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VS上位悪魔
159 メリッサの居場所
しおりを挟む百五十九話 メリッサの居場所
道中の死神がくれた許可証のおかげで難なく城に入れたオレたちはイシュタルエの後をついていく。
螺旋階段を降り、どんどん下へ。
『この先に何用か』
途中死神が声をかけてくる。
『あの、多分なんですけど下にイシュの大切なもの落としちゃったっぽいんです。み、見てませんか?』
イシュタルエが緊張しながら死神に尋ねる。
『ふむ…見てはおらんが…見つかったらすぐに戻れよ』
『は、はい! 失礼しまひゅう!!』
イシュタルエの見事な演技でやり過ごせたオレたちは死神が見えなくなったあたりで小さくガッツポーズをする。
『やったなイシュ!』
『はい、良樹さんに教えてもらった通りに話したら大丈夫でした! ありがとうございます!』
イシュタルエがオレに頭を下げる。
『本当、良樹は悪知恵が働くのう』
『狐、それは私も思ったぞ』
オレの後ろでは御白と龍姫が小さくため息をついていた。
『まぁ別にいいだろ。おかげで派手な動きなしでここまでこれてるわけだし』
『ふむ…確かにそうじゃが…』
『あ、多分この通路です』
まだ階段は下へと続いているがイシュタルエがその階の通路を眺める。
奥の方には大きな門。その両隣に死神が二体立っている。
『なぁイシュ、この先に牢屋があるのか?』
『はい。あの奥にある厳重な門がその証拠です。捕まえた者が逃げても困るので』
『では…どうやって侵入するかじゃがー…』
御白が顎に指を当てながら考えていると隣では自信満々の龍姫の姿が。
『ここは私に任せろ』
『ーー…ん? なんじゃ蛇。策でもあるのか』
『まぁな』
そう頷くと龍姫は袖から小ぶりの白蛇を数体呼び出す。
『狐、そして少年、イシュタルエ。メリッサとはどのような身なりなのかこいつらに教えてやってくれ』
龍姫がオレたちを見回す。
『ーー…教えてどうするんだ?』
『蛇はわずかな隙間から侵入し、音もなく対象に忍び寄ることができる。こいつらに門の向こう側へ探索してもらい、そのメリッサという死神がどこにいるかを聞き出すのだ』
『なるほどのう』
オレたちは言える限りのメリッサの特徴を上げていく。
『えーと、まず変態だ』
『変態じゃな』
『た…確かにえっちです』
『ーー…いや、そうではない、見た目を話せ』
龍姫がおでこに手を当てながらため息をつく。
あー、見た目ね。
『青くて長い髪だよな』
『後は大鎌を背負っておる』
『結構肌の露出が多めです』
『よし、ではそれに近い者がいたら知らせてくれ』
龍姫が白蛇たちに命令。
白蛇たちは小さく頷き壁の下に小さく空いていた隙間にシュルシュルと入っていった。
それからしばらく。
一匹の白蛇が戻ってきて龍姫の腕に這い上がる。
『ーー…なるほどな』
龍姫がウンウンと小さく頷く。
『みんな聞いてくれ。それっぽい人物を見つけたようだ。残りの眷属たちがその付近で隠れているので最新の周囲の状況をこいつに逐一知らせてくれる』
龍姫が腕に巻きつく白蛇を指差す。
『おいおいそんな器用なことできるのかよ。すげーな』
『鳴刀を守護していた時は数千の眷属をいたるところに張り巡らせていた時もある。これくらいなんでもない』
『おのれ蛇のくせにやるではないか…!!』
『ふふ、褒め言葉としてとっておくぞ』
『で、では行きましょう!!』
イシュタルエはフンと鼻を鳴らしながら門の方へと向かった。
ーー…てかあいつ言い訳どうすんだ?
落し物は流石に通用しないと思うけど。。
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