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海だ!水着だ!この霊なんだ!?
42 海・最終日
しおりを挟む四十二話 海・最終日
オレたちは海に入りオレはマリアの右側を、井上さんはマリアの前方からサポートする。
「やる。」
マリアは体を浮かせて足をばたつかせる。
ちゃんと進んでいる…いい調子だ。
「うん!その調子だよマリアちゃん!」
井上さんは前方からマリアに声をかける。
なるほどな、声で誘導するのか…。
そしてマリアは両腕を回し始める。
「え?」
「あ。」
前に回したマリアの手がうまい具合に井上さんのビキニに上からすっぽり入りそのまま外れ、水中へと持ってかれる。
「ちょっとちょっと!マリアちゃん!?」
マリアにはうまく聞こえていないらしく井上さんの方へいいスピードで泳いでいく。
井上さんも水着を水中で探したいがマリアのことも見ないといけないという責任感からだろう、両腕で胸を隠しながらマリアの指導を続行した。
しかしあれだな、たまに井上さんの胸の中心から見えるピンク色の果実がかなりエロい。
それを腕で必死で隠してるもんだからムニムニ感が見るだけで伝わってくる。
気づけばオレの股間はすでに爆発寸前にまでなっていた。
…ここが水中でよかったぜ。
「ぷはーっ!」
マリアが途中で泳ぐのをやめたのでオレたちはマリアが溺れないように体を支える。
「ここ、マリアの身長より深い。」
「そうだな、だからオレたちが支えてるんだ。」
「じゃあまた浅いところからもう一回。」
マリアは浅瀬を指差す。
「ちょ、ちょっと待ってねマリアちゃん。」
井上さんがオレを見る。
「ねぇ加藤、先にマリアちゃん浅瀬に連れていっててよ。私ほら、水着探さないと。」
恥ずかしそうに自分の胸を見る。
「…いや、オレも今はちょっと。」
オレも気まずそうに井上さんに答える。
「なんで?」
「あー、いや。」
「…まぁいいや、じゃあここでマリアちゃん支えてて。ちょっと私潜って探すから。」
「あ!ちょっと井上さ…!!」
井上さんはオレの言葉を全て聞く前に水中に潜る。
水中に潜られるといずれ暴走状態のオレの股間を見られることになる…こうなったらオレが先に井上さんの水着を見つけて知らせなければ…!
オレは自分の周囲を見渡す。
「…ないか。」
「ねぇ良樹。」
マリアがオレを見上げる。
「なに?」
「良樹の腰のそれ、美樹のじゃない?」
マリアがオレの下半身を指差す。
「ん?」
オレは視線をマリアが指す下半身へと向ける。
「………オゥ。」
紺色の迷彩柄のビキニがオレの爆発寸前の股間を覆い隠すように巻きついていた。
「ナイスだマリア!」
「うん。」
マリアは親指を立ててオレに向ける。
これを先にとって井上さんに渡せば……。
「……………。」
「どうしたの良樹。」
「両手が塞がってて取れない。」
オレの両手はマリアの脇を持って支えている。
「マリアがとってあげようか?」
マリアがオレの下半身へと手を伸ばす。
「ちょ、ちょっと待ってマリア!」
オレは咄嗟に腰を引く。
「なに?」
「オ、オレが取るから大丈夫。」
マリアは少し呆れた目でオレを見つめる。
「え…なんだマリア。」
「良樹…大人の水着を触りたいだけ。」
「ちげーよ!!」
手を使えないオレは顔芸で突っ込む。
「美樹ー。」
マリアが手をパシャパシャと海面に打ち付けながら井上さんを呼ぶ。
「ちょ、ばかやめ…。」
「ぷは、…なに?マリアちゃん。」
オレが止めるより先に井上さんがマリアの合図に気がついて海面から顔を出す。
「美樹の水着見つけた。」
「え、どこ!?」
「良樹の腰。」
マリアはオレの下半身を再び指差す。
「良樹、後でマリアの水着あげるから我慢。」
マリアはかわいそうな目でオレを見る。
「いらんわ!」
「なんだ加藤の足に絡まってたのかーよかったよかった。」
井上さんはオレの元に泳いでくる。
「ちょっと待って井上さん!」
「えー何?あるんでしょ。」
「あるにはあるけど…ちょい待って!」
「なんで私が待つ必要があるの…あ、ほんとだ。」
井上さんがオレの下半身に巻きついた水着を発見し、手を伸ばして掴みあげる。
……あぁ、終わった。
井上さんの水着が取られたことにより、爆発寸前のオレの股間が露わに。
「え……。」
いきなりのことで井上さんはそれを凝視し絶句し、その後ゆっくりと顔を上げてオレと目が合う。
「加藤。」
「…はい。」
「……まぁいいよ、ちゃんと結んでなかった私も悪いし。」
「え。」
井上さんは深くため息をつきながらオレに背を向け、水着をつける。
「良樹。」
「なに?マリア。」
「あっち。」
マリアが浜辺の方を指差す。
愛ちゃんと石井さんが水着に着替えてこちらに向かって走ってきていた。
「マリア、あっちまで泳いでいく。」
マリアはオレの腕から離れ、愛ちゃんの方へまっすぐ泳いでいく。
「え、すげ。」
バタ足もクロールもちゃんとできてる。
「うわーすごいマリアちゃん!」
愛ちゃんはそこまでたどり着いたマリアに抱きつく。
「マリア、センスある。」
「うん!すごい!お兄ちゃん、美樹ちゃんありがとう!」
愛ちゃんが大きく手を振りながらこちらに向かってジャンプする。
「ほら、美樹も加藤くんもこっちきて遊ぼ!」
