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第四章
お家にご招待
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いけない、いけない。
今日は梓と楽しく過ごす予定なんだ。
「で、話変わるけど、ご飯済んだらどっか行きたいところとかある?」
「あ…」
梓は何か言いたげで、だけど言おうかどうしようかと悩んでいるようだった。
「どこ?」
「う、うん。ゆ…由紀也は興味ないかもしれないんだけど…」
「いいよ。梓の行きたいとこって興味あるし」
ニッコリ笑って促すと、梓は恥ずかしいのか赤くなって俯きながらぼそぼそ喋った。
「えと、アーリーコワントに行きたい…。その、ネックレス…とか欲しいなって思って」
あああ、何だこれ!
恥ずかしげにネックレスが欲しいとか、可愛すぎるだろ!
「良いよ。ご飯終わったら見に行こう!」
これは嬉しすぎる。彼女のアクセを一緒に見てあげる彼氏の様ではないか!
梓は僕のそんな嬉しげな顔を見て、ホッとしたのか顔を赤らめたまま頷いた。
そしてようやく呼ばれた僕たちは、店員に案内されて席に着いた。梓はチーズインハンバーグ、僕はチキンの竜田揚げ。
「もしかして由紀也は今、一人なの?」
「あ? うん。そう」
「寂しくない?」
「うーん、どうだろ? 寂しくないと言えば嘘になるけど、夕方までは前田さんにしごかれているし、夜は好き勝手出来るから、適当に自由で楽しい方が強いかなあ」
「そうなんだ…」
「梓が来てくれたらもっと楽しいだろうけど、夜しか時間空いてないから、誘えないのが残念だね。それともー、女装して梓のお家に遊びに行っちゃおうかなー」
僕は気分が浮上していたので、軽―く冗談なんか言ってみる。すると、ハンバーグを切っている梓の手がぴたりと止まった。
「…それ、良いかも」
「へ?」
「由紀也、夜はどうしてるの?」
「…夜って?」
「だから、食事。ご飯とか作れるの?」
「あー、まあ、適当に。コンビニとか、デリバリーでピザとかお寿司とか…」
「だったら!明日稽古が終わったら、女装して家においでよ。それで家でご飯食べて、帰りは兄さんの車で送ってもらえばいいから!」
僕は梓のあまりにも嬉しいお誘いに目を瞬かせてしまった。
「いや、でも…。それはあまりにもご迷惑では…」
「なに変にかしこまってるんだよ。母さんはご飯振る舞うのは好きな方だし、佐藤も以前は良く家でご飯食べてたりしたぞ?」
「え?」
僕はそれを聞いて、かなり動揺してしまった。
本人同士にはその気は無くても、佐藤ってお母さんにかなり気に入られているとか…?
「だから気にしなくていいんだってば! それとも由紀はあたしんちに来たくないわけ?」
由紀也なんですけど、じゃなくて!
も、もしかして梓は僕を家に招待したいと思ってくれてるってこと…?
「い、行きたい…」
ドキドキしてきた。
ちょっと凹んだけれど、簡単に回復してしまった。これはかなり嬉しすぎる。
梓もその僕の気持ちに気づいてくれたんだろう。
「そっか」
梓は、ふわりと優しく笑ってくれた。
今日は梓と楽しく過ごす予定なんだ。
「で、話変わるけど、ご飯済んだらどっか行きたいところとかある?」
「あ…」
梓は何か言いたげで、だけど言おうかどうしようかと悩んでいるようだった。
「どこ?」
「う、うん。ゆ…由紀也は興味ないかもしれないんだけど…」
「いいよ。梓の行きたいとこって興味あるし」
ニッコリ笑って促すと、梓は恥ずかしいのか赤くなって俯きながらぼそぼそ喋った。
「えと、アーリーコワントに行きたい…。その、ネックレス…とか欲しいなって思って」
あああ、何だこれ!
恥ずかしげにネックレスが欲しいとか、可愛すぎるだろ!
「良いよ。ご飯終わったら見に行こう!」
これは嬉しすぎる。彼女のアクセを一緒に見てあげる彼氏の様ではないか!
梓は僕のそんな嬉しげな顔を見て、ホッとしたのか顔を赤らめたまま頷いた。
そしてようやく呼ばれた僕たちは、店員に案内されて席に着いた。梓はチーズインハンバーグ、僕はチキンの竜田揚げ。
「もしかして由紀也は今、一人なの?」
「あ? うん。そう」
「寂しくない?」
「うーん、どうだろ? 寂しくないと言えば嘘になるけど、夕方までは前田さんにしごかれているし、夜は好き勝手出来るから、適当に自由で楽しい方が強いかなあ」
「そうなんだ…」
「梓が来てくれたらもっと楽しいだろうけど、夜しか時間空いてないから、誘えないのが残念だね。それともー、女装して梓のお家に遊びに行っちゃおうかなー」
僕は気分が浮上していたので、軽―く冗談なんか言ってみる。すると、ハンバーグを切っている梓の手がぴたりと止まった。
「…それ、良いかも」
「へ?」
「由紀也、夜はどうしてるの?」
「…夜って?」
「だから、食事。ご飯とか作れるの?」
「あー、まあ、適当に。コンビニとか、デリバリーでピザとかお寿司とか…」
「だったら!明日稽古が終わったら、女装して家においでよ。それで家でご飯食べて、帰りは兄さんの車で送ってもらえばいいから!」
僕は梓のあまりにも嬉しいお誘いに目を瞬かせてしまった。
「いや、でも…。それはあまりにもご迷惑では…」
「なに変にかしこまってるんだよ。母さんはご飯振る舞うのは好きな方だし、佐藤も以前は良く家でご飯食べてたりしたぞ?」
「え?」
僕はそれを聞いて、かなり動揺してしまった。
本人同士にはその気は無くても、佐藤ってお母さんにかなり気に入られているとか…?
「だから気にしなくていいんだってば! それとも由紀はあたしんちに来たくないわけ?」
由紀也なんですけど、じゃなくて!
も、もしかして梓は僕を家に招待したいと思ってくれてるってこと…?
「い、行きたい…」
ドキドキしてきた。
ちょっと凹んだけれど、簡単に回復してしまった。これはかなり嬉しすぎる。
梓もその僕の気持ちに気づいてくれたんだろう。
「そっか」
梓は、ふわりと優しく笑ってくれた。
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