最低最悪な魔法使い

shishamo346

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皇帝の過去の失態

嫉妬と執着

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 伯爵令嬢レンガは生きていた。虫の息であったが、適切な治療により、どんどんと回復していった。
 騎士ハイターはというと、皇族に向かって剣を向けたので、捕縛され、牢にいれられていた。牢に入って、頭も冷えたのだろう。様子見に行った私を見ても、ハイターは落ち着いていた。
「すまない」
「私はレンガには手を出していない。が、迫ってきたら、手を出していたな」
 来る者拒まずだから、仕方がない。
 だけど、結果的に、私はレンガには手を出していないのだ。だから、胸を張れた。
「レンガは、学校では、散々、そう言われてたと聞いた。レンガ、言ってもくれなかった。言ってくれれば」
「レンガはまだ生きている。が、意識が戻らない。もう、目覚めてもいいはずだ、と言われているんだがな」
「そうか。だが、これでは、結婚、出来ないな。爵位だって、もう、授与出来ない」
「それが、そういうわけにはいかないんだよ」
 私は笑ってしまう。公爵リンドは、本当に腹黒い。
 契約なんて、本来、妖精を使って行わない。とても危険だからだ。しかし、リンドはあらゆる可能性を見ていた。
 レンガの親兄弟は、間違いなく、契約を守らない。
 真実を知ったハイターは、絶対に間違いを侵す。
 この二つの危険性を読んで、公爵リンドは、あえて、妖精の契約を使ったのだ。しかも、皇族である私の繋がりを利用して、筆頭魔法使いテラスまで巻き込んだのだ。
 契約は絶対だ。契約の上で認められたことは、どんな問題が起こったからといっても、守らなければならないのだ。
 逆にいえば、ハイターは絶対に、侯爵位を授与しないといけないのだ。
 すでに、契約の上で、ハイターは貴族位の授与は認められている。だから、ハイターがその後、問題を起こしたとしても、貴族位の取り消しは出来ない。それほど、妖精の契約は恐ろしいのだ。万が一、ハイターの貴族位を取り消したら、帝国は何らかの災いに見舞われるだろう。
 リンドは、邪魔となるレンガの親兄弟から身内まで排除するためにも、この妖精の契約を利用した。レンガの親兄弟は、レンガとハイターとの婚姻を人前で拒否したのだ。多くの観衆の面前で行った契約違反は、レンガの親兄弟から身内まで呪ったのだ。妖精は自尊心が高い。そんな妖精が認めた契約である。それを人間ごときが拒否することなど、妖精が許すはずがないのだ。こうして、レンガの親兄弟から親族まで、妖精の復讐を受けて、生きたまま、地獄を見ることとなった。
 ただ、この妖精の契約を拒否、出来ないわけではない。きちんと、文面上で、契約の解除の方法が書かれている。それが、レンガの親兄弟から親族まで持つ全財産だ。しかし、彼らはそれを拒否したのだ。はっきりと口に出したことだ。妖精たちは、契約違反を理由に、レンガの親兄弟から親族まで妖精の復讐をしたのである。
 そういったことを私は簡単に説明した。
「リンドは敵に回しちゃいけないな」
 心底、私はそう思った。あいつ、そこまで考えて、契約結ばせたんだな。
 全財産を差し出すなんて、普通だったら、拒否する契約である。それを結ばせたのは、リンドの口先三寸である。
「まさか、公爵家が仲立ちした契約を破るような真似、しないですよね。これは、万が一の保険ですよ、保険。するはずがないですよね」
 伯爵家は、爵位でハイターを下に見ていた。逆に、爵位が上のリンドの言葉を拒否出来ないのだ。
 こうして、リンドは爵位を盾に、この無茶苦茶な契約を結ばせたのである。こわっ。
「あの時、レンガはハイターに何を言ったんだ?」
 レンガは虫の息となりながらも、ハイターに何か話しかけていた。
 ハイターは泣きそうな顔をして黙り込んだ。どうしても、言えない内容なのだろう。
「そこまで、知りたいわけではない。少し、骨休みとして、ここで大人しくしていろ。レンガが目覚めたら、晴れて、結婚だ。盛大にお祝いしてやる」
「………」
 何故か、ハイターは頷いてもくれなかった。







 レンガも一応は、伯爵家の一員である。何があるかわからないので、意識のないレンガは、城の、それなりの部屋に閉じ込められていた。魔法使いと騎士の監視をつけられ、意識が戻ったら、すぐに知らせが私や公爵リンドの元に届くようにしていた。
