【R-18】サキュバス犯して300年知らない内に大家族のパパになってました〜勇者に淫魔の巣へと堕とされた俺は魔族(家族)の為に復讐を誓う〜

あむあむ

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将来のアタッカー

将来のアタッカー

【第二章 力の使い方】

 昔、何度も来たことのあるダンジョン。
 非常に入り組んでいる構造で道も狭く、苦戦した記憶が残っていた。
 雑魚どもの相手をし、疲弊したところで広い空間に、現れるのは巨大なゴーレム。
 岩で構成された肉体は刃を通さぬ強固な鎧と同格だ。
 俺は今、そんな奴と真正面から対峙していた。
 久しぶりの巨大戦、敵の全高は10メートル……いや、もうちょいあるな。
 奴は巨大な腕を大きく振りかぶり、そして──一気に振り下ろしてきた。

「魔法障壁三重構成、術式展開──範囲全身効果──属性付加《エンチャント》ッ、おおおおお゛ッ!!」

 ズガァァァンッ!!
 怒号と共に土煙が舞う。交差させた両腕で受け止め激痛が走る。衝撃で足が地面に埋まり、床に亀裂が走った。が、耐えた。

「今だ、行けッ!!」
「──承知」

 俺の合図と共に、背後から紅い影が飛び出した。その姿は正に雷光の如し。
 光の尾を虚空に刻みながら、ゴーレムの腕を一気に駆け上がっていく。
 狙うは頭頂部、可動燃料の巨大魔石。だが──

「グ……ォォォ!」
「なッ!? しまった!」

 俺たちの狙いに気が付いたゴーレムは、わざと腕部の魔力供給を遮断し腕ごと切り離した。
 足場の無くなった影は、真っ逆さまへと落ちていく。
 そこへ、反対の手で作られた握り拳が追撃に迫る。

「マズい! 属性付加《エンチャント》変更、脚部集中──虚空展開、魔法三障壁──」

 地上では素早い影も、空中では無防備で逃げ場が無い。障壁が届く距離でもないし、届いたとしても防ぎきれない。なら、俺が行くしかあるまいに!

「間に合ってくれよ」

 強化した足でジャンプ。空中に現出させた光の壁を足場に更に高く。そして、影を突き飛ばし拳は俺が受け止めた。

「ぅ──がはっ……」

 強烈な一撃に、俺の身体は簡単に吹き飛ばされ壁に叩きつけられた。
 内臓が潰れ、口から血が溢れ出る……が、俺達の、勝ちだ。

「マルク殿ッ!」
「ミナト、足場ァ!」

 吹き飛ばされる直前、影《ミナト》の近くに障壁を設置しておいた。そのせいで、守りが薄くなり大ダメージを受けてしまったわけだが。

「──ッ、承知した!」

 俺の意図を理解した『彼女』は、猫のように空中で身を捻らせると障壁に着地。刹那、再び空を舞った。と、同時にミナトの右腕に付いた鎧が輝き出す。

「魔装展開──電雷刀、鳴蝉」

 右手には、まるで雷を堅めたような真っ白な刀が現れた。
 ゴーレムより高く飛び立ったミナトは、刃を下に向け一気に効果する。

「落雷一閃──斬り捨て……御免!!」
「ゴ──ォォォ……」

 見事。細い刀身を頭部の隙間に滑り込ませ、体内の魔石を的確に砕いた。
 すると、糸が切れた人形みたいにバラバラと崩れていく。俺達の勝利だ。

「ま、マルク殿! 大丈夫か!?」

 ミナトは綺麗に着地すると、真っ先に俺の元へと駆け寄って来きた。
 彼女の名前は、ミナト・シャーディ。真っ白な長髪だが内側だけ真っ赤に染まっている変わった髪色をした女性だ。
 露出の少ない真っ黒な衣服に身を包み、ダボダボのズボンを履いている。
 ただ、右腕だけには金属質な鎧で装甲していた。

「不甲斐ない……空中で手も足も出ないとは」

 出会ったのは今日が初めて。
 クルスの作った偽装書で冒険者登録を済ませた後、彼女の紹介で知り合った女冒険者。
 実力はどんなものかと思っていたが……技術、力、共に充分だ。

