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第三章
コンテストの衣装を決めよう
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正直私は怒っている。何にかって? 昨日の神とのやり取りについてだ。
だってさ、神の事だから私が聞きたいことくらい察しがついていたはずなのに、全くの知らんぷりでスルーするんだもん。
それに見覚えがあると思ったはずだ。ミルクの専属モデルの桜だなんて……モヤモヤする。
ずっと癪に障っているから、今日は休み時間になっても、今のお昼時間も神のところには行かなかった。
「珍しいよね、加代子が神の所、無視し続けるなんて」
琴が熱でもあるのかというように、私のおでこを手で触る。
「いいのよ、たまには」
剥れる私に小首を傾げた後、琴が視線を斜め上に変えた。
「今日機嫌悪いよな。どうした」
カチン。神の声だ。
「どうしたじゃないでしょ?」
ムスッとしながら勢いよく振り向くと、神の後ろから覗き込む田中と目が合った。
「そうだよ加代子ちゃん。こんな女好き放っとけよ。俺は一途だよ?」
「あっ、俺も俺も」と、更に田中の後ろから何人かが顔を出す。
もう、ウザい!
こういう時神は本当にしれっとしてるし、余計頭に来る。
「あっ、いたいた神。加代子もいるね。ちょうど良かった。衣装のことで話しがあるんだけど」
そう言いながら衣装担当になった小林さんが、私達のところに走ってきた。ので、出かかっていた文句をゴクンと飲み込む。
「ねえねえ、これ。ちょっと見てくれる?」
ズイッと私たちの目の前に差し出したスマホには、女装用コスチュームの画像が映っていた。
「これ、メイド?」
「うん。結構可愛いでしょう? 他にもキャットとかセーラー服もあるんだよ」
「へえ、どれどれ」
ああ、本当だ。ウエディングドレスまである。値段はみんな一緒で、結構手頃なんだね。
「これ見て思ったんだけど、セーラー服の方はさ、ちょっと当てがあったりするんだ」
「当て?」
「うん。知り合いにとっても大きな女の人がいてさ、横も縦も大きいから、意外と男でも入るんじゃないかなあと思うんだ」
「そうなの?」
「うん。だから高畑辺りに着せたらいいんじゃない?」
「ああ、そうだね。高畑ならその方が喜びそうだね」
琴が笑いながら同意した。
彼はビジュアルで選んだと言うよりも、彼の友人がノリで推薦した口だ。女装なんて絶対嫌だと最後までごねていたから、地味な女装の方が嬉しいだろう。
「そういうのは鎌谷に着せればいいんじゃないのか? こいつは何でも似合うんだろう?」
「はあっ? 何言ってんの、田中。格好いい人にはより格好いいものを着せるべきでしょう?」
「格好いいかあ? こいつがあ? 目、腐ってんじゃねーのか?」
「はあっ? いちゃもんつけたいだけならあっちに行ってよ。邪魔!」
いつものごとく、唯々神に因縁をつけたいだけの田中達に、真剣な小林さんが本気で切れた。挙句彼女にシッシッとまるで犬でも追い払うような扱いをされて、田中達は渋々離れていった。
こういう時の神は、ほとんど無反応だ。意に介していないと言うか、きっと相手にもしていないのだろう。
だってさ、神の事だから私が聞きたいことくらい察しがついていたはずなのに、全くの知らんぷりでスルーするんだもん。
それに見覚えがあると思ったはずだ。ミルクの専属モデルの桜だなんて……モヤモヤする。
ずっと癪に障っているから、今日は休み時間になっても、今のお昼時間も神のところには行かなかった。
「珍しいよね、加代子が神の所、無視し続けるなんて」
琴が熱でもあるのかというように、私のおでこを手で触る。
「いいのよ、たまには」
剥れる私に小首を傾げた後、琴が視線を斜め上に変えた。
「今日機嫌悪いよな。どうした」
カチン。神の声だ。
「どうしたじゃないでしょ?」
ムスッとしながら勢いよく振り向くと、神の後ろから覗き込む田中と目が合った。
「そうだよ加代子ちゃん。こんな女好き放っとけよ。俺は一途だよ?」
「あっ、俺も俺も」と、更に田中の後ろから何人かが顔を出す。
もう、ウザい!
こういう時神は本当にしれっとしてるし、余計頭に来る。
「あっ、いたいた神。加代子もいるね。ちょうど良かった。衣装のことで話しがあるんだけど」
そう言いながら衣装担当になった小林さんが、私達のところに走ってきた。ので、出かかっていた文句をゴクンと飲み込む。
「ねえねえ、これ。ちょっと見てくれる?」
ズイッと私たちの目の前に差し出したスマホには、女装用コスチュームの画像が映っていた。
「これ、メイド?」
「うん。結構可愛いでしょう? 他にもキャットとかセーラー服もあるんだよ」
「へえ、どれどれ」
ああ、本当だ。ウエディングドレスまである。値段はみんな一緒で、結構手頃なんだね。
「これ見て思ったんだけど、セーラー服の方はさ、ちょっと当てがあったりするんだ」
「当て?」
「うん。知り合いにとっても大きな女の人がいてさ、横も縦も大きいから、意外と男でも入るんじゃないかなあと思うんだ」
「そうなの?」
「うん。だから高畑辺りに着せたらいいんじゃない?」
「ああ、そうだね。高畑ならその方が喜びそうだね」
琴が笑いながら同意した。
彼はビジュアルで選んだと言うよりも、彼の友人がノリで推薦した口だ。女装なんて絶対嫌だと最後までごねていたから、地味な女装の方が嬉しいだろう。
「そういうのは鎌谷に着せればいいんじゃないのか? こいつは何でも似合うんだろう?」
「はあっ? 何言ってんの、田中。格好いい人にはより格好いいものを着せるべきでしょう?」
「格好いいかあ? こいつがあ? 目、腐ってんじゃねーのか?」
「はあっ? いちゃもんつけたいだけならあっちに行ってよ。邪魔!」
いつものごとく、唯々神に因縁をつけたいだけの田中達に、真剣な小林さんが本気で切れた。挙句彼女にシッシッとまるで犬でも追い払うような扱いをされて、田中達は渋々離れていった。
こういう時の神は、ほとんど無反応だ。意に介していないと言うか、きっと相手にもしていないのだろう。
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