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「明かされた秘密」些細な違和感。
・・・・・どれぐらい微睡んだだろう・・・
気づけば、
部屋は真っ暗だった。
微かに・・・・微かに、空調の音が聞こえていた。
ベッド。
シーツの下。
右腕の中に花子がいた。
ボクの胸に顔を乗せて眠っている。
ショートカット・・・・黒髪・・・
今どきの若い女の人としては珍しい、
全くの黒髪だった。
子供のような寝息が聞こえていた。
心地良い命の重さと、
心地良い命の温かさを感じた。
そぉーーー・・・・っと、左腕を伸ばす・・・・
ペットボトルを掴む。
器用に、片手で蓋を開ける・・・・・
身体を動かさず・・・・さらに、右腕は絶対に動かさず・・・・左腕だけを動かし水を飲む・・・・
「・・・・うう・・・ン・・・・・」
まぁ、無理だよな。
やっぱ、気づかれた。起こしてしまった。
花子が微かに眼を開ける・・・・・
飲むか・・・?
そのまま口に含んで、花子の口に流し込む。
真っ白な・・・・か細い首筋がゴクゴク鳴った・・・
2度・・・3度・・・
「重くない・・・・?」
微笑みながら花子が言う。
大丈夫だよ。
重くない・・・・温かくて気持ちいい。
ウン。
頷いて眼を閉じた。
・・・・右腕。そのまま、花子の髪を撫でようとした・・・・黒髪・・・ショートヘア・・・触れる・・・・
ハッと気づいて、肩へと腕をまわした。
華奢な肩を撫でた。
「ありがとう・・・・」
・・・・肩を撫で続けた。
母親が、幼児を寝かしつけるように撫で続けた。
「・・・・・やっぱり・・・・重いでしょ・・・・・」
花子が、ボクの胸から降りた。
背中を向けた。
それでも、腕の中にはいる。・・・・その腕で華奢な肩を撫で続けた。
「・・・・いつから気づいてたの・・・・・?」
背中越し。
黒髪、後頭部。
花子の問いかけ。
ボクは、無言で肩を撫で続けた。・・・・・どうにも、的確な言葉が思いつかない。
「抗癌剤が始まって・・・・
・・・・髪の毛が抜け始めて・・・・
もちろん、
最初からわかってたことだから・・・・」
背中越し。
花子が語り出す。
不治の病。
ただし、
「癌」ではなかった。
韓流アイドル。
レッスン中に倒れた。
入退院の繰り返し・・・・一進一退の状態が続く。
しかし、
確実に、ジワリジワリと体調は悪化していった。
・・・・そんな日々の中で朗報が届く。
一部の「抗がん剤」に治療の効果がみえた。
そこから、
本格的な抗がん剤治療が始まる。
「決まった段階で、ウィッグを作ろうって・・・・
・・・そしたら、
どうせなら、自分の髪の毛でつくった方がいいって・・・・
・・・確かに、
自分の髪の毛の方がいい・・・・なんだか、シックリくるような気もするし・・・・
でも、
気づいた時が遅くて・・・・
けっきょく、ショートにしかできなかったんだよね・・・・・」
背中越し。
花子の表情は見えない。
「似合ってるよ」
咄嗟には、
そんなありきたりな言葉しか出なかった。
・・・・・でも・・・・
ボクにとっては、花子は「ショート」だ。
確かに、
ブログの中、
ロングの髪で、
クラシカルなドレスを着て、ヴァイオリンを弾いている花子の画像があった。
でも、
どこか「勝気」のような部分が・・・・どうにも、ドレスに合ってない感じがした。
韓流アイドルの頃には、
すでに、ショートといっていい髪型で、
ボクには、
その姿の方が「水を得た魚」のように見えた。
キリリとした眼元。
凛とした笑顔。
ロングドレスより、ハイウェストのパンツスタイルのほうが花子には似合っている。
・・・・「THE・宝塚」・・・・「華子」って感じだ。そして、その髪型「ショート」の方が似合っている。
「花子は、ショートの方が似合うよ」
後ろ姿に言った。
これは、ボクの本心だった。
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