実はこっそりあいつに溺れてますが、何か?

らいち

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第二章

誰だっけ

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 これもいつもの日課なのだけど、来る者拒まずの神と一緒に帰るためには、神の席まで一番で行かなければならない。要するに早い者勝ちと言うことだ。

  よし、まだ誰も神の席に来てないぞ。

「佐倉さん」

 席を立ってダッシュしようとしたその矢先に、日直が私の所にやってきた。

「何? 急いでるんだけど」
「こっちも急いでるわよ。佐倉さん課題まだ出してないでしょ」
「えっ、あ、そうだった! ちょっと待って!」

 信じられない、信じられない。丸っきりすっかり忘れてた。
 私は慌ててさっき詰め込んだリュックの中を漁った。だけど焦るものだから、ちっともプリントが見つからない。しょうがないのでリュックの中からノートを全部取り出して、どこかに挟まれていないかと振ってみた。

「あっ、あった!」

 どのノートから落ちて来たのか分からないけど、確かに課題のプリントだったので私は大慌てでそれを渡した。

「はい、これ!」

 バサッと突き付けるような格好になったのでムッとしたみたいだったけど、私はそんなことに構ってる余裕はない。慌てて神の席を振り向いて、肩を落とした。

  だって! たったこれだけのやり取りの内にもう神ってば、教室にいないんだよ? 信じられる?

  だけど嘆いてる暇なんてない。私はリュックを肩に引っ掛けて、教室を飛び出した。
  校舎を出て校門を出て、それでもまだ神達に追い付けなかった。寄り道をしていないことを願いながら走り、大通りに差し掛かったところでやっと神の姿が見えて来た。

「じ……!」

 大声で呼ぼうとして言葉を呑み込んでしまった。神の傍に見覚えのない高級車が止まったからだ。その突然の出来事には、周りの子たちもびっくりしたようだった。こちらから見ていても、ざわざわしている様子が見て取れる。
 私は離れた所から見ているだけでは様子が分からないと思い、神達の許へと小走りで駆け寄った。

「あ……」

 近付いたおかげで窓から顔を出した女の子の顔がよく見えた。

 ……あの子、どこかで見たことある。どこでだったっけ? 

 思い出そうとしても、どうしても思い出せない。だけどすごく可愛い子だ。自分の可愛さを分かっているような愛らしく作られた笑顔が、私の心をざわつかせる。

  その子と神は何か言葉を交わした後、神は周りの子たちに何かを告げてそのままその車に乗ってしまった。
 突然の事過ぎてなす術の無かった私は、その場に呆然と立ちすくむ事しか出来なかった。
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