誰とでも寝る黒ギャルビッチな彼女が僕の『彼女』になるまで

あむあむ

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第二話

買い物は官能的なのか4

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「これ、本当に書いてきたの!?」
「嘘だと思うなら読んでみろ。手書き、だぜ?」
「やけに誇らしげだね……じゃ、じゃあ、拝見させてもらいます」

 枚数にして大凡30枚。今日、茜姉に誘われていなければもっと書けた。
 それほどまでに俺は、彼女の料理に感動しているから。

「ん、これは……はは、なるほど、んん~」

 読みながら唸り、首を傾げたり、頭を掻いたり落ち着きがない。
 最後のページを読み終えた頃、冷めた珈琲を一口飲むと頭を抱えた。

「アンタのこと、ちょっとだけ分かった気がする。今までの言葉に、煽てる気はなかったってことも」
「好きな物は好き、嫌いな物は嫌い、俺は知ってる。良い物は良いと言えば、より良くなっていく」
「その考え方、嫌いじゃないかな」

 と、偉そうに言ってはみるが、俺にだってプライドや見栄はある。
 だからこそ、茜姉の前で「興奮していない」と嘘を言っているのだろう。
 本当は、彼女に「めっちゃエッチで興奮してる!」と、はっきり伝えたい気持ちはある。
 でも、今の関係を壊してしまうのも、嫌だった。
 それが、性欲による思考の錯乱なのか、はたまた純情な童貞男児の恋心なのか。
 今の俺には判断することができなかった。

「作文だけでお腹いっぱいになりそう。これ、もらってもいい?」
「あぁ、構わないぞ。茜姉の為に書いたもんだからな」
「茜姉って……まぁいいや。ありがとう、大事にするね」
「因みに明日は『本日の服装に関する作文』を提出するから受け取ってくれよ」
「ふふっ、はいはい、頂戴しますとも」

 口元に手を当て、微笑む茜姉。それを見て、俺も笑った。

 ──俺は、表面的な部分しか彼女の事を知らない。
 性欲的な面を抜きにしても、凄くいい人だと素直に思う。
 なら、どうして『誰にでもヤらせてくれる』ような女性になったのだろうか。
 そのお陰で今、こうして談笑することができているのだが、彼女との距離が近づけば近づく程、違和感を感じ始めていた。

「さて、そろそろ出ますか」
「了解、次はどこ行く予定?」
「行きたいところいっぱいあるから、ちょっと付き合ってよ」
「あぁ、いいぞ」
「んよぉし、じゃあ出発進行ッ!」

 彼女と一緒に店を出て、向かったのは近くの通りに並んだ服屋だった。小さな店内で、陰キャが入りにくい雰囲気がある。
 けど、今の俺には心強い味方、お姉ちゃんがいる。
 茜姉バフのお陰でこんな店でも楽々を足を踏み入れることができるのだ、ははは。

「ねぇ、これどう?」
「すっごい似合ってる」
「じゃあ、こっちは」
「10000億点」
「どっちがいいと思う?」
「どっちもいいけど……しいて言うならこっち」
「なら、楠の選んだ方にしーよお」

 何着か試着しながら、服を選び店員に渡していく。
 結構高い商品ばかりなのに、高校生とは思えない金銭感覚だと思った。
 以前、他のクラスメイト達が噂していた話を思い出す。
 おっさんと一緒にホテルを出てきた、とか。やっぱり、援交とかしてるのか?
 だから、お金に困ってないのかもしれない。

 ……だとしたら、どうしたい。
 援助交際は犯罪だ。同意の上とは言え、未成年がやっていいことじゃない。

「あれ、どーしたの、楠」
「おわッ、ビックリした。少し考え事してただけ」
「買い物、終わったよ。お待たせしました」
「……」
「ん? 楠?」
「あ、あぁ、いや、なんでもない」
「変なの~」

 でも、むやみやたらと正義感を振りかざし止めるのもまた違う気がする。
 問題は「もし、茜さんが援交していたら」俺がどうしたいか、だ。
 その気持ちがはっきりするまでは、行動に移すべきではない。

「じゃあ、次行こ、次!」
「まだ行きたい店があるのか? もう服は沢山買っただろ」
「いいや、次の店が本当の意味で一緒に行きたかった場所」
「本当の意味?」
「うん、上の服を買ったら、次は下の服を買わなきゃね」

 その言葉に、今まで考えていた複雑な感情が一気に吹き飛んだ。
 服の下に着る物って、言葉の意味のままで捉えると。

「茜姉、もしかして……」
「そう、次に行く場所は──ランジェリーショップです!」

 あぁ、忘れていた。俺達は、そーいう関係だったことを。
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