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始まりは淫魔から
超一夫多妻
【第一章 始まりは淫魔から】
薄暗い闇の中、何年ここに閉じ込められているのだろう。激しい破裂音と、艶めかしい女の声。パンパン。
「んッ……あぁ! す、凄いです──ぃ、イグッ!!♡」
身体を痙攣させ、光悦の表情を浮かべながら目の前に倒れる美女。
今日はこれで18人目。余韻に浸る時間なんて無い。
「マルク、次は私よ」
直ぐに次の相手がお出迎えだ。
この闇の中には100を超えるサキュバスが住んでいる。
いや、訂正しよう。それは俺がここに堕とされた時の数。今や彼女達は300を超えていた。
俺は誘惑してくるサキュバスの腕を掴むと、強引に身体を引き寄せる。
「流石、まだまだ精力は衰えてないようね。けど、私がさっきの小娘みたいに簡単にイキまくると思ったら大間違──んおおお゛ッ!♡♡」
直ぐにペニスを引き抜き、サキュバスの中でも吊り目でキツい性格をした個体リゼラ・テレスタントの膣へと挿入。
すると、即堕ち2コマ顔負けのクソ雑魚マンコっぷりでアヘ顔を晒し始める。
最初は散々弄ばれたが、もう負ける事はないだろう。
コイツは入り口付近を押すように突き上げられるのが弱い。更には──
「へ、はへッ!?♡ ま、待って、そっちは──ひ、んほぉぉお゛!♡」
身体を入れ替え、バックでガン突きしながら人差し指をアナルに挿入。
止めどなく噴射される潮と、溢れ出る愛汁、彼女が絶頂に至るまで然程時間は掛からなかった。
「リゼラ、いくぞ……全部受け止めろ!」
「あッ、ま、またマルクの子供孕んじゃうぅッ!♡ 子沢山お母さんにされちゃ──ぅ、んひぃぃい!♡♡」
どぴゅ、ドクドクドク。
リゼラの肉厚マンコに中出しをし、俺は額の汗を拭った。だが、まだ休む暇は無い。
「パパ~、クソ雑魚ママなんか放っておいて、次は私としよ?♡」
凛とした可愛らしいサキュバスが腕に引っ付いてくる。リゼラよりも背が低く若いが、ロリではない。けど、胸もない。
そう、察しがいい人なら気が付いているだろうが彼女は俺の娘アリス・テレスタント。
サキュバスの相手をしている内に、サキュバスと俺の子が産まれ、その子の相手もしているのだ。
彼女達の懐妊から出産、子供の成長スピードは人間とは比較にならない程早い。
しかも、女の子(全員めっちゃ可愛い)しか産まれない。
「ねぇ、お願ぁ~い♡」
直ぐ産んで、直ぐエッチできる身体になって、直ぐ男根を求めてくる。
最初いたサキュバスは全員俺の奥さんになり、余裕で相手ができるようになった頃には次は子供の相手をしなければならなくなった。
ある種の無限ループとも言えようか。
「こっちにおいで、アリス」
「うん、パパ大好き!」
華奢な身体を後ろから抱きしめ、彼女の乳首をコリコリと弄ると「んんッ!♡」と敏感に反応する。
実の娘の身体だ、弱点を知らないはずもない。
貧乳故の敏感勃起乳首は、アリスの脳に充分な快楽を与えた。
しかし──まだ、まだまだまだまだセックスは続く。ぞろぞろと俺を待ち侘びる美少女が列を成していた。
俺は必死にサキュバス達の相手をした。
一日に一万回、快楽のピストン。
何年もしている内に、少しだけ休憩する時間ができた。
その分、俺を裏切りここ「淫魔の巣」に堕とした勇者への呪詛を口遊む。
永遠に続く地獄とも天国とも呼べる刻の中を彷徨う内に、ある事に気が付いた。
「次の子供が、産まれてない……?」
一帯に広がる余韻に浸ったサキュバス達。
俺のピストンは音を置き去りにしたのだ。
……なんて、無駄スキルの報告はさて置き。
とにかく俺は、持ち前のタフさで淫魔の巣を攻略したわけだ。
今では沢山の家族に囲まれ、それなりに幸せに過ごしていた。
元勇者パーティーのタンク役は伊達じゃない、てね。
──だが、そんな平和な日々は長くは続かなかった。
「マルク、ちょっと相談があるんだけど」
「あ゛ぁッ! しゅ、しゅごいのぉお! パパのオチンポ、最高ォ!♡♡」
「ん? どうした、改まって」
俺がレシルス・コーリングの娘とセックスしていると、リゼラが少し暗い面持ちで俺に話しかけてきた。
長年一緒にいるが、彼女のこんな表情を見るのは初めてだ。
一体、何があったというのだろう。
「実は……この所、魔王様からの配給が止められてて……」
「な──なんだって!?」
「ひゃ、はひんッ!♡」
その言葉に驚き、思わずペニスが抜けてしまう。いや、今はセックスどころではない。
「止められたって、どういうことだよ!?」
「せ、正確には配給が来ないって話なんだけど」
「なんで!? 何か悪いことしたっけ!?」
魔王様の配給は週に一度行われる。
サキュバスとて、精液だけ喰っていては生きては行けない。
人間界で生きる為には定期的に魔界から送られてくる魔石と呼ばれる宝石が必要なのだ。
そこから魔界の魔力を取り込み、人間界で生存する必要がある。
「配給が無ければ、お前たちはここに存在できない……となると、魔界に帰ってしまうのか?」
「い、いえ! そういうわけではなくて……いや、事実魔界に帰らなければ私達は消滅してしまうのだけど……」
「だったら急いで帰って、また魔力が溜まったらこっちに──」
「ダメなんです、それじゃあ」
「え?」
リゼラは膝を折り、その場に愕然とした。
別に、永遠の別れという意味でもないだろうに。
俺とちょっと離れるだけにしては、リアクションが重すぎる。
「私達は魔界に一旦帰ればいいかも知れない……けれど、その魔界に行く為の門《ゲート》が閉鎖されてしまった」
「んな、門が封鎖!? 一体どうして!?」
「勇者による侵攻が進んで……今や、各地に点在する門は人間の拠点となったの」
「なん……だと……」
あのへっぽこナルシスト勇者が、魔族に勝っているだと? そんな事、ありえるのか。
「な、なら俺が頑張って門の一つを解放する。なに、これでも元勇者パーティーの一員なんだ。普通の人間程度なら、容易く退けてみせるさ」
「……それでも、ダメ」
「──なるほど、そういうことか」
リゼラの視線が、ぐったりとするレシルスに向いた。俺はようやくと、彼女の言いたかった事を理解する。
「コイツらは、俺の娘は魔族と人間のハーフ。魔界の瘴気の中で生きることもできなければ、魔石無しで人間界に居座ることもできない……か」
一応、魔界で数日間生きる為の防護魔法は存在するが……それじゃあなんの解決策にもならない。
「はぇ……ぱ、パパ? 怖い顔してる……」
「あぁ、違う違う。ちょっとだけ、難しい話をしててね。後で構ってやるから、少しだけ待っててくれ」
「う、うん! でも、まだ私の番は終わってないからね!」
そう言うと、レシルスの娘は無邪気に駆けていった。いかんいかん、子供達の前でこんな顔……子を不安にさせてるようじゃ父親失格だ。
「……しかし、どうしたものか」
「私達はこのまま、貴方の元で滅びても構わない。けど、子供達はどうにかして助けてあげたいの」
「馬鹿言うな。子供も、お前も、お前達も全員一緒じゃなきゃ意味ねーだろ」
「……」
「俺は全員愛している。だから、全員が助かる方法を考えねーといけねぇ」
「……マルクのそういうとこ、私好きよ」
「俺はタンク役だ。お前らの愛も、全部余す所無く受け止めてやる」
俺は心に誓っていた。彼女達サキュバスと暮らすようになってから、家族として、父として生涯守り切ることを。だから。
「ちょ、ちょっと、どこ行くつもり!?」
立ち上がる俺を止めるようにしてしがみついてくるリゼラ。
俺は驚く彼女と真っ直ぐに視線を合わせ、こう告げた。
「勇者と会ってくる」
「え!? ゆ、勇者に!?」
「あぁ、根っこの問題を解決するにはそれしかねぇ。魔族と人間、力の拮抗を保つ為には奴の存在が邪魔だ」
「でも……貴方は」
「分かってる、耐久力だけの男さ。けど、アイツらは一応顔見知りだ。事情を説明すれば、分かってもらえるかもしれない」
例え、聞き入れてもらえなくても油断した所を襲えば、チャンスはあるかもしれない。と、思っていたのだが。
「ねぇ、マルク、もしかして気が付いてないの?」
「ん、なにに?」
「貴方がここに来て、300年の時間が過ぎてるのよ?」
「……………………は?」
ちょっと待て、急に何を言ってるんだ?
300年って今はそんな冗談言ってる場合じゃないだろうに。
「はぁ、鈍感だとは思っていたけど、まさかここまでとは……」
「い、いやいやいや、おかしいだろ、俺は人間だ。仮に300年の時間が過ぎていたとしても、普通に寿命が……てか、姿変わってないし!」
「サキュバスの体液には欲情効果に加え、人間の成長を止める効果があるのよ」
「──え!?」
「好きな男は一生、そのままの身体でいて欲しいじゃない。まぁ、大抵の男は心と精力が尽きて死んじゃうんだけどね」
「そ、そうだったのかぁ……って、納得できるか!」
「納得も何も、真実なんだから仕方ないじゃない。私がマルクに嘘を吐くとでも?」
「ぐぬ……それは、無い。絶対に」
さ、300年かぁ。そうだよな、あのへっぽこ勇者が魔王様に迫る力も度胸もあるわけないもんな。
世代交代したって事か……そうなると、話は変わってくるな。
「大家族になってるんだし、気が付いてるかと思ってたわ」
「……は、はは……ははは」
サキュバスは直ぐ孕むし、子供の成長は早いなぁ~なんて思ってたけど、俺の時間感覚が狂ってただけだったのか。
「鈍感だな、俺って……ダメな奴だ」
「ん、自分を卑下しないの。大黒柱でしょ?」
「あ、あぁ、そうだ」
「私達は全員、人間だけど愛してくれてる貴方を愛しているし、信頼してる。だから、あまり無茶はしないで」
「リゼラ……だけど、俺は──」
「分かってる、行くんでしょ? 私達を助ける為に」
「──うん」
無茶だとしても、無理だとしても、やらなければならない。全ての愛を受け止め、守り切る。
それが、彼女達のタンクとしての役割であり、俺がやり切りたい事だから。
崩れぬ決意の表情をリゼラに向けると、彼女はポンッと手を叩き、こう言った。
「だったら、頭の足りない旦那様に、私が一つ提案をしてあげる」
「提案?」
「そ、先ずは勇者を倒す為の軍団を作るの。魔族は疲弊してるから、人間に協力してもらう」
「人間にって……それこそ、無理難題じゃないか? 俺の事を知ってる奴なんて、誰一人生きてないだろうし」
いや、もしかしたら一人だけ。アイツなら生きている可能性もあるが。
「知り合いである必要なんてないって、無理矢理犯せばいいじゃない」
「な!? お、犯す?」
「そして淫紋さえ刻めば、マルクの性奴隷が完成~晴れてパーティーメンバーの仲間入りってわけ」
な、なんてサキュバス的思考回路なんだ。
そうだ、彼女達はサキュバスだったわ。
「し、しかしだな……俺に淫紋を刻む力なんて」
「私達の相手ばかりしてるから気が付かないのも無理はないけど、もう充分にその力は備わってるよ」
「……そうなのか。俺も半人半魔ってことだな」
「もし淫紋が使えなかったとしても、貴方のテクニックは超一級品。並の女なら、その肉棒は一生忘れられなくなる」
「で、でもさ……」
「ん?」
「ほ、他の女を抱いたら浮気になるんじゃないのか?」
「はへ……? く、ククク──ハハハッ!!」
俺の台詞を聞くと、リゼラは大爆笑した。
更には周りに言いふらし始め、他の妻も子供達も皆一緒に俺を笑った。
そんな風に笑われてると、恥ずかしくなり狼狽してしまう。
「な、なんだよ!!」
「ごめんごめん、今更そんな台詞が、しかもサキュバス相手に出るとは思ってなくて……クク」
「くそぅ、俺は皆の事を思ってだなぁ」
「分かってる、でも、そんなこと気にしないで。むしろ、抱いた女をここに連れてきてもいいよ? 私達がお持てなししてあげるから」
「気が向いたらな……」
「……でも、その……」
散々笑い者にした後、彼女は誰にも聞こえないよう耳打ちをしてくる。
「や、優しいエッチは私達だけにしてほしい……かな」
なんだよ、可愛いとこあんじゃん。
愛情たっぷりセックスは自分達の特権にしたいってことだな。うん、承知した。
俺は彼女の言葉に頷き返し、出発の準備を進めた。
長いこといた淫魔の巣とも、一旦お別れだ。
「マルク、私達は魔力節約の為に冬眠状態に入るから。もって3年、それまでに」
「了解した。必ず全員の未来を守ってみせる……だから、待っていてくれ!」
出口へ向かうと、家族総出で見送りしてくれた。
「いってらっしゃい、貴方」「パパー! 頑張ってねぇ」「ご無事を祈っています」「うぅ、絶対帰ってきて……うぅ」「もっとエッチしたかった」
俺は彼女達の声を背に、300年ぶりに地上へと足を踏み出す。
「俺に……任せておけ!!!」
そして拳を突き上げ、言葉を返した。
こうして、俺の「打倒、勇者」な旅は始まったのである。
薄暗い闇の中、何年ここに閉じ込められているのだろう。激しい破裂音と、艶めかしい女の声。パンパン。
「んッ……あぁ! す、凄いです──ぃ、イグッ!!♡」
身体を痙攣させ、光悦の表情を浮かべながら目の前に倒れる美女。
今日はこれで18人目。余韻に浸る時間なんて無い。
「マルク、次は私よ」
直ぐに次の相手がお出迎えだ。
この闇の中には100を超えるサキュバスが住んでいる。
いや、訂正しよう。それは俺がここに堕とされた時の数。今や彼女達は300を超えていた。
俺は誘惑してくるサキュバスの腕を掴むと、強引に身体を引き寄せる。
「流石、まだまだ精力は衰えてないようね。けど、私がさっきの小娘みたいに簡単にイキまくると思ったら大間違──んおおお゛ッ!♡♡」
直ぐにペニスを引き抜き、サキュバスの中でも吊り目でキツい性格をした個体リゼラ・テレスタントの膣へと挿入。
すると、即堕ち2コマ顔負けのクソ雑魚マンコっぷりでアヘ顔を晒し始める。
最初は散々弄ばれたが、もう負ける事はないだろう。
コイツは入り口付近を押すように突き上げられるのが弱い。更には──
「へ、はへッ!?♡ ま、待って、そっちは──ひ、んほぉぉお゛!♡」
身体を入れ替え、バックでガン突きしながら人差し指をアナルに挿入。
止めどなく噴射される潮と、溢れ出る愛汁、彼女が絶頂に至るまで然程時間は掛からなかった。
「リゼラ、いくぞ……全部受け止めろ!」
「あッ、ま、またマルクの子供孕んじゃうぅッ!♡ 子沢山お母さんにされちゃ──ぅ、んひぃぃい!♡♡」
どぴゅ、ドクドクドク。
リゼラの肉厚マンコに中出しをし、俺は額の汗を拭った。だが、まだ休む暇は無い。
「パパ~、クソ雑魚ママなんか放っておいて、次は私としよ?♡」
凛とした可愛らしいサキュバスが腕に引っ付いてくる。リゼラよりも背が低く若いが、ロリではない。けど、胸もない。
そう、察しがいい人なら気が付いているだろうが彼女は俺の娘アリス・テレスタント。
サキュバスの相手をしている内に、サキュバスと俺の子が産まれ、その子の相手もしているのだ。
彼女達の懐妊から出産、子供の成長スピードは人間とは比較にならない程早い。
しかも、女の子(全員めっちゃ可愛い)しか産まれない。
「ねぇ、お願ぁ~い♡」
直ぐ産んで、直ぐエッチできる身体になって、直ぐ男根を求めてくる。
最初いたサキュバスは全員俺の奥さんになり、余裕で相手ができるようになった頃には次は子供の相手をしなければならなくなった。
ある種の無限ループとも言えようか。
「こっちにおいで、アリス」
「うん、パパ大好き!」
華奢な身体を後ろから抱きしめ、彼女の乳首をコリコリと弄ると「んんッ!♡」と敏感に反応する。
実の娘の身体だ、弱点を知らないはずもない。
貧乳故の敏感勃起乳首は、アリスの脳に充分な快楽を与えた。
しかし──まだ、まだまだまだまだセックスは続く。ぞろぞろと俺を待ち侘びる美少女が列を成していた。
俺は必死にサキュバス達の相手をした。
一日に一万回、快楽のピストン。
何年もしている内に、少しだけ休憩する時間ができた。
その分、俺を裏切りここ「淫魔の巣」に堕とした勇者への呪詛を口遊む。
永遠に続く地獄とも天国とも呼べる刻の中を彷徨う内に、ある事に気が付いた。
「次の子供が、産まれてない……?」
一帯に広がる余韻に浸ったサキュバス達。
俺のピストンは音を置き去りにしたのだ。
……なんて、無駄スキルの報告はさて置き。
とにかく俺は、持ち前のタフさで淫魔の巣を攻略したわけだ。
今では沢山の家族に囲まれ、それなりに幸せに過ごしていた。
元勇者パーティーのタンク役は伊達じゃない、てね。
──だが、そんな平和な日々は長くは続かなかった。
「マルク、ちょっと相談があるんだけど」
「あ゛ぁッ! しゅ、しゅごいのぉお! パパのオチンポ、最高ォ!♡♡」
「ん? どうした、改まって」
俺がレシルス・コーリングの娘とセックスしていると、リゼラが少し暗い面持ちで俺に話しかけてきた。
長年一緒にいるが、彼女のこんな表情を見るのは初めてだ。
一体、何があったというのだろう。
「実は……この所、魔王様からの配給が止められてて……」
「な──なんだって!?」
「ひゃ、はひんッ!♡」
その言葉に驚き、思わずペニスが抜けてしまう。いや、今はセックスどころではない。
「止められたって、どういうことだよ!?」
「せ、正確には配給が来ないって話なんだけど」
「なんで!? 何か悪いことしたっけ!?」
魔王様の配給は週に一度行われる。
サキュバスとて、精液だけ喰っていては生きては行けない。
人間界で生きる為には定期的に魔界から送られてくる魔石と呼ばれる宝石が必要なのだ。
そこから魔界の魔力を取り込み、人間界で生存する必要がある。
「配給が無ければ、お前たちはここに存在できない……となると、魔界に帰ってしまうのか?」
「い、いえ! そういうわけではなくて……いや、事実魔界に帰らなければ私達は消滅してしまうのだけど……」
「だったら急いで帰って、また魔力が溜まったらこっちに──」
「ダメなんです、それじゃあ」
「え?」
リゼラは膝を折り、その場に愕然とした。
別に、永遠の別れという意味でもないだろうに。
俺とちょっと離れるだけにしては、リアクションが重すぎる。
「私達は魔界に一旦帰ればいいかも知れない……けれど、その魔界に行く為の門《ゲート》が閉鎖されてしまった」
「んな、門が封鎖!? 一体どうして!?」
「勇者による侵攻が進んで……今や、各地に点在する門は人間の拠点となったの」
「なん……だと……」
あのへっぽこナルシスト勇者が、魔族に勝っているだと? そんな事、ありえるのか。
「な、なら俺が頑張って門の一つを解放する。なに、これでも元勇者パーティーの一員なんだ。普通の人間程度なら、容易く退けてみせるさ」
「……それでも、ダメ」
「──なるほど、そういうことか」
リゼラの視線が、ぐったりとするレシルスに向いた。俺はようやくと、彼女の言いたかった事を理解する。
「コイツらは、俺の娘は魔族と人間のハーフ。魔界の瘴気の中で生きることもできなければ、魔石無しで人間界に居座ることもできない……か」
一応、魔界で数日間生きる為の防護魔法は存在するが……それじゃあなんの解決策にもならない。
「はぇ……ぱ、パパ? 怖い顔してる……」
「あぁ、違う違う。ちょっとだけ、難しい話をしててね。後で構ってやるから、少しだけ待っててくれ」
「う、うん! でも、まだ私の番は終わってないからね!」
そう言うと、レシルスの娘は無邪気に駆けていった。いかんいかん、子供達の前でこんな顔……子を不安にさせてるようじゃ父親失格だ。
「……しかし、どうしたものか」
「私達はこのまま、貴方の元で滅びても構わない。けど、子供達はどうにかして助けてあげたいの」
「馬鹿言うな。子供も、お前も、お前達も全員一緒じゃなきゃ意味ねーだろ」
「……」
「俺は全員愛している。だから、全員が助かる方法を考えねーといけねぇ」
「……マルクのそういうとこ、私好きよ」
「俺はタンク役だ。お前らの愛も、全部余す所無く受け止めてやる」
俺は心に誓っていた。彼女達サキュバスと暮らすようになってから、家族として、父として生涯守り切ることを。だから。
「ちょ、ちょっと、どこ行くつもり!?」
立ち上がる俺を止めるようにしてしがみついてくるリゼラ。
俺は驚く彼女と真っ直ぐに視線を合わせ、こう告げた。
「勇者と会ってくる」
「え!? ゆ、勇者に!?」
「あぁ、根っこの問題を解決するにはそれしかねぇ。魔族と人間、力の拮抗を保つ為には奴の存在が邪魔だ」
「でも……貴方は」
「分かってる、耐久力だけの男さ。けど、アイツらは一応顔見知りだ。事情を説明すれば、分かってもらえるかもしれない」
例え、聞き入れてもらえなくても油断した所を襲えば、チャンスはあるかもしれない。と、思っていたのだが。
「ねぇ、マルク、もしかして気が付いてないの?」
「ん、なにに?」
「貴方がここに来て、300年の時間が過ぎてるのよ?」
「……………………は?」
ちょっと待て、急に何を言ってるんだ?
300年って今はそんな冗談言ってる場合じゃないだろうに。
「はぁ、鈍感だとは思っていたけど、まさかここまでとは……」
「い、いやいやいや、おかしいだろ、俺は人間だ。仮に300年の時間が過ぎていたとしても、普通に寿命が……てか、姿変わってないし!」
「サキュバスの体液には欲情効果に加え、人間の成長を止める効果があるのよ」
「──え!?」
「好きな男は一生、そのままの身体でいて欲しいじゃない。まぁ、大抵の男は心と精力が尽きて死んじゃうんだけどね」
「そ、そうだったのかぁ……って、納得できるか!」
「納得も何も、真実なんだから仕方ないじゃない。私がマルクに嘘を吐くとでも?」
「ぐぬ……それは、無い。絶対に」
さ、300年かぁ。そうだよな、あのへっぽこ勇者が魔王様に迫る力も度胸もあるわけないもんな。
世代交代したって事か……そうなると、話は変わってくるな。
「大家族になってるんだし、気が付いてるかと思ってたわ」
「……は、はは……ははは」
サキュバスは直ぐ孕むし、子供の成長は早いなぁ~なんて思ってたけど、俺の時間感覚が狂ってただけだったのか。
「鈍感だな、俺って……ダメな奴だ」
「ん、自分を卑下しないの。大黒柱でしょ?」
「あ、あぁ、そうだ」
「私達は全員、人間だけど愛してくれてる貴方を愛しているし、信頼してる。だから、あまり無茶はしないで」
「リゼラ……だけど、俺は──」
「分かってる、行くんでしょ? 私達を助ける為に」
「──うん」
無茶だとしても、無理だとしても、やらなければならない。全ての愛を受け止め、守り切る。
それが、彼女達のタンクとしての役割であり、俺がやり切りたい事だから。
崩れぬ決意の表情をリゼラに向けると、彼女はポンッと手を叩き、こう言った。
「だったら、頭の足りない旦那様に、私が一つ提案をしてあげる」
「提案?」
「そ、先ずは勇者を倒す為の軍団を作るの。魔族は疲弊してるから、人間に協力してもらう」
「人間にって……それこそ、無理難題じゃないか? 俺の事を知ってる奴なんて、誰一人生きてないだろうし」
いや、もしかしたら一人だけ。アイツなら生きている可能性もあるが。
「知り合いである必要なんてないって、無理矢理犯せばいいじゃない」
「な!? お、犯す?」
「そして淫紋さえ刻めば、マルクの性奴隷が完成~晴れてパーティーメンバーの仲間入りってわけ」
な、なんてサキュバス的思考回路なんだ。
そうだ、彼女達はサキュバスだったわ。
「し、しかしだな……俺に淫紋を刻む力なんて」
「私達の相手ばかりしてるから気が付かないのも無理はないけど、もう充分にその力は備わってるよ」
「……そうなのか。俺も半人半魔ってことだな」
「もし淫紋が使えなかったとしても、貴方のテクニックは超一級品。並の女なら、その肉棒は一生忘れられなくなる」
「で、でもさ……」
「ん?」
「ほ、他の女を抱いたら浮気になるんじゃないのか?」
「はへ……? く、ククク──ハハハッ!!」
俺の台詞を聞くと、リゼラは大爆笑した。
更には周りに言いふらし始め、他の妻も子供達も皆一緒に俺を笑った。
そんな風に笑われてると、恥ずかしくなり狼狽してしまう。
「な、なんだよ!!」
「ごめんごめん、今更そんな台詞が、しかもサキュバス相手に出るとは思ってなくて……クク」
「くそぅ、俺は皆の事を思ってだなぁ」
「分かってる、でも、そんなこと気にしないで。むしろ、抱いた女をここに連れてきてもいいよ? 私達がお持てなししてあげるから」
「気が向いたらな……」
「……でも、その……」
散々笑い者にした後、彼女は誰にも聞こえないよう耳打ちをしてくる。
「や、優しいエッチは私達だけにしてほしい……かな」
なんだよ、可愛いとこあんじゃん。
愛情たっぷりセックスは自分達の特権にしたいってことだな。うん、承知した。
俺は彼女の言葉に頷き返し、出発の準備を進めた。
長いこといた淫魔の巣とも、一旦お別れだ。
「マルク、私達は魔力節約の為に冬眠状態に入るから。もって3年、それまでに」
「了解した。必ず全員の未来を守ってみせる……だから、待っていてくれ!」
出口へ向かうと、家族総出で見送りしてくれた。
「いってらっしゃい、貴方」「パパー! 頑張ってねぇ」「ご無事を祈っています」「うぅ、絶対帰ってきて……うぅ」「もっとエッチしたかった」
俺は彼女達の声を背に、300年ぶりに地上へと足を踏み出す。
「俺に……任せておけ!!!」
そして拳を突き上げ、言葉を返した。
こうして、俺の「打倒、勇者」な旅は始まったのである。
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昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。