石井さんがさっき買ってきたのであろうビーチボールを掲げる。
「え!楽しそうじゃん!」
井上さんが石井さんの元へ綺麗な泳ぎ向かっていく。
「ねぇ、加藤くんも!」
「あ、うん。」
オレはゆっくり歩きながら向かう。
「あーゆづき、加藤はもうちょっと泳ぎたいらしいよ。」
井上さんがオレの下半身を見ながら石井さんに話しかける。
…ありがとう。
「加藤くん、そうなの?」
「あー、もう少ししたら行くよ。」
オレは股間の爆発が治るまでひたすら泳いでから、日が暮れるまでビーチバレーや水遊びをして遊び倒した。
しかしまだ終わりではない。
旅館に戻ったオレたちは夕食をとり温泉に入った後、再び浜辺に出て花火をする。
「見て!この花火きれい!」
愛ちゃんはいろんな色に変わっていく花火を持って楽しそうに見つめている。
「マリア、テレビで見てこれがしたかった。」
マリアは花火をくるくる回して遊んでいる。
「ほらマリアちゃん、危ないからもうちょっと控えめにしよ!」
「ゆづきもやる。」
「えーー。」
石井さんは愛ちゃんやマリアを見守りながら花火を楽しんでいる。
側から見たら面倒見のいい二人のお姉ちゃんだな。
オレは端で座りながらその平和な光景を眺める。
「ほら、加藤。せっかくなんだしアンタもやりなよ。」
井上さんがオレの元に線香花火を持って手渡す。
「あ、ありがと。」
「加藤にはこのくらい地味なのがお似合いだねー。」
「うん。」
「いや冗談だし!なに本気に受け取ってんの?」
井上さんはオレの肩をドンと押す。
「今日の加藤はまぁまぁかっこよかったよ。」
「え?」
「ご褒美にゆづきと二人っきりにさせてあげる。」
「は!?」
井上さんはニヤリと笑うと石井さんの元に駆け寄り何かを話す。
「愛ちゃんマリアちゃん!打ち上げ花火やるからこっちおいで!」
井上さんは二人に叫ぶと少し遠くまで走っていく。
「え!見たい!」
「マリアも!」
二人も目を輝かせながら井上さんの後をついていく。
そして石井さんがオレの方へと歩いてきて隣に座る。
「なんか美樹が加藤くんを褒めてあげなーって。」
「へぇ。」
「さっき温泉でちょっと聞いたんだけど、言い寄られてた進藤さんたちを守ったんだってね。」
「あー…まぁ。」
「すごいね。」
「ゆーて真正面からじゃないけどね。」
「…というと?」
「その人たちの守護霊を脅したりして止めた。だから褒められることでもないよ。」
結局は正々堂々じゃないんだからな。
「でも結果助けれたことに変わりなくない?」
「まぁ…そうだけど。」
「うん。だから私は加藤くんを褒めます。」
「え?」
「なんか美樹が、加藤くんめちゃめちゃ褒めてあげて欲しいって言ってたの。」
「いや、別に…。」
「私、褒めるの上手いからまぁ見てて。」
石井さんはオレの頭に手を優しく乗せる。
「よしよし、よく頑張りましたー。すごいねー。」
石井さんはオレに顔を近づけて、満面の笑みでオレの頭を何回も撫でる。
「ちょ…石井さん!?……え!?」
なにこれ最大級に恥ずかしい!
「マリアちゃんの泳ぎの指導もよくできましたー!」
次は両手をオレの頬に添えながら程よい力加減で揉んでいく。
なんか前にも一回やられたような気がするが、これは踏み入ったらいけない領域に来てしまった感が否めない。
恥ずかしいはずなのに無性に嬉しい。
褒め終えた石井さんはニコニコしながらオレの反応を待つ。
「…ありがとう。」
「うん。あ、別に今のバカにしてるわけじゃないからね!こうやって褒めたら私の弟すごい喜ぶんだ。」
このやろう羨ましいな石井弟。
「…で、今の褒め方加藤くんどうだった?」
「…恥ずかしいけど嬉しかった。」
「そっか。加藤くんはこういうのが好きなんだね。」
「…こういうのって?」
「子供をあやす感じ。」
石井さんは指でツンツンとオレの頬を突く。
「いや、違…!」
「冗談冗談。ほら、私たちも打ち上げ花火一緒に観に行こ。」
石井さんは立ち上がってオレに手を差し出す。
「うん。」
オレたちは花火を楽しんだ後、部屋に戻ってトランプや人生ゲームをしたりと旅行を満喫する。
途中で愛ちゃんとマリアが眠気に負けて脱落し、オレも知らない間に眠りに落ちて海旅行二日目が終了した。
翌日、オレたちは石井さんの親戚にお礼を言った後バスや電車を使って最寄りの駅へと帰ってきた。
「じゃあ加藤くんまた明日。またね、愛ちゃんマリアちゃん。」
「加藤、家に帰るまで二人のことちゃんと見るんだよー。」
石井さんと井上さんは帰り道が一緒らしく、手を振りながら帰っていく。
「バイバーイ!」
「ゆづきも美樹も気をつけて。」
愛ちゃんとマリアも二人の姿が見えなくなるまで手を振っていた。
「…よし、じゃあ今日はリッチに帰るか!」
オレは愛ちゃんとマリアを見る。
「リッチ?」
愛ちゃんが不思議そうにオレを見上げる。
「そう。もう暑いし疲れたしタクシーで帰ろう!」
「やったー!」
「マリア疲れてたから助かる。」
オレたちはタクシーを利用して汗をかかずして自宅へ到着し、その日の夜はなんだかんだで疲れてたオレたちは翌日の学校に備えていつもより早めに眠りについた。
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