巫女とシスター2人の天使

よすぃ

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138 サタン!?

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 百三十八話  サタン!?


 
 「ただいまー。」

 
 オレは爽やかな気持ちで玄関を開ける。


 「あ、おかえりお兄ちゃんー!」


 愛ちゃんがリビングから顔を出し、パタパタとオレのもとへ駆け寄る。


 「イシュちゃん、どうだった!?」

 「もうすごいよ! なぁイシュ!」

 
 オレは後ろにいるイシュタルエに視線を移す。


 『はい! イシュ、良樹さんと龍神さんのおかげで成長しました!」


 イシュタルエは目を輝かせながら愛ちゃんに微笑んだ。

 時間も時間なのでオレは晩御飯の準備に取り掛かるために急いで台所に向かう。
 今日は何を作ろうかー…そんなことを考えた時だった。


 『よ、良樹さんーーーー!!!!』


 二階からイシュタルエの叫び声。
 

 「な…なんだ!?」


 オレは慌てて二階へ駆け上がる。
 声は愛ちゃんの部屋からだったな…愛ちゃんに何かあったのか!?
 オレは勢いよく愛ちゃんの部屋のドアを開ける。
 するとそこにはー……。


 「な…なんだお前はーーーーー!!!!」


 オレの目の前には腰を抜かしたイシュタルエ。そしてその奥にはどす黒い瘴気を纏わせた女の子。
 頭の両サイドからは角が飛び出していて、髪は長髪の緑色。背中からは黒色の天使の羽。
 見た目からして明らかに人ではない。


 「え、愛ちゃんは!?」

 『あー、あの女の子なら神様臭のする女の子の霊とお風呂行ったよー。』


 謎の女の子が一階の浴室方面を指差す。
 そしてゆっくりとオレに視線を向けるとこの上ないゆるい表情で小さく手をあげた。



 「はじめましてー。我サタンー。」


 『ええええええええええええ!!??』


 イシュタルエがこれ以上ないというくらいの声で絶叫。
 オレの後ろに隠れる。

 
 「さ…サタン!?」

 『そーだよ。ちょっと追われちゃっててさ。この家が結界の守り固かったからちょっと隠れさせてもらおうと思ったんだー。』


 女の子ー…サタンは面倒臭そうにため息をつきながら窓から外を覗く。


 「追われてる??」

 『そうだよー。邪神っていう奴がしつこいんだよー。』


 「邪神!!??」


 こいつー…邪神とどんな接点なんだ!?
 

 「ー…お前何者だ?」

 『我はあれだよー。邪神が来る前までは悪魔界のトップだった最上位悪魔だよー。』

 「最上位悪魔ー…?」

 『うーん。』


 ーー…てことはあれだよな。


 「お前、アバドンの上位互換かよー!!!!」


 オレはサタンを指差しながらイシュタルエとともに数歩下がる。
 アバドンより強いとか、オレたちだけで敵う相手じゃない…早くここから逃げないと…!!!

 
 「イシュ、お前ちょっと愛ちゃんのいるお風呂場行ってこい。」

 
 オレは小声でイシュタルエに話しかける。


 『え?』

 「ここはオレが時間稼いどくから…早く。」


 イシュタルエは小さく頷くと龍神に与えられた力をフルに活かし、物凄い速さで階段を降りお風呂場へと向かった。


 『何をそんな急いでるー。』


 サタンが不思議そうにオレを見上げる。

 ーー…せめて愛ちゃんがお風呂から出るまではここでオレがなんとかしないと。。
 オレはこの状況の切り抜け方を必死に考える。
 するとそんな中、外から激しくも焦ったような叫び声が聞こえてきた。



 『良樹ーー!! ちょっと出てきてくれーー!!! 御白神社の御白さんたちがーーー!!!!』
 


 その声は聞き間違えるはずのない、仲良くしている浮遊霊の声。
 

 『我のことは気にしないでお話していいよー。』


 サタンが窓を開けるとそれに気づいた浮遊霊が勢いよく窓の前に。
 

 『よ、良樹…!!!』


 顔色がいつになく悪い。


 「一体どうした!?」



 『御白さんたちがなんかヤバそうな悪魔と戦ってるんだ! 早く助けに行ってあげてくれ!!!』




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