修行のため、女装して高校に通っています

らいち

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第五章

宇野の登場 2

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仕方がないので一旦ショッピングセンターを出て、どうしようかと考える。梓はさっきから一言も口を利かない。困ったな…。

「…あのさ、梓。さっき宇野が言ってたことは嘘だからな? 僕、宇野とデートしたことなんて一度もないよ」

僕の言葉を信じてないのか、梓はじっと僕を見つめる。何だか問いただされているようにも見えるんだけど…。

「…一緒に出掛けたことは一度もないと…?」

一緒に…。あー、無い事は無いな。

でもあれは、クラスの皆と大勢でボーリングしに行ったりカラオケ行ったりって感じで決してデートなんかじゃないぞ!

「クラスの皆と一緒になら有るけど、2人っきりのデートなんて一度も無いよ」
ちゃんと否定しているのに、梓はなぜかまだ不満げだ。

「梓…?」

呼ばれた梓はチラッと僕を横目で見る。その目はやっぱり責めている。なんか怖いんですけど!

「家…知ってんだな」

ハウッ!
妙な汗がダラダラ出てきた。
いや、何も疾しい事は無いですからね!

「や、それは仕方ないってゆーか…。えと、僕の家が特殊だから…。普通に知っている人が多いというか…。中学の時は、その…隠す必要がナカッタカラ…」

語尾が小さくなるのは許してほしい。梓がどんどん不機嫌になっていくんだよ…コワイ…。

「で、その宇野さんが由紀の家に遊びに行ったんだ? それで歓待したと」
「や、違う! …いや、えっと違わないんだけど、歓待したのは僕じゃなくて姉さんだからね!」

そう言うと梓は目をぱちぱちさせた。
あ、もしかしたら宇野の「会いに行ったら優しくしてくれた」って言葉が一番気に入らなかったのか?

「確かに宇野は家に来たよ。だけど僕は宇野の気持ちには応えられないから、あいさつ程度の言葉を交わして、稽古を理由に帰ってもらおうとしたんだよ。だけどそれを見かけた姉さんが同情して、居間に上げてしばらく話をしていたみたいなんだ」

僕から語られる真相があまりにも意外だったのだろう。梓は気の抜けたような顔で僕を見ている。

「だから、優しくしてあげたのは姉さんで、僕じゃないよ」
「…そっか。…ごめん、由紀の事、信じるべきだったのに…」
「良いよ。分かってくれれば」

ゴタゴタしている間に時間だけが過ぎてしまう。

今はせっかく素のままの僕だ。明日からはまた、こんな二人っきりの時間は取れそうにもない。
恋人の時間をしっかり満喫しなくちゃ。

僕は梓にスッと手を出す。
それに気づいた梓が、さっきとは違うはにかんだ笑顔で僕の手を握り返した。
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