1 / 6
プロローグ1
しおりを挟む
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーー!!!」
全身に重力と風を感じながら大空を落下する。
その勢いは隕石でも降ってきているのではないかと間違えるぐらい高速でぐんぐんと地上へと近づいている。
「これ本当に大丈夫なんだろうなぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
その叫び声は誰も存在しない上空に響きながら男は地上へとまた少しと近づいていく。
幸いなのか不幸なのか男には上空から落下するだけの理由があり、落下しても大丈夫な様になっているのだがその事を男が確認する術もない。
落下地点はどうやら広い農地のようだ、小麦に似た作物が黄金色に茂っているのが男の目に映る。
「くそ!覚悟を決めるしかないか!」
そう言いながら男はどうしてこんな状況になっているのかと言う少し前の出来事を思い返していた...。
ーー少し前。
常に光が満ちている場所、天界。
そこは雲海が広がっておりその上に神々が住まう大小様々な領域が構築されていた。
ある場所は獄炎の火山地帯、ある場所は緑の溢れる南国の島。
人々が住まう次元とは別の場所でとある問題が起きていた。
「うーん、確かに問題だけど今すぐに我々が干渉する必要も無くない?」
「そうは言いましても上位の神々からどうにかしておけと言われておりまして...」
白を基調とした荘厳な神殿の一室、その外観に似合う様な意匠を凝らした家具の数々が置かれた部屋で二人、いや一神と天使は大きな机で向かい合って話しあっていた。
「どうにかしておけと言われたけど僕の管理する第3世界の人間達の時間換算すると、問題が起きるのは300年とか400年先だよ?なんで折角第3世界も安定期に入って暇を謳歌出来るって言うのにやらなきゃいけないんだよー」
そう言って机にべたりと身体を寝そべらせるのは中位の神、見た目は幼い少年のように見えるが光を司るヘリオス。
「そう言われましても...私は神々の御柱に仕える天使の1人でございますからそのお心までは...」
そう言って書類をヘリオスに届けたのは天使ミカエル、そう言いながらも天使軍の軍団長の一人である背丈の高く大ぶりな翼を背に纏った凛々しい女性である。
書類をさっと読んだヘリオスはその書類を机にバッと投げ捨てて文句を言う。
「というか他の世界を管理してる神達はどうなってるのさ、僕の所だけ問題があるって訳じゃないよね?それなのに僕にだけそんなすぐにやれなんて不平等だよ!不平等!」
そんな文句を言いつつバタバタと身体を動かして机を叩いて講義などしているヘリオス。
「私も全てを把握しておりませんが少なくともセレネー様の管理している第6世界などは問題なく管理されているとお聞きしました」
申し訳なさそうな声色でミカエルは淡々とヘリオスにそう告げていく。
「セレネーは良いよなぁ、第6世界はなんだっけ?単一宇宙でその中でも地球とかいう惑星にヒト族が繁栄してるんだっけ?」
「そう聞いております、魔素が存在しませんがその代わりヒト族は化学という一種の錬金術の様なものを発展させて様々な機械などを作り繁栄しているようです」
ミカエルから兄妹であるセレネーの管理する世界の事を聞いたヘリオスは身体を伸ばしながら返事をする。
「やっぱりねー、種族なんて少ない方が良いんだよ。まぁ様々なテストケースが必要でセレネーの所は単一種族に絞った場合、僕の所は様々な種族が居た場合のテストだから仕方ないけど...。にしても上位の神々は無理難題を言うなぁ」
椅子に座りながらその椅子をクルクルと回転させながらヘリオスはどうしようかと考えていく。
「下手に世界に干渉するわけにもいかないし、かと言って弱すぎる干渉をしても効果は逆、強すぎて特定の種族のみ繁栄するのも問題あり。あー!もう!どうすればいいんだ!」
椅子を回転させるのを辞めて声を上げて立ち上がるヘリオス。
「てか問題ってなんだよ、このまま行くと300年後ぐらいに魔王と呼ばれる存在が出現して世界のバランスが乱れる可能性アリって。それもまた自然の摂理なんじゃないかなって僕は思うんだけど?」
不意にそんな質問を投げかけられた入口付近で佇んていたミカエル。
「愚考するに第3世界は様々な種族の融和、共存を目的の一つとしてますから...第7世界等の種族の強さをテストしている世界では魔王などいう強大な存在が現れても問題ないと考えますが...」
凛とした声でミカエルはそう淡々とヘリオスに告げていく。
その事を聞いてヘリオスはまぁそうですよねという顔をして椅子に座り考えていく。
「だよね、分かってたけど解決策が思いつかないなぁ」
暫くの間書類を抱えて考え込んでいたヘリオスだが、ゆっくりと立ち上がって動き出した。
「分からないことは調べに行こう、ということでセレネーの領域まで行くよ」
そう言って部屋の出入口の扉まで歩いていくヘリオス。
「えっと、私もですか?」
「当たり前じゃん、上官命令だよ!」
「この後天使軍の訓練がありましてその監督をする予定なのですが...」
「天使たちはみんな真面目だから監督が居なくてもちゃんと訓練するよ!」
歩きながらそう言うヘリオスに渋々付いていくことになったミカエルだった。
全身に重力と風を感じながら大空を落下する。
その勢いは隕石でも降ってきているのではないかと間違えるぐらい高速でぐんぐんと地上へと近づいている。
「これ本当に大丈夫なんだろうなぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
その叫び声は誰も存在しない上空に響きながら男は地上へとまた少しと近づいていく。
幸いなのか不幸なのか男には上空から落下するだけの理由があり、落下しても大丈夫な様になっているのだがその事を男が確認する術もない。
