《R18》 想い出だったはずなのに 【完結】

神野ひなた

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ー学生時代ー

噂の人 4

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それから2日後、ピアノのレッスンの帰りにいつものようにお店の近くまでくると、まだみんなが残っているのがみえた。
だったら寄っても大丈夫かなと少し開いている扉に近づくとみんなの声が聞こえた。

「こんばんはー」

「あ、りおちゃん。そっか今日ピアノの日かぁ~」

裕人くんが振り向いて声をかけてくれた。
いつもどおり、特になにもかわらない。
でも、私の声をきいて奥の事務スペースのほうから顔をだしたのは
あきおさんではなく、本社のスタッフの由美さんだった。

「あっ、りおちゃん、いいところにきてくれた~」

「なんですか?」

「今ね、在庫データをチェックしててんけど、気になることがでてきたからみてほしいねんけど・・・」

由美さんがそう言ったタイミングでひょこっと事務スペースからあきおさんも顔をだした。

「わっ・・・あ・・・店長もいたんですね。」

やばいやばい。一瞬あきおさんって言いかけちゃったよ。。。

「おー、りおちゃん。いらっしゃい。ちょうどよかった。ごめん、ほかのみんなもう帰ってもらっていいよ。」

データがらみの細かい話はあまりバイトスタッフには伝えていないこともあったのでおそらく何か問題でもみつけたのだろう。
口調は優しいけど「もう帰れ」というニュアンスであることは裕人くんもよくわかっているので残っていた他の子に帰るぞと声をかけてくれてがやがやと出て行った。

「なにかありました?」

事務スペースに折り畳みの椅子をもってはいり、あきおさんと由美さんの間に座った。
データ一覧のファイルにいくつかふせんが貼ってあり、そこをみせられた。

「在庫と実際の数があってない商品がここ3か月くらいたまにでてるんだけどさ・・・」

由美さんがチェックをいれたところをみせてくれる。
これはこのお店ではそんなに売れないから少ししかおいていないビターチョコレートやスナック菓子だった。

「こういう売り上げ少ないやつは普段陳列してある数をみて減ってたらその分発注してるでしょ?」
あきおさんがいつも管理ノートに在庫数を書きこんでそれをチェックして私かあきおさんが入力している。

「そうですねぇ。」

パラパラとページをめくってここ3か月のその商品のところをみると
3個とか5個とか、しれてはいるけれど、ゼロの時が多いのにまとめて発注している日がある。
でも、それが好きな人がまとめ買いしているだけなのでは??

「たまに買っていくファンの人でもいるんじゃないですかぁ?

「そうだといいんだけどね・・・」
といってあきおさんがもうひとつのファイルを出してきた。

それはバーコード管理されている商品の発注&売上データだった。

最近バーコードが導入されてレジが変わったばかりだった。
まだまだバーコードがついているものとついていないものがあって
またバーコードデータがとりこまれていなければ手打ちしないといけない場合もある。なので管理できている商品だけしかこれには載ってこない。
だけど、このチョコはバーコード管理されているはずなのに、実際の数とデータ上の在庫があっていなかったのだ。売れていないはずなのに発注かかっていて、お店にあるはずの数がない。。。

わからなくて手打ちしたのかな?
いや・・・とおしてみてダメだったら手打ちってルールのはず、確か。

「で、パートさんやバイトのメンバーを疑いたくはないんだけど、念のためにシフトをチェックしたんだ。」
とあきおさん。
こっちは勤怠管理のデータと売り上げ日誌。
金額が合わなくてラストの子が残業になっている日が同じだったのだ。
ただ、慣れていない人が入っていたのてわは?と思ったのだけど。

3か月、発注が入っている日で金額が合っていない日にすべてに出勤していた人はひとりしかいなかった。

「これも・・・社長に報告しないとなぁ。。。」

あきおさんが力なく言った。

由美さんはこれだけのデータを2日間でぜんぶチェックしたらしい。

さすが本社で社長から一目置かれているだけのことはある。
今回うちの店でトラブルが発生したため、第三者の目でチェックしたほうがいいと由美さんにあきおさんが頼んだのだ。
で、私はデータ入力をしているので念のため確認をしておきたかったそうで連絡をしようかと思っていたところにちょうど私が来たのだった。
バイトなのに図らずも社内の大事なところをみてしまってよかったのか?とちょっとドキドキした。

由美さんが社長に連絡して会社に戻って報告してから帰ることになり、着替えに事務所にあがっていった。

「・・・あきおさん、話したいことがあったんだけど。」
「ボクも。明日スケジュール連絡するから学校帰りに寄ってくれる?今は無理だし。」
「うん。明日、本社でバイトの日だから夕方ちょっと遅くになるけど。」
「わかった。じゃあ書類のふりをして封筒にいれて渡すから」

あきおさんはそう言いながら私の頭に手をおいて一瞬唇が重なった。

と同時に由美さんが階段を降りてくる音がした。
あきおさんはフッと笑ってしいっと人差し指を口にあてた。
堂々とつきあえないもどかしさはあるけれど、特に今はしかたない。

「じゃあ、帰るからりおちゃんも帰りなさいよー。」
「はい、もうでます。店長ではまた。」
「おう、明日本社やな。がんばれよ」
「はーい」

ペコリと2人におじぎをして私は自宅までダッシュで帰った。

明日学校で会いませんように。


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