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狐に憑かれた転校生
14 二人のパンツと狐の霊
しおりを挟む十四話 二人のパンツと狐の霊①
退院してようやく家に帰ってきたオレがその日初めにすることになったのはマリアの服を買いに行くことだった。
オレは今、愛ちゃんとマリアの三人で近所のショッピングセンターの女性用下着売り場に来ている。
「ねぇお兄ちゃん、私も買っていい?」
愛ちゃんがオレの服の袖を引っ張る。
「いいよー。オレはここで待ってるから買い終わったら戻ってきてね。」
オレは下着売り場の前に置かれている木製の長いベンチに腰掛ける。
「わかった。行こ、マリアちゃん。」
「うん。」
二人は仲良く手を繋ぎながら下着売り場へ走っていった。
…流石にオレが入るわけにはいかないしな。
もし一緒に選んでるところを同級生に見られてみろ、あだ名は変態ロリコン野郎に決定だ。
「さてと…。」
オレは時間を潰すためにスマートフォンでゲームを始める。
「良樹。」
「ん?」
オレを呼ぶ声がしたので声のする方に視線を向けると、マリアが下着売り場の方でオレに手招きをしている。
「どうした?」
「ちょっと来て。」
「…えー。」
「来て。」
「ー…はいはい。」
重い腰をあげ、マリアのもとへ向かう。
「…で、どうしたの?」
「良樹はこれとこれ、どっちが可愛い?」
マリアの両手には二枚のパンツ。
…一枚は子供らしい水玉模様のパンツ。もう一枚は真っ白の生地に真ん中に小さな赤いリボンのついたパンツ。
マリアはそれをオレに向かって突き出してくる。
「ちょ…なんでオレが選ばないといけないの。」
「選んで。」
「どれでもいいよ…マリアが可愛いって思うもの買えばいいじゃん。」
「だって……。」
マリアは少しふてくされながら視線を落とす。
「助けてくれたお礼に、良樹が好きな柄のパンツ履いてあげたかった。」
少し顔を赤らめながら再び上目遣いでオレをみる。
お礼にオレの好きなパンツ履いて…とか、オレは変態かよ!!
でもありがとう!
オレは二枚のパンツを見比べながら、頭の中でマリアに履かせていく。
「ー…こっちかな。」
オレが指したのはリボンのついたパンツ。
それが王道…オレは王道を進む!
「ー…そう。」
マリアは少し微笑んでそれをカゴの中に入れた。
なんだ…なんか可愛いけどすげぇ恥ずかしいぞ。
視線を感じたオレは周囲を見渡す。
すると遠くからオレの様子を見ていたらしき二人の店員さんがコソコソとオレの方を見ながら話していた。
「じゃ…じゃあ他も選んで買ったらそこのベンチに来るんだぞ!」
「うん。」
オレはそそくさと店内から退散しベンチに腰掛けた。
「お兄ちゃーん。」
買い物を済ませた愛ちゃんがパンツの入ったショップ袋を片手にこちらに走ってくる。
「愛ちゃんの好みなの見つかった?」
「うん!」
愛ちゃんは満面の笑みで答える。
「そうか、よかったね。」
その笑顔、あぁ…癒し。
「これにした!」
愛ちゃんは袋の中から購入した黒と白の横ボーダー柄で真ん中に白い小さな黒リボンのついたパンツを取り出して広げ、オレに見せつける。
「あああ愛ちゃんこんなとこで見せないでいいから!」
オレは急いでそれを袋の中にしまわせる。
「かわいくなかった?」
「いやいや可愛かったよ、でもここで出さないでほしいかな。」
どこにロリコン野郎がいるかわからんからな!
愛ちゃんやマリアの履いているパンツを知っているのはオレだけでいい!
「わかった。じゃあ家に着いたら見せてあげるね。」
全く恥じらいがないというのも困りものだな。
「良樹、愛。お待たせ。」
マリアもショップ袋を持ちながら合流する。
「よし。次は服だな。」
オレたちは二人のパンツを履いた姿を想像しながら子供服売り場へと向かった。
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