天才は無愛想ながらも優しい

のい

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エピローグ

選ばれた者

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『俺は他人に興味はない。』

これは小学校に上がりたての頃、友達がなかなか出来なかった俺、「黒雷 優」に心配してきた姉に放った言葉だった。

俺は物心着いた時からヘタに泣きわめくことは無いし、子供らしいわがままも言わない。そんな子供だった。感情を表に出さないから無愛想だと周りに言われる。

両親は共働きでほとんど家を留守にしていた。だから家では常に姉と2人だった。姉はおれとは正反対で、感情豊かで明るく、元気なわんぱく娘だった。俺にも必要以上に構ってきた。

俺は最初、それが鬱陶しいと思っていた。でも、それが少し変わった。俺が5歳の時、姉に連れられ公園に行き、公園のベンチで本を読んでいて、姉がブランコで友人と遊んでいた時、不審者が現れた。
不審者はベンチに座っていた俺に向かってきた。それを見た姉の友人は皆逃げて行ったが、姉だけは俺に駆け寄り庇うように抱きつき守った。
幸い近くにいたお巡りさんに助けられた。
姉は泣きながら

『怖かったよねぇ。ごめんねぇ。』

と俺を抱きしめていた。
特に怖いとかは思ってはいなかった。でも、俺はその姉の優しさが心に残った。
それ以降姉がやたらと構ってくるのを鬱陶しいとは思わなくなった。本人には言わないが。

小学校3年生の時、クラスの暴れん坊が俺の筆箱をわざと落とした。ガシャンと音を立てて落ちた筆箱を俺は何も言わず、表情も変えずに拾った。それを見た暴れん坊は気に食わなかったらしく、俺の机を蹴って去っていき、その後俺に関わることはなかった。
その時、俺の周りが

『どうして怒らないの?悲しくないの?』

と聞いてきた。俺は正直に、

『悲しくはないよ。ああいうのは頭が足りない人がすることなんだから、別に気にする必要は無い。相手にしなければあっちも興ざめする。怒らないのは怒るのは疲れるから。』

そういった。
それ以降、元々少なかった親しい人達は、俺から離れた。元々1人が好きだからどうでもいいと思っていたが、ただ1人だけ、俺の傍にずっといる奴がいた。

『相変わらず頭いいよねぇ~。脳みそ分けてよ。』

こいつは、俺がどれだけ不気味がられようと嫌われようと常に俺のそばにいた。

そいつの名は、「青城 玲」明るくノリのいい人気者とも言えるやつだった。

そんなやつがなぜ俺といるのか分からなかった。だから俺は4年生のある日そいつに聞いた。

『なぁ、何故俺に構う?』

そう言うとそいつは、酷い言い方だなぁ。と言いながらも答えた。

『君といると面白いんだよ。君はなんでも知ってる。それに君は気づいていないかもしれないけれど、君は ────』

中学を卒業した今、それを思い出そうとすると頭痛が激しくなる。あいつが何を言ったのか、思い出せない。
直接聞くという術もあったが、俺の中の何かがそれを拒んだ。

俺と玲は近くにあったそれなりに偏差値の高い全寮制の高校に進学した。元々私立の中学にいたからさほど難しくはなかった。

俺は保育園の時にIQ200という数値をたたき出した。今のIQは知らない。というか知りたくもない。

その上、他人には興味を持たないような、まぁ悲しい性格なわけで、友人は玲以外にいない。

別にそれが悲しいと思ったことはないし、玲と居ても特に疲れないから共にすごしている。

玲は無駄なことばかりよく知っていて、よく周りに【雑学辞典】と呼ばれている。好奇心もそれなりに持ち合わせていて、俺にもよく興味深い話を持ってくる。

高校生活もそのような平凡な日常が送れると思っていた。

まさかこんなことになるとは……
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