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第四章
美少年は美少女に
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みんな銘々個室で着替え、着替え終わった他の子たちを見てテンションが上がる。
「王様、一式揃うとマジヤバいね」
「着て見て私も思った。お笑い担当じゃなかったんだなって」
「お笑いなんかじゃないよー。地味な学生服よりいいじゃん」
「そうそう。でも、もっといいのは加代子だけどね」
「えっ?」
和やかな雰囲気だったのに、みんな割とマジな顔で神のジャケットを凝視している。……参ったな。
「あー、えっと……そろそろ戻ろうか。男子の着替えも終わってる頃だろうし」
「あっ、そうだね! 神のウエディング姿興味ある!」
「そうだった、急ごう!」
急ぎ足で教室に向かい始めたみんなにホッとして、私も走って後に続いた。
教室に戻ってみると異様な雰囲気が漂っている。女子が一塊になっていて、それを男子達が呆れたように見ているんだ。よく見ると、女子が神を撮ろうと躍起になっているようだった。
何よこれ、まるで神の撮影会じゃないの。
きっとそれを見て、私だけじゃなくみんなもムッとしたんだろう。ドカドカと足音荒く教室内に入り、その塊に直行する。
その騒がしい雰囲気に気がついた神が、群がる女子をかき分けてこちらに歩いて来た。
「わあ、壮観だなあ。みんな格好いいよ」
感心したようにみんなを見回して、うんうんと頷く。
さすが神だ。たったその一言で、鬱屈としていた女子の気持ちを一気に引き上げた。
「神も綺麗だよ! 本当の花嫁さんみたい、ねえ?」
「うん、綺麗」
本当に神の花嫁姿は綺麗だった。華やかなレースが施された白いドレスに、神はちっとも負けていない。むしろ似合っていて怖いくらいだ。
さっき神を取り囲んでいた皆と同じように、今度は私達が神を取り囲む。私としては本当は、神の近くに誰も寄せ付けたくないし、ましてやべたべた触ってほしくはないのだけど、それを主張すると却って私の方が多勢に無勢になりそうなのでぐっとこらえた。
「えーっとみんな、そろそろ練習も兼ねて、ついでにメイクもしちゃおうと思うんだけど。……神、いいかな?」
「うん、いいよ」
神は特に躊躇することなく、あっさりと小林さんの頼みを受け入れた。私としてはちょっと複雑なんだけどな。
だってさ、化粧する側は神の顔に近づいて化粧するわけでしょ? そう考えたら正直面白くないもん。でもメイクは確かに明日の本番では必要なわけなんだし、それが練習だって言われたら、私が不機嫌になる権利だって無いからさ……。
神が承諾したおかげで、メイク担当の子たちが嬉々として神の傍にやって来た。私達はしょうがないので、神の傍をすごすごと離れる。
メイク担当の彼女らは二十分ほど楽しそうに神の周りを陣取った後、パッとこちらに振り返った。
「完成でーす」
彼女らが退いたことで、神の姿が露わになる。
「美少女……」
ここにいるほぼ全員が、呆けたように神を見た。
神に施された化粧は、ナチュラル志向のまさしく本気のそれだった。アイカラーは上品なベージュ系、チークもほんのりと色づく感じのピンクベージュだ。唇もベージュ系の抑えた色を塗られていて、おかげで神はきりりとした美人に化けていた。
「凄い、凄い! やっぱり男の人でも綺麗な顔の人が化粧をしたら、美人になるんだね!」
誰かの一言で、ただただ呆けて見ていただけの女子が騒ぎ出した。
「そうだよ、神めっちゃ美少女!」
「あ~、もう! 他の女子に見せたくないよう」
「わかる、わかる。そうだよね!」
「ああ? さっきから聞いてたらなんだお前ら。俺らから言わせればな、加代子ちゃんの方がずっと可愛いんだよ」
えっ、何言い出すの急に。
背後から飛んできた声にびっくりして振り返ると、ほとんどの男子が、ちやほやされ続けている神に反感を持ったようだった。
だからって言って、私を引き合いに出さないでよ!