 そうして、卒業後は、周囲から皇帝になれ、と散々、言われ続け、うんざりしていた私は、使われていない部屋を占拠して、そこに閉じこもっていた。
 その日も、皇族の仕事はしっかりして、皇帝の話は右から左と聞き流して、として、就寝するため、ベッドで横になっていた。
 女遊びは、貴族の学校を卒業してから、ぴたりと止めた。皇族の女たちが、私が将来は皇帝になるから、と言い寄ってきたが、全て、拒絶した。ここで皇族の女に手を出したら、皇帝にされそうな気がしたのだ。
 そうやって、健全な生活をしていると、夢なのか、女の柔らかい感触に、つい、私は反射で動いてしまった。横から抱きつかれ、私はそれをベッドにおしつけ、圧し掛かったのだ。
「な、レンガ?」
 レンガだった。服装は、患者用の脱がせやすく着やすいものだ。私が圧し掛かっただけで、レンガの服は乱れて、すっかり大きくなった胸が零れた。
 私は慌てて離れようとしたが、レンガのほうから腕を伸ばして、私を抱き寄せてきたのだ。相手は女で、知り合いだ。しかも、危険も感じなかったので、私はついつい、レンガの胸に顔を埋めることとなった。
「ちょ、やめなさい。こういうことは、もう、しなくていいんだ」
 だが、やはり女の力だ。すぐに私はレンガの腕から逃れた。
「抱いてください」
「もう、お前の親兄弟は破滅した!! 言いなりにならなくったっていいんだ!!!」
 皇族に抱かれることをレンガが親兄弟に命じられていると思った。実際、そうなのだろう。
 時々、もの言いたげにレンガは私を見てきた。しかし、私はあえて、無視した。レンガが声をかけられないように、わざと、隙を与えなかったのだ。
 ハイターには嘘をついた。レンガは、私に迫ろうとしていた。そうさせないうように、私が行動していたのだ。
 時には、別の女を連れ込んでいた。
 時には、生徒会の仕事を持ち込んでいた。
 時には、騎士を側に貼り付けていた。
 そうやって、私はレンガに迫られないようにしたのだ。
 だが、レンガは容赦なく、私に口づけしてきた。私は固く口を閉ざすが、レンガは経験値が高く、私の一物をつかんで、私の口を開かせた。そうして、私の口の中をレンガの舌が凌辱する。
 しばらく、私の唾液とかを味わって、喜ぶレンガ。
「嬉しい。ずっと、夢見ていた」
「ハイターと結婚するんだろう!?」
「愛しています、ラインハルト様」
「そう、言われたんだろう」
「私はずっと、こうしたかった」
 また、軽く私に口づけするレンガ。
 私はレンガを突き放し、距離をとった。口づけされた部分が気持ち悪く感じた。
「私はずっと、ラインハルト様に抱かれることを望んでいました。誰かに言われたからではありません。ずっとです」
 レンガは服を脱ぎ捨て、四つん這いになって、私に迫ってきた。
 何故か、私の体はうまく動かない。それどころか、レンガの目を見ていると、身動きすら出来ない。
 そのまま、レンガは私をベッドに深く沈め、私の上に圧し掛かった。
「入学式の時から、ずっと、お慕いしています」
「レンガを助けていたのは、ハイターだろう!!」
「もし、ハイター様がいなかったら、ラインハルト様が助けてくれたはずです」
「そんなことはない! だいたい、私はずっと、傍観者だった」
「私が兄の言いなりになって、学校で男たちに凌辱されていることを告げ口した女たちを黙らせたのは、ラインハルト様です」
「知っていて、見捨てた!!」
「いいんです。ああやって、ラインハルト様を満足させてあげられるように、経験していただけです」
 ただ、兄の言いなりになっていたわけではなかった。レンガは、兄の狂った所業を受け入れながら、それに私という理由をつけて、喜んだのだ。
 確かに、レンガの体も、その手も、男を喜ばせることに長けていた。だが、私の一物はこれっぽっちも反応しなかった。
「さすがラインハルト様は、この程度では、満足しないのですね。では、失礼します」
 私の一物を咥えるレンガ。それでも、私の一物は柔らかいままだ。
 別に、レンガは私の一物が固くならなくていいのだ。ただ、私の体を蹂躙出来ればいい。自らの下半身を指で喜ばせ、私の柔らかいままの一物を執拗に舐めた。
「無駄だ。私はな、自身を制御出来るのだよ」
 レンガが満たされていくと、私の体は自由になっていく。私はレンガを突き放した。
 レンガの顔から笑顔が消えた。無表情となり、私ではない、どこかを睨んでいた。
