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第六章
実感 1
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僕の緊張感たっぷりの顔を見て、お母さんがクスッと笑う。
「実はね、いつ言ってくれるかなーと思っていたのよ」
「え?」
僕はびっくりして梓を振り返った。
「え? 違うから! あたしは何も言ってないよ」
梓は焦ったようにぶんぶんと首を振った。
ええ~っ、じゃあいつ知ったんだ?
だって僕がお母さんに会ったのは、あの1回きりだよ?
「そう、ゴールデンウイークに遊びに来てくれたでしょ? あの時にね、そうなんじゃないかなーって思ったのよ」
「え? でもあの時はまだ…」
「あら、そうだったの。私は由紀也君が帰るときのやり取りを聞いて確信したんだけどね」
え、えーと…。
帰り際のやり取りって…?
あ、もしかしたら送るだの送らないだののあれか!
僕がハッとした顔でお母さんの顔を見たら、「思い当たった?」といたずらっぽい笑顔で聞かれた。
「はい…。でもその時はまだ僕ら付き合ってませんでした」
「あら、そうなの?」
「…でもその後すぐに告白とかしちゃったんですけどね」
「ああやっぱりねえ」
納得といった感じでお母さんが楽しそうに笑う。その隣で梓が気まずげだ。
多分、僕らの玄関先でのやり取りで僕らが互いに好意を抱いていることに気が付いて、帰ってきた梓を見て確信したのだろう。
何だかちょっと照れくさい。
僕はすうっと息を吸い込んで、あらためてお母さんに向き直った。
「梓さんには癒されたり、励まされたりで僕にとって凄く大事な人なんです。僕たちの交際をどうか認めて下さい。お願いします!」
「由紀也君、やだわ。顔上げて! 認めるも何も大賛成だから!」
僕が頭を下げてると、お母さんは慌てて僕の頭を上げさせようとした。
「あ、有難うございます!」
梓の方を見ると、何だか苦笑いをしている。
結果オーライではあるけど、何の打ち合わせもしていなかったので冷や冷やしていたのだろう。
心配かけてごめんな、と心の中で謝っておこう。
「じゃあ、僕行きますね。おやすみなさい」
「おやすみ」
「おやすみ由紀」
僕は梓と梓のお母さんに手を振って、ドアを閉めた。
よっしゃー!
これで一つ荷は下りた。あとはもう、明日の事だけを考えよう。
「実はね、いつ言ってくれるかなーと思っていたのよ」
「え?」
僕はびっくりして梓を振り返った。
「え? 違うから! あたしは何も言ってないよ」
梓は焦ったようにぶんぶんと首を振った。
ええ~っ、じゃあいつ知ったんだ?
だって僕がお母さんに会ったのは、あの1回きりだよ?
「そう、ゴールデンウイークに遊びに来てくれたでしょ? あの時にね、そうなんじゃないかなーって思ったのよ」
「え? でもあの時はまだ…」
「あら、そうだったの。私は由紀也君が帰るときのやり取りを聞いて確信したんだけどね」
え、えーと…。
帰り際のやり取りって…?
あ、もしかしたら送るだの送らないだののあれか!
僕がハッとした顔でお母さんの顔を見たら、「思い当たった?」といたずらっぽい笑顔で聞かれた。
「はい…。でもその時はまだ僕ら付き合ってませんでした」
「あら、そうなの?」
「…でもその後すぐに告白とかしちゃったんですけどね」
「ああやっぱりねえ」
納得といった感じでお母さんが楽しそうに笑う。その隣で梓が気まずげだ。
多分、僕らの玄関先でのやり取りで僕らが互いに好意を抱いていることに気が付いて、帰ってきた梓を見て確信したのだろう。
何だかちょっと照れくさい。
僕はすうっと息を吸い込んで、あらためてお母さんに向き直った。
「梓さんには癒されたり、励まされたりで僕にとって凄く大事な人なんです。僕たちの交際をどうか認めて下さい。お願いします!」
「由紀也君、やだわ。顔上げて! 認めるも何も大賛成だから!」
僕が頭を下げてると、お母さんは慌てて僕の頭を上げさせようとした。
「あ、有難うございます!」
梓の方を見ると、何だか苦笑いをしている。
結果オーライではあるけど、何の打ち合わせもしていなかったので冷や冷やしていたのだろう。
心配かけてごめんな、と心の中で謝っておこう。
「じゃあ、僕行きますね。おやすみなさい」
「おやすみ」
「おやすみ由紀」
僕は梓と梓のお母さんに手を振って、ドアを閉めた。
よっしゃー!
これで一つ荷は下りた。あとはもう、明日の事だけを考えよう。
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