「王様、一式揃うとマジヤバいね」
「着て見て私も思った。お笑い担当じゃなかったんだなって」
「お笑いなんかじゃないよー。地味な学生服よりいいじゃん」
「そうそう。でも、もっといいのは加代子だけどね」
「えっ?」
和やかな雰囲気だったのに、みんな割とマジな顔で神のジャケットを凝視している。……参ったな。
「あー、えっと……そろそろ戻ろうか。男子の着替えも終わってる頃だろうし」
「あっ、そうだね! 神のウエディング姿興味ある!」
「そうだった、急ごう!」
急ぎ足で教室に向かい始めたみんなにホッとして、私も走って後に続いた。
教室に戻ってみると異様な雰囲気が漂っている。女子が一塊になっていて、それを男子達が呆れたように見ているんだ。よく見ると、女子が神を撮ろうと躍起になっているようだった。
何よこれ、まるで神の撮影会じゃないの。
きっとそれを見て、私だけじゃなくみんなもムッとしたんだろう。ドカドカと足音荒く教室内に入り、その塊に直行する。
その騒がしい雰囲気に気がついた神が、群がる女子をかき分けてこちらに歩いて来た。
「わあ、壮観だなあ。みんな格好いいよ」
感心したようにみんなを見回して、うんうんと頷く。
さすが神だ。たったその一言で、鬱屈としていた女子の気持ちを一気に引き上げた。
「神も綺麗だよ! 本当の花嫁さんみたい、ねえ?」
「うん、綺麗」
本当に神の花嫁姿は綺麗だった。華やかなレースが施された白いドレスに、神はちっとも負けていない。むしろ似合っていて怖いくらいだ。
さっき神を取り囲んでいた皆と同じように、今度は私達が神を取り囲む。私としては本当は、神の近くに誰も寄せ付けたくないし、ましてやべたべた触ってほしくはないのだけど、それを主張すると却って私の方が多勢に無勢になりそうなのでぐっとこらえた。
「えーっとみんな、そろそろ練習も兼ねて、ついでにメイクもしちゃおうと思うんだけど。……神、いいかな?」
「うん、いいよ」
神は特に躊躇することなく、あっさりと小林さんの頼みを受け入れた。私としてはちょっと複雑なんだけどな。
だってさ、化粧する側は神の顔に近づいて化粧するわけでしょ? そう考えたら正直面白くないもん。でもメイクは確かに明日の本番では必要なわけなんだし、それが練習だって言われたら、私が不機嫌になる権利だって無いからさ……。
神が承諾したおかげで、メイク担当の子たちが嬉々として神の傍にやって来た。私達はしょうがないので、神の傍をすごすごと離れる。
メイク担当の彼女らは二十分ほど楽しそうに神の周りを陣取った後、パッとこちらに振り返った。
「完成でーす」
彼女らが退いたことで、神の姿が露わになる。
「美少女……」
ここにいるほぼ全員が、呆けたように神を見た。
神に施された化粧は、ナチュラル志向のまさしく本気のそれだった。アイカラーは上品なベージュ系、チークもほんのりと色づく感じのピンクベージュだ。唇もベージュ系の抑えた色を塗られていて、おかげで神はきりりとした美人に化けていた。
「凄い、凄い! やっぱり男の人でも綺麗な顔の人が化粧をしたら、美人になるんだね!」
誰かの一言で、ただただ呆けて見ていただけの女子が騒ぎ出した。
「そうだよ、神めっちゃ美少女!」
「あ~、もう! 他の女子に見せたくないよう」
「わかる、わかる。そうだよね!」
「ああ? さっきから聞いてたらなんだお前ら。俺らから言わせればな、加代子ちゃんの方がずっと可愛いんだよ」
えっ、何言い出すの急に。
背後から飛んできた声にびっくりして振り返ると、ほとんどの男子が、ちやほやされ続けている神に反感を持ったようだった。
だからって言って、私を引き合いに出さないでよ!
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