実はこっそりあいつに溺れてますが、何か?

らいち

文字の大きさ
34 / 47
第四章

やっぱりいつもと雰囲気が違うよね?

しおりを挟む
 パンパン!
 突然鳴り響いた手を叩く音に、ハッと我に返った。振り返ると委員長が、こちらの狼狽をよそに冷静な表情で見ている。

 ……ちょっといい雰囲気だったのにさ。もうちょっと待ってくれてても良いのに……なんて、真面目な顔の委員長を見ると文句は言えない……。

「さっ、じゃあ衣装もメイクも確認できたわけだから、一旦着替えて体育館に行こうか」
「着替えるのはいいけど、なんで体育館?」
 神がベールを剥ぎながら言った。

「明日の本番通りに練習した方がいいだろう? ランウェイの練習をさ」
「えーっ、じゃあ尚更そのままの格好の方がいいんじゃないの?」

 きっとまだまだ神の女装を楽しみたいんだろう。女子の声が飛んだ。

「それは、ダメ。衣装は他のクラスの皆には、明日の本番までは秘密にしておかないと」
「あっ、そうか! 楽しみが半減しちゃうね」
「そう言うこと。じゃあモデルの皆は着替えてから体育館集合! 後の皆は悪いけど、そのまま準備を続けていって」
「了解」

 残念がる声もあったけど明日は本番だ。のんびりしていて準備に間に合わないと困るので、また皆各々の作業に戻っていった。

 私達が体育館に行くと、設営係の皆が椅子を置く場所やステージ上から下りて歩いて行く場所を、どんな形にするかと話し合っていた。

「歩く練習させてもいいかな」
「おう、来たか。いいよ」

 設営担当に許可をもらった委員長が、きょろきょろと落ち着かない私たちを手招きした。

「そう言えば僕達、歩く順番まだ決めてないんだけど。好き勝手でいいのか?」
「ダメだよ、それは。せっかくやるんだから感じよくしなくちゃ。男女交互、と言うか男装女装だから女子が先で男子が後な」
「男女交互! じゃあ私、神の前!」

 王様の衣装を着ける雛子が勢いよく手を挙げた。

 ヤバい。ぼーっとしてる場合じゃなかった。どんな構成をとるのか分からないけど、神の前って言ったら並ぶ時は隣だもんね。

「私も神の前がいい!」

 雛子に負けまいと、私も手を挙げて大きな声を出した。
 そんな私達の様子を見て、他の女子もみんなが騒ぎ始める。

「ちょっと待って女子! 順番はもうこっちで決めてあるから」

 パンパンと手を叩きながら、委員長が叫んだ。

「え~?」

 みんなぶうぶうと文句を言った。もちろん私もだ。ジャンケンだったら強いから、絶対勝つって思っていたのに。

「コンテストを盛り上げるために決めた順番だから、文句は一切無しだよ」

 有無を言わさない委員長の言葉に、女子はみんなムスッと押し黙った。

「じゃあみんな、言う通りに並んで。まずは佐倉さん、それから続いて鎌谷……」
「えっ、私? ヤッター!」
「ええーっ? 何で加代子? ズルい!」
「そこの女子、うるさい! その次は田野中さん、次は……」

 委員長が順々に名前を呼んでいく。嬉々として神を見上げると、ぱちりと目が合った。

 目が合うと同時に、神が目を細める。
 ドキドキするよ。

 そう言えばさっき、私……神にかっこかわいいって言われたんだよね。それに頭をポンポンって……。
 思い出した途端、胸の奥が甘く温かい気持ちで溢れて来る。

 聞きたいな。私のこと、少しは特別だって思い始めてくれている?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

拝啓~私に婚約破棄を宣告した公爵様へ~

岡暁舟
恋愛
公爵様に宣言された婚約破棄……。あなたは正気ですか?そうですか。ならば、私も全力で行きましょう。全力で!!!

私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。

石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。 自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。 そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。 好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。 この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。 扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

~春の国~片足の不自由な王妃様

クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。 春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。 街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。 それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。 しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。 花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??

処理中です...