって、そうなるかもしれないだろ」

「………んー……」

 ……えー。そうなのかな……。

 オレが高瀬の事好きすぎて、好きって見続けて、慕いすぎて、それで高瀬はオレを意識して、気に入ってくれたんじゃないのかなと、オレは思うんだけど……。 


 だとしたらだよ?

 ……オレの事を普通に好きになる男なんて、居ないと思うんだけどな。


 と思う、とかじゃなくて、居ないな。うんうん。




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