「あぁ、問題ない。すまないな、危うく怪我をさせてしまうところだ──げふッ!」
「く、口から血が……少々お待ちを」

 慌てて右腕の装甲を外すと、右手を俺に向けた。すると、スゥーっと身体が楽になっていく。

「回復魔法か、使えたんだな」
「拙者は本来、こっち寄り。前衛を務めれるのは、この魔装甲のお陰だ」
「……知らない武器だ」

 腕全体を覆う籠手のような装甲。
 禍々しくもあり、目を惹かれる不思議な魅力のある防具。いや、武器か。
 俺の時代には、鉄を堅めたシンプルな物しか存在しなかった。
 
「よし……どうだ、楽になったか?」
「おう、助かった。もう本当に大丈夫」
「助かったのはこっちの台詞だ。マルク殿がいなければ、拙者一人ではどうにもならない相手だった……」
「ミナトの戦闘スタイルなら、タンク役は必須だろうからな」

 攻撃力、素早さに全振りしたような戦い方。側から見れば、かなり無茶をしているようにも見える。
 道中聞いた話にはよれば、ずっと一人で戦い続けてきたらしい。
 このスタイルでの単独戦闘は、生傷が絶えないだろうに。

「そうだ、だからこそパーティー申請に登録してくれた時は嬉しかったよ」
「他の奴らは魔石採掘に夢中だからな。今更旧ダンジョンの魔族残党の討伐なんて、やらないだろ」
「マルク殿は魔石採掘には?」
「……まだ、ランクが足りない。本当は早いこと門を潜りたいんだがな」

 少しでも魔石が手に入れば、妻達も子供達もその場凌ぎではあるが、人間界で生きる延命処置になる。
 だからこそ、ランクを上げやすい討伐依頼をクリアしていく必要があった。
 皆、絶対に守るからもう少し待っていてくれよ……。

「む、むむ~?」

 妻や子供の事を思い出していると、赤い瞳が覗き込むように見つめてきた。鼻掛けの丸眼鏡が、ぶつかりそうになるほどに。
 首に巻いた布で口を隠しているからわからなかったけど、凄い美人だ。

「な、なんだよ」
「いやはや、その様子……私利私欲を満たす為ではなさそうだ、と。マルク殿は優しい男だ」
「そんな事ねぇよ、勘違いだ」
「気に入ったよ、もしよければランクが上がるまで他の依頼も付き合ってくれないか? 討伐依頼ばかりだから都合がいいぞ」
「あぁ、よろしく頼む、ミナト」
「感謝するぞ、マルク殿」

 俺達は握手をし、正式にパーティーを組むことに誓った。
 ミナト、コイツはアタッカーとして優秀だ。
 攻撃できない俺にとっては重要な仲間……絶対に欲しい。問題は──

「んッ──殺気?」
「……」

 そう、実際俺の表情で本質を見切ったように、彼女は勘が鋭い。
 更にどんな状況でも一切隙を見せることがなく、殺気にも敏感。
 身体に触れようとしたものならば、腕ごと切られてしまうだろう。
 もっと仲を深める必要がある。その為にはミナトの事を最も知る必要がある。

「さ、さっさと魔石を回収して、ギルドに報告に行こう」
「そうだな。魔石のカケラ、貰っても?」
「拙者には必要無い物、持っていけ」
「ミナトは、どうして討伐依頼ばかりを」
「……色々な」
「……そうか」

 彼女の顔色に初めて陰りが見えた。
 ゴーレムの一撃を喰らいそうな時にも見せなかったのに。なるほど、まぁ大体予想はつく。
 俺はそれ以上詮索するのをやめ、黙々とカケラを回収していった。
 すると、今度は逆にミナトの方から質問が飛んでくる。

「マルク殿は、どうして防御魔法だけを?」
「ん……まぁ、魔法属性が防御よりだったってだけだ」
「なるほど、ならば魔装甲を作ればいい」
「魔装甲を?」
「これは、加工された魔石により作られた特殊武装、装着主の魔法属性を転換することができる」
「さっき言ってたな」

 本来は回復寄りだが、魔装甲のお陰であれだけの力を使えていると。

「そうだ、マルク殿はゴーレムの一撃を素手で受け止めるほどの強大な魔力と精密力を持っている。もし、魔装甲で攻撃魔法に転換できたら、攻守両手隙のない冒険者になれるんじゃないか?」
「…………」
「悪い提案ではないと思ったが」
「……すまないな、訳あって俺は魔族を……いや、格下の人間でさえ攻撃できないんだ。役立たずだと思ったなら、捨ててくれ」
「いや、ただの提案。明日も頼むが……何故、主ほどの男が?」
「……色々な」
「……そうか」

 人にはそれぞれ、他人に話したく無い過去があるもの。俺も、その例に漏れない。

 俺達は以降、会話をすることなく黙々と作業を終え、ギルドへと帰った。バッドコミニュケーション。
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