異世界に転生したけど、手を取り合って生活してます。

東雲はち

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プロローグ6

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転移魔法陣によってヘリオスの領域へと移動した悠。
ソファーに座っていたはずだが気が付くとヘリオスの神殿の前に移動していた。

「魔法ってのは凄いな、一瞬で別の場所に移動するなんてな......」

そう言って悠は周りを見回す。
セレネーの領域とは違って昼の様な明るさ、太陽があるのかは分からないが周囲は光に照られている。
目の前の神殿も白を基調とした色合いでセレネーの神殿とは真逆の印象を感じる。

「さてと.....どうすればいいんだ?また眷属みたいなのが案内に来てくれるのかな?」

勝手に神殿に入っていくのもどうかと思って悠はその場でどうしようかと考えていた。
そうしていると前方から強い風が悠に向かって吹いてきて、その風と共に目にもとまらぬ速さで少年の様な人物が目の前に現れた。

「やぁ!君がセレネーが選んでくれた第6世界のヒト族だね!ふむふむ、僕の世界のヒト族と見た目は変わらないね!良かった良かった!」

ショートカットの金髪碧眼の少年はそう言って悠の周りを飛んだりして観察している。
どういう原理なのかは分からないが時折瞬間移動のようなこともしている様だ。

「えっと......君がセレネーのお兄さんのヘリオスかな?」

「おっとっと、つい興奮して自己紹介が遅れていたね!僕はヘリオス、朝を司りこれから君が行くことになる第3世界の管理者だよ!」

そう言ってヘリオスは悠の前に立ち自己紹介をする。
見た目は少年にしか見えないが本当に神様の一柱なのだろうかと悠が疑問に思っていると、それを感じ取ったのかヘリオスは続けて話し続ける。

「あっ!その顔は疑ってるね?じゃあこれならどうかな?」

そう言うとヘリオスはおもむろに悠の手を掴んだ。
そして悠の身体は何か強い力に引っ張られた様にヘリオスの方へと引き寄せられる。

「行くよー!」

そうヘリオスに声を掛けられたと思った瞬間、悠の周りの風景は一瞬にして神殿の外からセレネーの執務室に似た部屋の中へと変わっていた。

「どう?ここは僕の執務室だよ!僕は神達の中でも一番の速さを持ってるからね、一瞬で移動するなんて容易いんだ。これで僕が神の一柱だと信じてくれたかな?」

そうヘリオスは誇らしげに言って悠の方を見る。
悠はそんなヘリオスの顔を見ながらもう驚き疲れたよという声色で返事をする。

「はぁ、分かったからいきなりトンデモ魔法みたいなことをするのは止めてくれ......いくらなんでも心臓に悪すぎる......」

悠は一呼吸置いて部屋の中に置かれていたソファーに腰を掛ける。
座った悠の反対側のソファーにヘリオスは座ると、悪びれた様子も無く話し始める。

「ごめんごめん、あまり管理する世界の住民と関わることはないからつい浮かれちゃったね。さてセレネーから色々聞いてると思うけど、僕の方からも説明するね」

そう言うと悠とヘリオスの間に置かれているテーブルの上に世界地図の様な物を広げる。

「じゃじゃーん!これが君が今から行く世界、第3世界の世界地図!」

広げられた地図には大陸や海、山脈や国の名前や範囲などが簡単に記されている。
どうやらパッと見た感じ様々な大陸があるようだが、気になったのは地図の中央にある大きな大陸。
その中央大陸を囲うように大小さまざまな大陸が存在している。

「この世界は大陸によって割と繁栄してる種族が違うんだけど.....まず最初はこの中心にある大きな大陸!ここにはヒト族が多く住んでるからそこに行ってもらおうと思ってるよ!」

「まぁ行くことは分かったんだが、行って何をすればいいか具体的に教えてくれないか?セレネーは数の少ない種族を助けるとか言ってたけど、もしかして人間って少ないのか?」

「うーんと、人間って種族は多くも無いし少なくも無いね!寿命もそこそこ繫殖力もそこそこで人間が治めている国も何箇所かあるよ!」

そう言ってヘリオスは何箇所か地図に印を付けていく。

「まずは中央大陸の西端の海に面している国、リストン共和国!ここは共和国って名乗ってるだけあって人間とリザードマンとマーマンがそれぞれ統治者を置いて会議などで話しあって運営している国だよ!」