 そうして、無言でいると、ドアが蹴られるようにあけ放たれた。
「見てください!! ラインハルトの奴、そこらの女を連れ込んで」
 よりによって、皇族マズルだ。何かと私の弱味を握ろうとしていた。
 マズルに連れられてやってきたのは、筆頭魔法使いテラスだ。私と素っ裸のレンガを見て、最初、テラスは呆れた。だが、すぐに表情を険しくする。
「まさか、妖精憑きか!」
「どいつもこいつも、私とラインハルト様の邪魔ばかりして!! ラインハルト様は私のものよ!!! 例え、百年の妖精憑きといえども、渡すものか!!!!」
 見えない何かが、ぶつけられる。それを受けた途端、何かが変異したような気がした。
「これで、ラインハルト様の連なるもの全て、私が握ったようなもの」
「妖精の呪いなんて。ラインハルト!!」
 テラスが私に体に触れるが、私の中で、どす黒い何かが広がっていくのを私は感じた。テラスが必死になって、それを取り除こうとしているが、その広がりの速度を緩くするくらいだ。
 皇族マズルは、とんでもないことが起こったと気づき、部屋から飛び出して逃げていく。助けを呼ぶような男ではないから、助けは来ないだろう。
 レンガは私が何かに浸食される様を嬉しそうに笑って見て、近づいてきた。
「手に入らないのなら、一緒に死んでください」
「断る!!」
「先に逝っています」
 最後に私に触れようとするレンガ。
 そこに、突然、見目麗しい子どもが私とレンガの間に入ってきた。
 誰もが見惚れる、それは綺麗な子どもだ。子どもは苦しんでいる私の膝に座って、胸に顔を埋めて甘えてきた。
「その男は、私のものよ!!」
 嫉妬に顔を歪めたレンガが子どもに手を伸ばす。
 だが、その前に、人の大人の大きさをした妖精たちが、レンガの首根っこをつかんで、引きはがした。
「離せ!!」
 抵抗するレンガを子どもは無表情に見返す。私に向かう時は、甘い顔を見せるのに、レンガに対しては、まるで感情を見せない。それどころか、汚らわしい、とばかりに冷たい視線を向けた。
『ラインハルト様の全ては、私のものです。過去も、現在も、未来も、全て、私のものです。お前は一人で逝ってしまえ!!』
「きゃああああーーーーーー!!!!」
 悲鳴をあげたレンガは、とんでもない形相で、息絶えた。
 突然のことに、私はわけがわからなくなった。見てみれば、筆頭魔法使いテラスは、私の傍らで意識を失っていた。
 子どもは、無邪気に笑って、私を見上げた。
『誉めてください、ラインハルト様!!』
 何かを期待して待っている子ども。いつの間にか、私の中にあったどす黒いものは息を潜めていた。なくなったわけではない。変わった感じだ。
 レンガに対しては、恐ろしい形相を見せた子どもは、私に対しては愛想よい顔を見せ、待っていた。
 つい、私は子どもを抱きしめた。抱きしめると、手放したくなくなった。それほど、子どもの抱き心地がよかった。
「よくやった」
 そして、子どもの頭を撫でてやる。子どもは、心底、嬉しそうに喜んだ。






 目を覚ましてすぐ、私は隣りで眠るハガルを見た。ハガル、この世の罪悪なんかないみたいな、無邪気な顔で眠っていた。
 私が起きたので、ハガルは目をこすって目を体を起こした。
「どうかしましたか?」
 私がハガルの上に圧し掛かったので、ハガルは首を傾げる。いつもの甘い空気が全く感じられないから、ハガルは別の何かを予感していた。
「私にかけられた呪いを変異させたのは、お前だな」
「テラスがやったと言ってたではないですか」
「思い出したんだ」
「………」
 気まずい、みたいにハガルは顔を背けた。やはり、そうなのだ。
 ハガル、生まれるよりも遥か過去に介入したのだ。だが、未来に影響が出ることを恐れたのか、ハガルは関わった者たちの記憶を改ざんしたのだ。
 思い出したハガルは、まだ、契約紋をされる前の子どもだった。だから、皇族である私の記憶も改ざん出来たのだ。
 しかし、疑問が残る。
「どうやって、あんなことをしたんだ? お前はまだ、筆頭魔法使いの教育だって終わっていなかっただろう」
 それ以前に、過去に介入するような方法は、焚書されてしまって、誰も知らないのだ。
 問い詰められてしまったのもある。もう、契約紋によって、ハガルは私の記憶を改ざん出来ないので、観念した。
