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想い出だったはずなのに
新しい生活 2
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行ってしまった背中を見送っていたら私の整理番号が呼ばれた。
窓口に行き、手続きをしていたら職員の人が話しかけてきた。
「さっき、前田さんとお話しされていましたよね?」
えっ・・・
「あ、はい。今バッタリ再会したんです。昔の知り合いで・・・・」
「そうなんですか?前田さん、市の主催の木彫り教室を定期的にしてくださっていて、ものすごく好評なんですよ。年齢不詳のイケメン講師って言われていて役所の女の子はみんなファンなんですけどね。」
「・・・そうなんですか。」
ほとんど顔はみていないけれど、声は老けていなかったし、ほとんどそのままなら確かに年齢不詳のイケメンだろうと想像はつく。
「バツイチとは聞いていますけど、あのお歳までおひとりってもったいないですよね。」
えっ?ひとり?
再婚しなかったんだ・・・・
「えっ?そうなんですか?私はさっき20年ぶりくらいに会ったので・・・」
心臓の音がドクドクと早まっているのがわかる。
なるべく平然とふるまうように気を張らないと・・・・
「20年ですか!またセミナーのときにでもゆっくり昔の前田さんのこと聞かせてくださいねー」
いや、あまり話したくは・・・・ないんだけど(^-^;
「そうですね。」
「工房はすぐそこなんでまたお時間あったらのぞいてみてくださいね。」
職員さんはしゃべりながら手続きを済ませて書類を作成してくれたので受け取った。
「ありがとうございます。」
駐車場に行くにはいったん外に出ないといけないので外に出るとセミの声が外の暑さをいっそう暑く感じさせていた。
冷や汗なのか暑くてかいている汗なのかもわからない汗をかいていた。
さすがに今日のぞきに行く気にはならない。
だけど、どうしてこんな近くに・・・・
宏之さんとこの土地でおだやかに過ごすつもりだったのに。
セミナー関係の部署とかかわりがあるようなので知らない顔をするわけにもいかなそうだ。
過去のことが一気に蘇ってくる。
車のエンジンをかけてエアコンが効きだすまで私はハンドルに頭を預けて深呼吸をした。
自宅に戻り、エアコンをいれてリビングにへたりこんだ。
3年間の予定だからと駅に近いコンパクトな賃貸の一軒家を借りたので市役所からもそんなにかからず帰宅できた。
なのであきおさんの工房も歩いて行ける距離なはず。
スマホをあけてmapでチェックする。
・・・・やっぱり近い。
なんで今なんだろう。
もう過去のことは気にせず普通に接することなんてできるのだろうか。
どうしてあきおさんはあんなふうに声をかけることができたのだろうか。
いろんな思いが湧き上がってきて宏之さんが定時退社で帰宅するまでぼうっとしていた。
「ただいまー」
宏之さんのその声にハッとして、夕飯の準備もしていなかったことに気づく。
「おかえりなさい。」
「あれ?りお、どうした?」
「ごめんなさい、ちょっと疲れたのかな、ぼうっとしていて夕飯の準備まだできてない・・・急いで用意しますね。」
立ち上がってキッチンに向かおうとしたら宏之さんにふわりと後ろから抱きしめられた。
「・・・その顔はなんかあった顔だね。夕飯は駅前に何か食べに行こう。明日は土曜日だし、ちょっと飲むか。」
その言い方は話しを聞こう。ということだ。
宏之さんなら受け止めてくれるのはわかっている。
だけど、話してしまっていいのだろうか。
私の奥に消えることなく燻り続けていた想いがあふれてきそうでこわかった。
「着替えてくるからまってて」
そういって腕をほどこうとした宏之さんの手をつかむ。
「どうした?」
「ちょっとだけ・・・・」
私は宏之さんの胸に顔をうずめた。
やさしい手が頭を撫でてくれる。
それだけで落ち着く。
私の居場所はここなのだ。
ただ過去の知り合いとして接すればいい。
宏之さんにはちゃんと話しておいたほうがいいかなとは思った。
彼には隠し事ができないから。
彼はとてもよく私のことをみていてだいたいのことはバレてしまう。
目を閉じて深呼吸して顔をあげた。
「ありがとう。着替えてきて?ごはん食べにいこっ!」
宏之さんは手を洗って寝室に着替えにいった。
私もおいたままの荷物を片付けて出かける準備をした。
窓口に行き、手続きをしていたら職員の人が話しかけてきた。
「さっき、前田さんとお話しされていましたよね?」
えっ・・・
「あ、はい。今バッタリ再会したんです。昔の知り合いで・・・・」
「そうなんですか?前田さん、市の主催の木彫り教室を定期的にしてくださっていて、ものすごく好評なんですよ。年齢不詳のイケメン講師って言われていて役所の女の子はみんなファンなんですけどね。」
「・・・そうなんですか。」
ほとんど顔はみていないけれど、声は老けていなかったし、ほとんどそのままなら確かに年齢不詳のイケメンだろうと想像はつく。
「バツイチとは聞いていますけど、あのお歳までおひとりってもったいないですよね。」
えっ?ひとり?
