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第三章
佐藤との密約2
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外が暗くなってきたので、そろそろ帰ると佐藤が立ち上がった。
部屋を出たところで姉さんが気配を感じて、僕たちの下へとやってくる。
「もうお帰り?」
「はい、クリーニング有難うございました。代金は払いますから金額教えてもらえますか?」
「とんでもない! 私が迷惑をかけたんだから、こちらで払います!」
「いや、でも」
「そうだよ、佐藤君。姉さんの言うとおり、こちらで払わせてよ」
「うーん…」
佐藤はそれでも気になるのか、頭をガシガシと掻く。
姉さんは、「お願いします!」と言って佐藤のシャツをキュッと掴み、佐藤を見上げた。
わが姉ながらなんて可愛い仕草だ!と思っていたら、佐藤もそう思ったのだろう。頬が少し赤くなったようだ。
「あ、じゃあ…お願いします。出来上がったら…」
「私がお届けします!」
んん?
何だか姉さん、積極的だぞ?
僕に預ければ簡単なのに…、これってもしかして…。
「…ありがとうございます。でも、俺の家分からないでしょう?」
「そ、そうですけど…」
「じゃあ、俺がここに取りに来ますよ」
え?と思って佐藤を見上げると、嫌な感じはせずにこやかに笑っていた。
姉さんも佐藤の言葉にホッとしたようで嬉しそうに笑っている。
「手間…かけさせちゃうみたいでごめんなさい…。あの、その時は美味しいお茶菓子も用意します。甘い物、好きですか?」
「そうですねー、ほろ苦いチョコレート系とか、甘酸っぱいフルーツ系なんかは好きですね」
「分かりました! 準備してお待ちしてます」
頬を紅潮させ、佐藤を見上げる姉さん。…これは確実に恋する乙女だな…。
まあ佐藤は良い奴だから、僕としても応援しても良いんだけどさ。
佐藤は姉さんににっこり微笑んでからこちらを向いた。
「じゃあな、沢村。明日からそういう設定だから、よろしくな」
「う、うん」
僕の返事を聞いた佐藤は、人の悪そうな笑みを作り手を上げて去って行った。
「…はあ」
ちょっと脱力。
「由紀也?」
「あー、うん。何でもない。女装してるとさ、いろいろと考えないといけない事が出来ちゃって」
「…ごめんね、さっきは…」
「ああ、大丈夫。あの件に関しては、然程問題無かったみたいだし」
「それより姉さん!」
「な、何?」
「姉さん、佐藤君の事気に入ったの?」
「え?」
突然の僕の突っ込みに、一気に姉さんの顔が真っ赤になった。
…分かりやすすぎです、姉さん。
「や、だ…だって、凄く親切で、だからあの…」
僕がニヤニヤと見ていると、バツの悪そうな顔になっていった。
「…でも、三つも年下なんだよね…」
「佐藤君はそんな事、あまり気にしないと思うけど?」
「え?」
「大丈夫だよ、僕も応援するからさ。それに、脈、あるかもよ?」
そう言うと、姉さんはキョトンとした。
「佐藤君の顔見ててそう思った、簡単に諦めんなよ」
「…そうだね、ありがと」
そう言って笑う姉さんの顔は、弟の僕から見ても凄く可愛かった。
部屋を出たところで姉さんが気配を感じて、僕たちの下へとやってくる。
「もうお帰り?」
「はい、クリーニング有難うございました。代金は払いますから金額教えてもらえますか?」
「とんでもない! 私が迷惑をかけたんだから、こちらで払います!」
「いや、でも」
「そうだよ、佐藤君。姉さんの言うとおり、こちらで払わせてよ」
「うーん…」
佐藤はそれでも気になるのか、頭をガシガシと掻く。
姉さんは、「お願いします!」と言って佐藤のシャツをキュッと掴み、佐藤を見上げた。
わが姉ながらなんて可愛い仕草だ!と思っていたら、佐藤もそう思ったのだろう。頬が少し赤くなったようだ。
「あ、じゃあ…お願いします。出来上がったら…」
「私がお届けします!」
んん?
何だか姉さん、積極的だぞ?
僕に預ければ簡単なのに…、これってもしかして…。
「…ありがとうございます。でも、俺の家分からないでしょう?」
「そ、そうですけど…」
「じゃあ、俺がここに取りに来ますよ」
え?と思って佐藤を見上げると、嫌な感じはせずにこやかに笑っていた。
姉さんも佐藤の言葉にホッとしたようで嬉しそうに笑っている。
「手間…かけさせちゃうみたいでごめんなさい…。あの、その時は美味しいお茶菓子も用意します。甘い物、好きですか?」
「そうですねー、ほろ苦いチョコレート系とか、甘酸っぱいフルーツ系なんかは好きですね」
「分かりました! 準備してお待ちしてます」
頬を紅潮させ、佐藤を見上げる姉さん。…これは確実に恋する乙女だな…。
まあ佐藤は良い奴だから、僕としても応援しても良いんだけどさ。
佐藤は姉さんににっこり微笑んでからこちらを向いた。
「じゃあな、沢村。明日からそういう設定だから、よろしくな」
「う、うん」
僕の返事を聞いた佐藤は、人の悪そうな笑みを作り手を上げて去って行った。
「…はあ」
ちょっと脱力。
「由紀也?」
「あー、うん。何でもない。女装してるとさ、いろいろと考えないといけない事が出来ちゃって」
「…ごめんね、さっきは…」
「ああ、大丈夫。あの件に関しては、然程問題無かったみたいだし」
「それより姉さん!」
「な、何?」
「姉さん、佐藤君の事気に入ったの?」
「え?」
突然の僕の突っ込みに、一気に姉さんの顔が真っ赤になった。
…分かりやすすぎです、姉さん。
「や、だ…だって、凄く親切で、だからあの…」
僕がニヤニヤと見ていると、バツの悪そうな顔になっていった。
「…でも、三つも年下なんだよね…」
「佐藤君はそんな事、あまり気にしないと思うけど?」
「え?」
「大丈夫だよ、僕も応援するからさ。それに、脈、あるかもよ?」
そう言うと、姉さんはキョトンとした。
「佐藤君の顔見ててそう思った、簡単に諦めんなよ」
「…そうだね、ありがと」
そう言って笑う姉さんの顔は、弟の僕から見ても凄く可愛かった。
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