「普通の筆頭魔法使いは、妖精から受ける情報が多すぎて、対処出来ないので、妖精封じをするのですよ。ですが、私はこの通り、妖精の情報を全て対処出来ます。妖精は、何でも知っているのですよ。焚書されたって、千年に一人、必ず誕生する化け物が持つ妖精は、全て、知っています。焚書した本の大本は、この妖精たちの知識ですよ。私は妖精封じもされていませんから、知りたいことは全て、妖精が答えてくれます。だから、代償を払って、ラインハルト様の過去に介入しました」
「代償とは、何だ? 危険なことじゃないだろうな」
「寿命を少々」
「どれくらいだ?」
「百年ほど」
「アホか!!!」
 心底、そう思う。寿命百年を捧げて、ハガルは私の過去に介入したのだ。アホというしかない。
 耳元で叫ばれて、ハガルは顔をしかめる。
「子どもなんです。仕方ないでしょう」
「百年も使って介入するって、お前は自分の立場をわかっているのか!?」
「子どもでしたから、わかっていません」
「だいたい、どうして、私の過去に介入しようと決めたんだ?」
 まずは、そのきっかけである。記憶の中のハガル、確かに子どもであるが、分別がつかないほど、幼いわけではない。
 言いたくなさそうだが、私が命じる危険を感じて、ハガルは大人しく白状した。
「ほら、ラインハルト様の呪いについて、テラスに聞いた時、テラスが手を加えたと言っていたでしょう。ですが、痕跡をよく見ると、手を加えたのは私自身でした。記憶にないということは、私が過去に介入して、ラインハルト様の呪いに手を加えたと予想しました。だから、私がラインハルト様の過去に介入するために、妖精に方法を聞いたのですよ。私の妖精の中には、時を司ることに力を発揮する者がいましたから、それを利用して、過去に介入しました」
「それで、百年の寿命をかけて、私の呪いを歪めたのか」
「呪いを歪めるのには、さらに百年の寿命を捧げました」
 私は無言でハガルの頭を拳骨で殴った。ハガル、痛そうに顔をしかめた。
「子どもだから、仕方ないでしょう!!」
「反省、これっぽっちもしてないだろう!!!」
「後悔していませんから」
 千年に一度誕生する化け物は、寿命も化け物だ。それは、それなりに長生きしないといけない役割を担っているからだ。
 それなのに、ハガルは子どもだったから、という理由で、寿命を散々、無駄遣いしたのである。
 だが、そこまできて、疑問が残る。
「ハガルの実力ならば、私の呪いを誰かに移し替えることも出来ただろう」
 実際、ハガルは、私の中に残った呪いを別の皇族に移し替えたのだ。過去に介入した時も、それが出来たはずだ。
 ハガルは、私から顔を背けて、黙り込む。それを私は無理矢理、ハガルの顔をつかんで、私の目線にあわせさせる。
「話せ」
「は、恥ずかしいですから」
「恥ずかしいって、どんな理由だよ!?」
 むしろ、気になるよ、その恥ずかしい、という理由。
「子どもだったんです。ラインハルト様に子や孫がいたら、未来の私は蔑ろにされる、と思ったんです。だから、子孫が残せない呪いに歪めたんです」
「………は?」
「仕方がないんです。生家で弟たち妹たちが増えていくと、両親や祖父母の愛情が減っていって、寂しかったんです。そのことを思い出して、呪いを移し替えるよりも、子孫を残せないようにしたほうがいい、と考えてしまったんです。子どもの嫉妬です」
 とてもバカバカしい理由だ。もう、怒りもない。
 皇族の大事な役割である子作りをさせない理由が、私を独占したいがためだという。
 バカバカしい、子どもじみた理由だ。だが、そのために、ハガルは寿命を二百年も捧げたのだ。見てみれば、その事に、反省すらしていない。
「それで、私がどうして呪われたのか、お前は知っているということか」
「そこは知りません」
「どうして!?」
「呪いの根源に干渉しただけです。以前も言いましたよね。呪いの理由なんか必要ありません。因果関係がわからなくても、呪いには干渉出来ますよ。同じです。過去の干渉も、別に因果関係を知る必要はありません。その呪いが起きた時にいけばいいだけです。だから、ラインハルト様、ぜひ、教えてください」
「断る!!」
「では、仕方がありませんから、寿命百年を使って、過去を覗きましょう」
「やめろ!!」
「だったら、教えてください」
 無邪気にせがんでくるハガル。脅しまでかけてくるよ、こいつ。
 もうすぐ、私は寿命を迎えるという。なのに、私はハガルに振り回されてばかりだ。
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