再婚しなかったんだ・・・・
「えっ?そうなんですか?私はさっき20年ぶりくらいに会ったので・・・」
心臓の音がドクドクと早まっているのがわかる。
なるべく平然とふるまうように気を張らないと・・・・
「20年ですか!またセミナーのときにでもゆっくり昔の前田さんのこと聞かせてくださいねー」
いや、あまり話したくは・・・・ないんだけど(^-^;
「そうですね。」
「工房はすぐそこなんでまたお時間あったらのぞいてみてくださいね。」
職員さんはしゃべりながら手続きを済ませて書類を作成してくれたので受け取った。
「ありがとうございます。」
駐車場に行くにはいったん外に出ないといけないので外に出るとセミの声が外の暑さをいっそう暑く感じさせていた。
冷や汗なのか暑くてかいている汗なのかもわからない汗をかいていた。
さすがに今日のぞきに行く気にはならない。
だけど、どうしてこんな近くに・・・・
宏之さんとこの土地でおだやかに過ごすつもりだったのに。
セミナー関係の部署とかかわりがあるようなので知らない顔をするわけにもいかなそうだ。
過去のことが一気に蘇ってくる。
車のエンジンをかけてエアコンが効きだすまで私はハンドルに頭を預けて深呼吸をした。
自宅に戻り、エアコンをいれてリビングにへたりこんだ。
3年間の予定だからと駅に近いコンパクトな賃貸の一軒家を借りたので市役所からもそんなにかからず帰宅できた。
なのであきおさんの工房も歩いて行ける距離なはず。
スマホをあけてmapでチェックする。
・・・・やっぱり近い。
なんで今なんだろう。
もう過去のことは気にせず普通に接することなんてできるのだろうか。
どうしてあきおさんはあんなふうに声をかけることができたのだろうか。
いろんな思いが湧き上がってきて宏之さんが定時退社で帰宅するまでぼうっとしていた。
「ただいまー」
宏之さんのその声にハッとして、夕飯の準備もしていなかったことに気づく。
「おかえりなさい。」
「あれ?りお、どうした?」
「ごめんなさい、ちょっと疲れたのかな、ぼうっとしていて夕飯の準備まだできてない・・・急いで用意しますね。」
立ち上がってキッチンに向かおうとしたら宏之さんにふわりと後ろから抱きしめられた。
「・・・その顔はなんかあった顔だね。夕飯は駅前に何か食べに行こう。明日は土曜日だし、ちょっと飲むか。」
その言い方は話しを聞こう。ということだ。
宏之さんなら受け止めてくれるのはわかっている。
だけど、話してしまっていいのだろうか。
私の奥に消えることなく燻り続けていた想いがあふれてきそうでこわかった。
「着替えてくるからまってて」
そういって腕をほどこうとした宏之さんの手をつかむ。
「どうした?」
「ちょっとだけ・・・・」
私は宏之さんの胸に顔をうずめた。
やさしい手が頭を撫でてくれる。
それだけで落ち着く。
私の居場所はここなのだ。
ただ過去の知り合いとして接すればいい。
宏之さんにはちゃんと話しておいたほうがいいかなとは思った。
彼には隠し事ができないから。
彼はとてもよく私のことをみていてだいたいのことはバレてしまう。
目を閉じて深呼吸して顔をあげた。
「ありがとう。着替えてきて?ごはん食べにいこっ!」
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私もおいたままの荷物を片付けて出かける準備をした。
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