落下地点はどうやら広い農地のようだ、小麦に似た作物が黄金色に茂っているのが男の目に映る。
「くそ!覚悟を決めるしかないか!」
そう言いながら男はどうしてこんな状況になっているのかと言う少し前の出来事を思い返していた...。
ーー少し前。
常に光が満ちている場所、天界。
そこは雲海が広がっておりその上に神々が住まう大小様々な領域が構築されていた。
ある場所は獄炎の火山地帯、ある場所は緑の溢れる南国の島。
人々が住まう次元とは別の場所でとある問題が起きていた。
「うーん、確かに問題だけど今すぐに我々が干渉する必要も無くない?」
「そうは言いましても上位の神々からどうにかしておけと言われておりまして...」
白を基調とした荘厳な神殿の一室、その外観に似合う様な意匠を凝らした家具の数々が置かれた部屋で二人、いや一神と天使は大きな机で向かい合って話しあっていた。
「どうにかしておけと言われたけど僕の管理する第3世界の人間達の時間換算すると、問題が起きるのは300年とか400年先だよ?なんで折角第3世界も安定期に入って暇を謳歌出来るって言うのにやらなきゃいけないんだよー」
そう言って机にべたりと身体を寝そべらせるのは中位の神、見た目は幼い少年のように見えるが光を司るヘリオス。
「そう言われましても...私は神々の御柱に仕える天使の1人でございますからそのお心までは...」
そう言って書類をヘリオスに届けたのは天使ミカエル、そう言いながらも天使軍の軍団長の一人である背丈の高く大ぶりな翼を背に纏った凛々しい女性である。
書類をさっと読んだヘリオスはその書類を机にバッと投げ捨てて文句を言う。
「というか他の世界を管理してる神達はどうなってるのさ、僕の所だけ問題があるって訳じゃないよね?それなのに僕にだけそんなすぐにやれなんて不平等だよ!不平等!」
そんな文句を言いつつバタバタと身体を動かして机を叩いて講義などしているヘリオス。
「私も全てを把握しておりませんが少なくともセレネー様の管理している第6世界などは問題なく管理されているとお聞きしました」
申し訳なさそうな声色でミカエルは淡々とヘリオスにそう告げていく。
「セレネーは良いよなぁ、第6世界はなんだっけ?単一宇宙でその中でも地球とかいう惑星にヒト族が繁栄してるんだっけ?」
「そう聞いております、魔素が存在しませんがその代わりヒト族は化学という一種の錬金術の様なものを発展させて様々な機械などを作り繁栄しているようです」
ミカエルから兄妹であるセレネーの管理する世界の事を聞いたヘリオスは身体を伸ばしながら返事をする。
「やっぱりねー、種族なんて少ない方が良いんだよ。まぁ様々なテストケースが必要でセレネーの所は単一種族に絞った場合、僕の所は様々な種族が居た場合のテストだから仕方ないけど...。にしても上位の神々は無理難題を言うなぁ」
椅子に座りながらその椅子をクルクルと回転させながらヘリオスはどうしようかと考えていく。
「下手に世界に干渉するわけにもいかないし、かと言って弱すぎる干渉をしても効果は逆、強すぎて特定の種族のみ繁栄するのも問題あり。あー!もう!どうすればいいんだ!」
椅子を回転させるのを辞めて声を上げて立ち上がるヘリオス。
「てか問題ってなんだよ、このまま行くと300年後ぐらいに魔王と呼ばれる存在が出現して世界のバランスが乱れる可能性アリって。それもまた自然の摂理なんじゃないかなって僕は思うんだけど?」
不意にそんな質問を投げかけられた入口付近で佇んていたミカエル。
「愚考するに第3世界は様々な種族の融和、共存を目的の一つとしてますから...第7世界等の種族の強さをテストしている世界では魔王などいう強大な存在が現れても問題ないと考えますが...」
凛とした声でミカエルはそう淡々とヘリオスに告げていく。
その事を聞いてヘリオスはまぁそうですよねという顔をして椅子に座り考えていく。
「だよね、分かってたけど解決策が思いつかないなぁ」
暫くの間書類を抱えて考え込んでいたヘリオスだが、ゆっくりと立ち上がって動き出した。
「分からないことは調べに行こう、ということでセレネーの領域まで行くよ」
そう言って部屋の出入口の扉まで歩いていくヘリオス。
「えっと、私もですか?」
「当たり前じゃん、上官命令だよ!」
「この後天使軍の訓練がありましてその監督をする予定なのですが...」
「天使たちはみんな真面目だから監督が居なくてもちゃんと訓練するよ!」
歩きながらそう言うヘリオスに渋々付いていくことになったミカエルだった。
0
あなたにおすすめの小説
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで
六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。
乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。
ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。
有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。
前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
「俺が勇者一行に?嫌です」
東稔 雨紗霧
ファンタジー
異世界に転生したけれども特にチートも無く前世の知識を生かせる訳でも無く凡庸な人間として過ごしていたある日、魔王が現れたらしい。
物見遊山がてら勇者のお披露目式に行ってみると勇者と目が合った。
は?無理
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる