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始まりは淫魔から
最初のターゲット
♢♦︎♢
淫魔の巣から出て、しばらく森を進んだところにある街「ゲスブランド」。
300年ぶりにそこへ訪れた俺は思わず「はえ~」と間抜けな声を漏らした。
昔は魔族の門と近いという理由から、王国からの物資支援も少なく、人も寄り付かなくなった為、ひどく荒れ果てた場所だった。
けれど、今はどうだろうか。
朝っぱらから大勢の人で賑わい、背の高い宿屋が幾つもならんでいる。
それに、見たこともない道具や四輪駆動の乗り物が道を行き来していた。
恐らくあれは、魔石を原動力にして動いているのだろう。
「人間と魔族の戦力が反転した結果か」
門に近ければ近いほど、魔石を奪える数は増える。
その分、便利で新しい道具を沢山作ることができる。
故にゲスブランドは王国に匹敵する程の大きさにまで成長したのだ。
「これなら、わざわざ遠出する必要もなさそうだな。好都合だ」
金の集まるところに人は集まる。
今でも魔石は高値で取引されているのだろう。
見ろ、そこらかしこに冒険者の姿が見える。
魔石の乱獲で一攫千金を狙っているのだ。
さながら、ゴールドラッシュといったところだな。
「うむ、皆俺より強そう。これは、期待できる」
各地から屈強な冒険者が集まっているのだ。ぱっと見、ランクB帯くらいかな。
とにかく、そんな彼らなら沢山の情報を持っているだろ。
まずは情報収集が必要だと考えた俺は、真っ先にギルドへと足を運んだ。
ギルドの場所は昔と変わっておらず、すぐに見つけることが出来た。
勿論、サイズは以前の10倍以上の大きさになっているが、勝手は変わらないだろう。失礼しますよっと。
「うわ、キツイな」
両開きの扉を開くと武装した男達で溢れかえっていた。
美女に囲まれた生活を続けていた俺の身体が若干の拒否反応を示す。
酒と煙草と血と汗と泥が混じり合った独特の匂い。あぁ、最悪だ。
「……さっさと済ませてしまうか」
なにはともあれ、まずは冒険者登録をしないことには始まらない。
登録し、ランク判定後、初めて俺は門を潜る権利を得ることができる。
それに、冒険者になればパーティーを組むこともできるのだ。
リゼラが言っていた「勇者討伐軍」を作る為には、パーティー仲間として強い女を勧誘し、油断したところを犯すのが一番手っ取り早いだろう。
だから俺は冒険者に戻る必要があった。
300年前の冒険者登録書ならあるけど、もう使えないだろうし。再スタートというわけだ。
「受付は……あそこか」
ムサイ男の隙間を縫うようにして進み、列へと並んだ。
順番を待ちながら、周りを観察していると少数ではあるが女性冒険者もいるようだ。
勇者パーティーだって男2女3の比率だったからな。
まぁ、そのせいで俺は淫魔の巣に堕とされてしまったわけなんだが……。
「次の方、どうぞーです!」
「ぁ、はい」
昔の仲間達を思い出していると、気がつけば俺の番になっていた。
前の男が退き、カウンターの前へと通される。
すると、そこには受付嬢がちょこんと座っており、俺の視線は釘付けにされた。
「ん、どうかなさいましたか?」
「ぃ、いや……なんでもない」
大きなメガネとそばかすが特徴的な、背の低い茶毛の少女が不思議そうな顔で視線を返してくる。
か、可愛い……地味な風貌だが、醸し出される無垢な雰囲気。
更には、身体のサイズに似合わない爆乳が合わさり男の劣情を刺激する。
こんな子がギルドの受付嬢……? 俺の時代はムキムキのゴリラ女しかいなかったのに……治安が良いってことか。
「あの、次の方も待っておられるので、用件を……」
「あッ、す、すまない」
いかんいかん、見惚れている場合じゃない。俺には沢山の妻がいるし、彼女は戦力になりそうもない女性。
変な考えを起こさないように、しっかりと自制しなければ。
「冒険者の申請をしたいんだけど、お願いできるかな?」
「新人さんだったのですね、どおりで見ない顔だと思いました」
「そんなとこ。できるなら、最初からBランク以上で始めたいな」
「ダメですよ、地道にレベルを上げてから門に挑戦してください」
「だよねぇ」
門を潜れるようになるのはBランクから。
それまでは、いくつかの依頼をこなして実力をギルドに報告しランクを上げなければならない。
元々、A以上の実力はあったんだ。高難易度の依頼を数個こなせば直ぐだろう。
それまで、適当にパーティーを組んで軍を作り上げていけばいい。
最も、俺の強さを証明しなければ、強い仲間も手に入らないだろうがな。
「先ずはEランクからのスタートです。わかりましたね?」
「了解してますよ」
「では、此方の用紙に記入をお願いします」
渡された冒険者申請用紙に名前、出身、魔法属性、経歴、生年月日を書き込んでいく。
おっと、ここら辺は少し適当に誤魔化さないとな……よし。
「書けたぞ、これでいいか?」
「頂戴します。ふむふむ……はい、大丈夫です」
「じゃあ認定書をくれ。さっそく、依頼を受けたいんだ」
「承知しました。では、最後に身分証をご提示下さい」
「……へ? 身分……証?」
聞き慣れない言葉だった。
なんだ、それ。俺の時代には身分証なんてもん存在しなかったが。
「身分証ですよ、なんでもかまいません。この書類に記載されている事が事実であると証明するものが必要です」
「ま、待ってくれ。どうして身分証なんて必要なんだ、俺はただ依頼を受けて金を得たいだけだ。身分なんて、どうでもいいだろ」
「そうはいきませんよ。最近では人間に化けた魔族もいるんです。10年前の大事件、ご存知ないのですか?」
「……10年前……知らないな」
詳しくはわからないが、その事件のせいで冒険者になる為には身分証が必要になったのか。くそ、面倒なことしやがって。
「とにかく、身分証が無いなら登録することはできませんので、申し訳ないですが」
「そ、そこをなんとか! 俺、冒険者になるのが夢だったんだ」
「なら正式な手続きを踏んで、身分証を持ってから再度お越し下さい」
正式な手続きって……身元がバレたらそれこそ登録できないじゃん。326歳、男性、無職、妻サキュバス100人だぞ、俺。
この子、押しに弱そうだし、もっとゴネればなんとかなるかも。
「お願いします! 受付嬢なら誤魔化すこともできるでしょ? ね、頼む!」
「……不正はダメですよ、残念ですが諦めて下さい」
そう言って、彼女は俺の登録用紙を引き下げようとした。
「待った!」
俺は咄嗟に、その手を掴み止めてしまう。
本当に無意識の行動だった。
華奢な手首を、ゴツゴツとした指が触れる。
瞬間、受付嬢の身体がビクッと跳ね、甘い声が漏れた。
「は、ひッ!?♡」
「……ぇ?」
途端に顔は林檎のように赤くなり、肌は熱を帯び始める。あれ、この感じって。
「は、離してください!!」
「うぉ」
彼女は慌てて俺を振り払うと、キッと目を吊り上げ叫ぶ。
「これ以上駄々こねるようでしたら、ギルド長を呼びますよ!」
「……」
ギルド長、か。正直戦っても勝てる相手だとは思うが、さっきの声で周りもざわつき始めている。
あまり目立つような行動は避けるべきだ。
ここは一旦引くしかない、かな。
「失礼しました。急に女性の手を掴むなんて……申し訳ない、今日は出直します」
「わ、分かればいいのですよ……ちゃんと、持ってきて下さいね。必ずですよ」
「はい、では」
俺はわざとらしく肩を落とし、千鳥足になりながらギルドの外へと出た。
そして、道の端っこで浮浪者のように座り込む。
冒険者になる為には証明書が必要……窮屈な時代になったものだ。
冒険者になれないと俺はそこら辺にいる女を根こそぎ犯し眷属にするしか手段がなくなってしまう。
人間に化けた魔族に対し警戒が強まっているところを見れば、インキュバスのような行動をする俺は討伐対象になってしまうだろう。
だから、あまり目立つことはできないのだ。
登録できないって言われた時は、どうしようかと思った。
けど、よかった。魔法耐性が一切ない女で。
「ぁ、あの……」
日が暮れるまで道に座り込んでいると、ほんの数時間前に聞いた声が耳に入った。
俺は口元を必死に抑えながら顔を上げる。
そこには予想通り、顔を真っ赤にした先程の受付嬢が俺を見つめていたのだ。
「こんなところで……どうしたんですか?」
よく見ると肩で息をしていた。
偶然を装ってはいるが、俺を探し回っていた事がバレバレだ。
「……ギルドでお金を稼げなかったから、今日はここで一晩過ごそうかと」
「そんな……風邪ひいちゃいますよ」
「一攫千金を狙ってここに来るのに全財産を使ったんだ。宿に泊まる金すら残っちゃいない」
金が無いのは本当だが、野宿するのは別に苦じゃない。けれど、辛そうな声色を作り彼女の同情を誘った。
そうすれば、きっとこうした言葉が返ってくると思ったから。
「よ、よければ家に泊まって行きますか……? 一人暮らしなので」
──もらった。
「いいのか?」
「はい、登録拒否をした私のせいでもありますし、身分証を取得されるまでの間でしたら……」
「こんな見ず知らずの男を」
「も、勿論、変な気は起こさないで下さいね! 絶対ですよ!」
「あぁ、約束する。でも、どうしてそこまでしてくれるんだ?」
「……私にも分かりません。貴方に触れられた時から、なんだか放っておけなくて」
そうだろう、そうだろう。
あの触った瞬間に見せた顔、あれは女じゃなく雌だった。
リゼラの言っていた言葉通り、本当に俺にも淫魔の力が宿っていたのだ。
魔力耐性の無い普通の少女だったから、触っただけでも効果があったのだろう。
今の彼女は軽い催眠状態。
「では、行きましょう……絶対に変なことはしないで下さいよ……絶対」
「わかってる、感謝するよ」
これから、彼女を蕩けさせ、妻達のように理性を欲望で被い傀儡にする。
……実の所、人間とのセックスは初めてになる。
皆が教えてくれた淫魔流性交術、俺は昔聞いた話を思い出しながら後ろについて行った。
淫魔の巣から出て、しばらく森を進んだところにある街「ゲスブランド」。
300年ぶりにそこへ訪れた俺は思わず「はえ~」と間抜けな声を漏らした。
昔は魔族の門と近いという理由から、王国からの物資支援も少なく、人も寄り付かなくなった為、ひどく荒れ果てた場所だった。
けれど、今はどうだろうか。
朝っぱらから大勢の人で賑わい、背の高い宿屋が幾つもならんでいる。
それに、見たこともない道具や四輪駆動の乗り物が道を行き来していた。
恐らくあれは、魔石を原動力にして動いているのだろう。
「人間と魔族の戦力が反転した結果か」
門に近ければ近いほど、魔石を奪える数は増える。
その分、便利で新しい道具を沢山作ることができる。
故にゲスブランドは王国に匹敵する程の大きさにまで成長したのだ。
「これなら、わざわざ遠出する必要もなさそうだな。好都合だ」
金の集まるところに人は集まる。
今でも魔石は高値で取引されているのだろう。
見ろ、そこらかしこに冒険者の姿が見える。
魔石の乱獲で一攫千金を狙っているのだ。
さながら、ゴールドラッシュといったところだな。
「うむ、皆俺より強そう。これは、期待できる」
各地から屈強な冒険者が集まっているのだ。ぱっと見、ランクB帯くらいかな。
とにかく、そんな彼らなら沢山の情報を持っているだろ。
まずは情報収集が必要だと考えた俺は、真っ先にギルドへと足を運んだ。
ギルドの場所は昔と変わっておらず、すぐに見つけることが出来た。
勿論、サイズは以前の10倍以上の大きさになっているが、勝手は変わらないだろう。失礼しますよっと。
「うわ、キツイな」
両開きの扉を開くと武装した男達で溢れかえっていた。
美女に囲まれた生活を続けていた俺の身体が若干の拒否反応を示す。
酒と煙草と血と汗と泥が混じり合った独特の匂い。あぁ、最悪だ。
「……さっさと済ませてしまうか」
なにはともあれ、まずは冒険者登録をしないことには始まらない。
登録し、ランク判定後、初めて俺は門を潜る権利を得ることができる。
それに、冒険者になればパーティーを組むこともできるのだ。
リゼラが言っていた「勇者討伐軍」を作る為には、パーティー仲間として強い女を勧誘し、油断したところを犯すのが一番手っ取り早いだろう。
だから俺は冒険者に戻る必要があった。
300年前の冒険者登録書ならあるけど、もう使えないだろうし。再スタートというわけだ。
「受付は……あそこか」
ムサイ男の隙間を縫うようにして進み、列へと並んだ。
順番を待ちながら、周りを観察していると少数ではあるが女性冒険者もいるようだ。
勇者パーティーだって男2女3の比率だったからな。
まぁ、そのせいで俺は淫魔の巣に堕とされてしまったわけなんだが……。
「次の方、どうぞーです!」
「ぁ、はい」
昔の仲間達を思い出していると、気がつけば俺の番になっていた。
前の男が退き、カウンターの前へと通される。
すると、そこには受付嬢がちょこんと座っており、俺の視線は釘付けにされた。
「ん、どうかなさいましたか?」
「ぃ、いや……なんでもない」
大きなメガネとそばかすが特徴的な、背の低い茶毛の少女が不思議そうな顔で視線を返してくる。
か、可愛い……地味な風貌だが、醸し出される無垢な雰囲気。
更には、身体のサイズに似合わない爆乳が合わさり男の劣情を刺激する。
こんな子がギルドの受付嬢……? 俺の時代はムキムキのゴリラ女しかいなかったのに……治安が良いってことか。
「あの、次の方も待っておられるので、用件を……」
「あッ、す、すまない」
いかんいかん、見惚れている場合じゃない。俺には沢山の妻がいるし、彼女は戦力になりそうもない女性。
変な考えを起こさないように、しっかりと自制しなければ。
「冒険者の申請をしたいんだけど、お願いできるかな?」
「新人さんだったのですね、どおりで見ない顔だと思いました」
「そんなとこ。できるなら、最初からBランク以上で始めたいな」
「ダメですよ、地道にレベルを上げてから門に挑戦してください」
「だよねぇ」
門を潜れるようになるのはBランクから。
それまでは、いくつかの依頼をこなして実力をギルドに報告しランクを上げなければならない。
元々、A以上の実力はあったんだ。高難易度の依頼を数個こなせば直ぐだろう。
それまで、適当にパーティーを組んで軍を作り上げていけばいい。
最も、俺の強さを証明しなければ、強い仲間も手に入らないだろうがな。
「先ずはEランクからのスタートです。わかりましたね?」
「了解してますよ」
「では、此方の用紙に記入をお願いします」
渡された冒険者申請用紙に名前、出身、魔法属性、経歴、生年月日を書き込んでいく。
おっと、ここら辺は少し適当に誤魔化さないとな……よし。
「書けたぞ、これでいいか?」
「頂戴します。ふむふむ……はい、大丈夫です」
「じゃあ認定書をくれ。さっそく、依頼を受けたいんだ」
「承知しました。では、最後に身分証をご提示下さい」
「……へ? 身分……証?」
聞き慣れない言葉だった。
なんだ、それ。俺の時代には身分証なんてもん存在しなかったが。
「身分証ですよ、なんでもかまいません。この書類に記載されている事が事実であると証明するものが必要です」
「ま、待ってくれ。どうして身分証なんて必要なんだ、俺はただ依頼を受けて金を得たいだけだ。身分なんて、どうでもいいだろ」
「そうはいきませんよ。最近では人間に化けた魔族もいるんです。10年前の大事件、ご存知ないのですか?」
「……10年前……知らないな」
詳しくはわからないが、その事件のせいで冒険者になる為には身分証が必要になったのか。くそ、面倒なことしやがって。
「とにかく、身分証が無いなら登録することはできませんので、申し訳ないですが」
「そ、そこをなんとか! 俺、冒険者になるのが夢だったんだ」
「なら正式な手続きを踏んで、身分証を持ってから再度お越し下さい」
正式な手続きって……身元がバレたらそれこそ登録できないじゃん。326歳、男性、無職、妻サキュバス100人だぞ、俺。
この子、押しに弱そうだし、もっとゴネればなんとかなるかも。
「お願いします! 受付嬢なら誤魔化すこともできるでしょ? ね、頼む!」
「……不正はダメですよ、残念ですが諦めて下さい」
そう言って、彼女は俺の登録用紙を引き下げようとした。
「待った!」
俺は咄嗟に、その手を掴み止めてしまう。
本当に無意識の行動だった。
華奢な手首を、ゴツゴツとした指が触れる。
瞬間、受付嬢の身体がビクッと跳ね、甘い声が漏れた。
「は、ひッ!?♡」
「……ぇ?」
途端に顔は林檎のように赤くなり、肌は熱を帯び始める。あれ、この感じって。
「は、離してください!!」
「うぉ」
彼女は慌てて俺を振り払うと、キッと目を吊り上げ叫ぶ。
「これ以上駄々こねるようでしたら、ギルド長を呼びますよ!」
「……」
ギルド長、か。正直戦っても勝てる相手だとは思うが、さっきの声で周りもざわつき始めている。
あまり目立つような行動は避けるべきだ。
ここは一旦引くしかない、かな。
「失礼しました。急に女性の手を掴むなんて……申し訳ない、今日は出直します」
「わ、分かればいいのですよ……ちゃんと、持ってきて下さいね。必ずですよ」
「はい、では」
俺はわざとらしく肩を落とし、千鳥足になりながらギルドの外へと出た。
そして、道の端っこで浮浪者のように座り込む。
冒険者になる為には証明書が必要……窮屈な時代になったものだ。
冒険者になれないと俺はそこら辺にいる女を根こそぎ犯し眷属にするしか手段がなくなってしまう。
人間に化けた魔族に対し警戒が強まっているところを見れば、インキュバスのような行動をする俺は討伐対象になってしまうだろう。
だから、あまり目立つことはできないのだ。
登録できないって言われた時は、どうしようかと思った。
けど、よかった。魔法耐性が一切ない女で。
「ぁ、あの……」
日が暮れるまで道に座り込んでいると、ほんの数時間前に聞いた声が耳に入った。
俺は口元を必死に抑えながら顔を上げる。
そこには予想通り、顔を真っ赤にした先程の受付嬢が俺を見つめていたのだ。
「こんなところで……どうしたんですか?」
よく見ると肩で息をしていた。
偶然を装ってはいるが、俺を探し回っていた事がバレバレだ。
「……ギルドでお金を稼げなかったから、今日はここで一晩過ごそうかと」
「そんな……風邪ひいちゃいますよ」
「一攫千金を狙ってここに来るのに全財産を使ったんだ。宿に泊まる金すら残っちゃいない」
金が無いのは本当だが、野宿するのは別に苦じゃない。けれど、辛そうな声色を作り彼女の同情を誘った。
そうすれば、きっとこうした言葉が返ってくると思ったから。
「よ、よければ家に泊まって行きますか……? 一人暮らしなので」
──もらった。
「いいのか?」
「はい、登録拒否をした私のせいでもありますし、身分証を取得されるまでの間でしたら……」
「こんな見ず知らずの男を」
「も、勿論、変な気は起こさないで下さいね! 絶対ですよ!」
「あぁ、約束する。でも、どうしてそこまでしてくれるんだ?」
「……私にも分かりません。貴方に触れられた時から、なんだか放っておけなくて」
そうだろう、そうだろう。
あの触った瞬間に見せた顔、あれは女じゃなく雌だった。
リゼラの言っていた言葉通り、本当に俺にも淫魔の力が宿っていたのだ。
魔力耐性の無い普通の少女だったから、触っただけでも効果があったのだろう。
今の彼女は軽い催眠状態。
「では、行きましょう……絶対に変なことはしないで下さいよ……絶対」
「わかってる、感謝するよ」
これから、彼女を蕩けさせ、妻達のように理性を欲望で被い傀儡にする。
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