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第六章
一大決心 1
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結局、あの後すぐに休憩時間が終わり、梓は帰って行った。
あの日は女子バレーの部活が休みになったので、少しの時間でも僕に会いたいと思ってくれた梓が、お昼の休憩に合わせてわざわざ出て来てくれたのだ。
だけどそれ以降は会うことが出来ないでいたので、もっぱら夜、電話で話すことが楽しみになっていた。
そして、いよいよ僕ら一行は東北第二ホテルへとやって来ていた。僕ら男5人は大部屋で、姉さんと母さんはツインで泊る事になっている。
それぞれ部屋に荷物を置いた後、早速現場を見に行くことにした。
皆で舞台上の立ち位置などを確認しながら、通しでやってみることになる。
ブルンッ。
ああ、何だか武者震いがする。
そうだよな、みんなは頻繁に舞台に立っているから当たり前の事になっているんだろうけど、僕は舞台に立つのは半年ぶりくらいだ。
緊張して…当たり前の事だよな。
舞台の初日はいよいよ明後日。そして明日には、梓がお母さんと一緒に泊まりに来る。
あ~、なんか別の意味で緊張してしまう。
「ドキドキしてきたね」
気が付くと姉さんが隣にやって来て、どことなく緊張した面持ちだ。
「でも、久しぶりの僕に較べるとそうでもないんじゃない?」
僕がそう言うと、何故か困ったような笑顔を見せた。
「う~ん、実はちょっと違った緊張感。…明後日の舞台は大輔君が来てくれるから、そう思うと何だか…あ~緊張するっ!」
そう言いながら自分の顔をパンパン叩く。本当に緊張しまくってると言った感じだ。
「そう言えば佐藤君もお母さんと一緒らしいね」
「うん。佐藤君のお母さんね、梓ちゃんのお母さんから今回の舞台の話しを聞かされて、自分も行ってみたいって密かに思ってくれてたらしいの。で、そんな時に大輔君から友達の舞台見に行くから東北に行くって聞かされて、お母さんが大輔君に一緒に行こうって強引に誘ったらしいのよ」
「そっか―、じゃあ姉さんも余計に緊張するわけだ」
「まあ、ね」
はははと、乾いた笑いをこぼしながら遠くに目を向ける。
だけどすぐに視線を僕に戻した。
「でも、リラックスして頑張ろうね」
いい意味で何かを振り切ったように僕を見た。
うん、良い表情。
僕も頑張ろうって気持ちになれる。
「もちろん!」
僕も最高の笑顔で返事をした。
あの日は女子バレーの部活が休みになったので、少しの時間でも僕に会いたいと思ってくれた梓が、お昼の休憩に合わせてわざわざ出て来てくれたのだ。
だけどそれ以降は会うことが出来ないでいたので、もっぱら夜、電話で話すことが楽しみになっていた。
そして、いよいよ僕ら一行は東北第二ホテルへとやって来ていた。僕ら男5人は大部屋で、姉さんと母さんはツインで泊る事になっている。
それぞれ部屋に荷物を置いた後、早速現場を見に行くことにした。
皆で舞台上の立ち位置などを確認しながら、通しでやってみることになる。
ブルンッ。
ああ、何だか武者震いがする。
そうだよな、みんなは頻繁に舞台に立っているから当たり前の事になっているんだろうけど、僕は舞台に立つのは半年ぶりくらいだ。
緊張して…当たり前の事だよな。
舞台の初日はいよいよ明後日。そして明日には、梓がお母さんと一緒に泊まりに来る。
あ~、なんか別の意味で緊張してしまう。
「ドキドキしてきたね」
気が付くと姉さんが隣にやって来て、どことなく緊張した面持ちだ。
「でも、久しぶりの僕に較べるとそうでもないんじゃない?」
僕がそう言うと、何故か困ったような笑顔を見せた。
「う~ん、実はちょっと違った緊張感。…明後日の舞台は大輔君が来てくれるから、そう思うと何だか…あ~緊張するっ!」
そう言いながら自分の顔をパンパン叩く。本当に緊張しまくってると言った感じだ。
「そう言えば佐藤君もお母さんと一緒らしいね」
「うん。佐藤君のお母さんね、梓ちゃんのお母さんから今回の舞台の話しを聞かされて、自分も行ってみたいって密かに思ってくれてたらしいの。で、そんな時に大輔君から友達の舞台見に行くから東北に行くって聞かされて、お母さんが大輔君に一緒に行こうって強引に誘ったらしいのよ」
「そっか―、じゃあ姉さんも余計に緊張するわけだ」
「まあ、ね」
はははと、乾いた笑いをこぼしながら遠くに目を向ける。
だけどすぐに視線を僕に戻した。
「でも、リラックスして頑張ろうね」
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うん、良い表情。
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「もちろん!」
僕も最高の笑顔で返事をした。
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