大陸の西端の海の周辺を丸で囲っていくヘリオス、次はそこから北東のほうへと線が伸びていく。

「次はそのリストンのお隣の国!豊かな平地や森林地帯で農産物や畜産などを主体にしているエレンヴェン森林国だよ。人間が一番多くて、次に少ないけどウッドエルフとかフェアリーなんかも住んでるみたいだよ」

そこから大きく東の方に線が伸びて大きな山脈だろうと思われる場所を超えて、その麓に地図に丸が付けられる。

「大陸の中央にはとても大きい霊峰がそびえてるから、それを超えて霊峰の東の麓!ここはその霊峰と共に暮らしている人間が多いガレド鋼鉄国!名前の通り霊峰から取れる様々な金属を加工して武器や鎧などを生産してる国だよ!人間が多いけどドワーフの国から流れてきたドワーフとかも住んでるみたいだね~」

「色んな国があるんだな、勿論人間以外が多い国とかもあるんだろ?」

「そうだね!ドワーフ主体の国とかエルフ主体の国とかもあるけどとりあえずは気にしなくて大丈夫!まぁそんな感じで色々あるんだけど~、エレンヴェン森林国に行ってもらおうと思ってる!比較的安定してる国だし、世界に慣れて貰うには落ち着いてて良いんじゃないかな?」

「どこがどうとか言われても実際行ってみないと分からないしな。それで?そこで何をすれば良いんだ?」

ヘリオスは地図の西の方の森林国に大きな丸を付けて悠に説明していく。

「すぐに何かしてほしいって訳じゃないんだけど、やっぱり国の中でも都会と田舎では結構格差があったりしてね......それに種族の中には社会の中に馴染めない独立した集落で暮らしてる種族がいたりとか色々あるんだ。そこで君にはそういった種族を探して保護してほしい!」

「保護ったって......住む場所とか色々無いと駄目だろ?それはどうすんだ?」

悠は同然の疑問をヘリオスにぶつける。
人が一人生きていくだけで大変なのだ、家庭すら持ったことのない悠に保護と言われてもどうすれば良いか分からない。

「それについてはあとで神器.....まではいかないけど凄い物を授けるからそれを使って欲しい!」

「まぁどうにかなるなら良いんだけどさ......」

「とりあえずは君を森林国の端の方ののどかな田舎の村に転移させるから、転移したら旅人とか冒険者とか適当に名乗って村で過ごしていて!やってほしい事とかは眷属を派遣して伝えるからさ」

そう言ってヘリオスはテーブルの上に何処から出したのか分からない様々な物を置いていく。

「あとこれは僕が用意しておいた異世界転移入門セット!見た目より中身がとても入るマジックリュックサックにもしものときの万能薬エリクサーに......っと色々用意したから村に着いたら中身見てよ!きっと役に立つからね!」

そう言ってヘリオスは色々なものが沢山入っているらしいリュックサックを渡してくる。
見た目は普通の背負うタイプのリュックサックだ、よく一人でキャンプに行くときに背負っていくのと似ている。

「ありがとう、まぁ馴染みのないものばかりだと思うから落ち着いたらよく見てみるよ」

悠はそう言ってリュックサックを受け取る、色々入ってるらしいが重さも感じない。

「大事にしてよね!それ結構珍しいものなんだからね~、あとは何か......っと忘れてた!」

そう言ってヘリオスは立ち上がり悠に手をかざす。
そうすると光が集まり風と共に悠の身体に向かっていく。
光はセレネーの加護と同じように悠の身体に吸い込まれていった。

「これが僕の風の加護!身体能力は上がるし他にもスキルの習熟が早くなったりするからね」

「あぁ、ありがとう。まぁ出来るかは分からないがセレネーからも加護を貰ってるし、出来るだけ恩返しさせてもらうよ」

「うんうん!当面は君からすれば異世界になる世界に馴染むことだね!加護の中に言語を理解できるスキルも入れておいたから会話とかも問題ないはずだよ!」

そうして悠が第3世界へと旅立つ準備は整った。

「それじゃあっという間の説明だったけど君には旅立ってもらうよ、安心安全で行くからね!」

そう言って悠の周囲に魔法陣らしきものが浮かび上がり身体を包んでいく。
そして風を感じたかと思うと悠の身体は空から落下していた。
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