誰とでも寝る黒ギャルビッチな彼女が僕の『彼女』になるまで

あむあむ

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第三話

雨の日は官能的ではない4

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「失礼しま──ぅ、わぁ~」

 俺の部屋に入るなり、彼女は唸った。

「失礼だぞ、人の部屋に対してそのリアクションは」
「イメージ通りというか、サラリーマンみたいな部屋だね」
「そうか? 普通だろ」

 机の上にPC、折り畳みベッド、後は本しかこの部屋にはない。
 まぁ、量は普通の学生にくらべれば多いかもしれない。
 6段本棚が4つ、全てきっちりと埋まっている。

「凄いね、全部小説?」
「いや、使い終わった脚本の原本なんかもある。親父から貰ったもんだな」
「お父さんから?」
「父は脚本家、母は舞台女優なんだよ。だから、今日は他のスタッフさん達と打ち上げに行ってるってわけ」
「なるほどねぇ~へぇ~」
「あんまりジロジロ見るな、恥ずかしい」
「えっちな本でも隠してないかなって」
「馬鹿、んなもんあるか」

 左から三番目の国語辞典の中身は丸まるエッチな本だが、この大量の本の中から見つけるなんて不可能だろう。

「ほんと? ……この辺、かなぁ?」
「──ッ、な!?」

 しかし、彼女は一発でその隠し場所を当てた。
 どうしてだ、何故バレた。

「待て、勝手に本を開こうとするな」
「おやぁ~もしかして、当たっちゃったかなぁ?」
「当てる? さぁ、なんのことか──ッ、おい、人の話を聞け!」
「御開帳ぉ~」

 止める暇もなく開かれるページ。
 あの本の中身は黒ギャルドスケベ全集だ、それも茜さんにそっくりな雰囲気のしたモデルさんが載っている。
 最も見られたくないエロ本……終わった。
 ページを開いた茜さんは目を見開くと冷ややかな目で俺を見る。
 弁解するしか……ない!!!

「楠……」
「ち、違うんだ、茜さん。別に黒ギャル大全集は茜さんを重ね合わせて買ったんじゃなくて、元々俺は黒ギャル物が大好きで集めていたもので偶然似た人が──」
「えっと……これ」
「ッ、こ、これは……ッ!!」

 茜さんが俺に突き付けてきたのはエロ本ではない。
 A4の紙を折りたたんだ一枚の紙だった。
 そこには、こう記載されている。

『真一、貴方の趣味はよく理解しました。長男として甘える対象がおらず、年上のお姉さまに甘えたい気持ちがあったのかもしれません。しかし、書籍の内容は今の貴方の年齢では早すぎると判断しました。本は読まれる物ではなく、読む者です。この書籍に相応しい男に成長したと判断した時、返させていただきます。──愛しの息子へ、母より』

 俺は、その場で崩れ落ちた。
 茜さんに見られるよりも、最悪な結果。死刑宣告。
 明日からの気まずい食卓を想像するだけで吐き気がする。

「ぉ、ぉぉ……ぅぉぉぉ……」
「なんか、ごめん」
「母さん、くそぉ……変な気遣いして……」
「というか、中身、黒ギャル物だったんだね」
「──ッ、なんで、それを……」
「今自分で言ったじゃん」
「あッ!? いや、そうじゃな……そうだけど!!」
「ふぅ~ん、なるほどねぇ」

 迂闊だった。
 茜さんはニヤリと笑うと、俺の身体に寄り添ってくる。
 前のように、同じように、誘惑してきた。

「ねぇ、いい加減正直に言ってよ、興奮してるって」

 だけど、その声に違和感を感じない程、俺達の仲は浅くない。
 身体に縋るようにして密着した腕は、少しだけ震えている。
 あの日は劣情に犯され気が付かなかったが、今の彼女を見ると怯えているように見えた。

『今日、聞くんでしょ?』

 うん、今聞かないと面倒も、時間も作ってくれた林檎に申し訳ないしな。俺の気持ちも決まってる、覚悟を決めよう。

「茜さん、誤魔化さずに話、聞いてくれないか?」
「そっちこそ、私の身体から視線逸らしてないで、ほら、ちゃんと──」
「違う、茜」
「──ッ」

 俺は彼女の手を握りしめ、ベッドの上に座らせ、目線を合わせてしっかりと伝えた。

「俺は『誰とでも寝る黒ギャルビッチな』君じゃない『茜 夏希』、お前と話がしたいんだ」
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