70 / 126
「命の切れた髪」蝋人形の館。
ボクが、
花子の「ウィッグ」に気づいたのは・・・・
一番最初に気づいたのは・・・・
初めてキスした時だったかな・・・・
・・・・いや・・・・その前からか・・・・
病院で見かけるようになった時からかな・・・
花子の第一印象は、
「綺麗な人だなぁ・・・」
病院で、通院の度に会った。
そこから目がいくようになって・・・
しかし、
何か、
どこか、
小さな「違和感」のようなものを感じていたか・・・・もちろん、気にはしていなかった。
「違和感」と言うほどの事でもない。
全くの、
些細なものでしかなかった。
その違和感の正体に気づいたのが、初めてのキスシーンだった。
初めて、顔を近づけて見ることになった。
そこで、
「髪の毛」が、その些細な違和感の正体だと気づいた。
この違和感を説明するのは難しい。・・・・言葉にするのは難しい。
見た目には、なんら違和感はなかった。
スタイルも・・・・「ウィッグ」・・・・・「取り付け感」のようなものは全くなかった。
些細な違和感。
それは・・・・
言葉、
一言で説明すれば、
「髪の毛としてのオーラがなかった」
そんな説明になってしまう。
・・・・・むかし、
「蝋人形館」に行ったことがある。
前にも言ったけど・・・・
アメリカのカジノ・・・・ラスベガスに通っていた時期がある。
その時、
観光スポットとして有名な「蝋人形館」に行ったことがある。
それは、それは、
見事なものだった。
「蝋人形」
日本の遊園地のアトラクション・・・・子供だましの展示物・・・・そんなものとは、全くの「別モノ」だった。
すでに亡くなった、
ハリウッドスター・・・・アーティストたちが、
そこに蘇っていた。
まさしく、
「本人」だった。
・・・・・まぁ、
当然に、本人たちには会ったことがないんだけどさ。
それらは、
間違いなく、
「本人」
「人間」だった。
肌の艶感・・・・血管の1本1本すらが見事に再現されていた。・・・・まったく、人間の皮膚の透明感・・・・
・・・・人間の皮膚ってのは、
本当に緻密なものだ。
その下に通っている血管が透けて見えてるからな。
ボクも「絵」を描くのが好きなんんで、よくわかる。
「風景画」
「静物画」
「人物画」
やっぱり、
「人間」・・・・「人物画」ってのが、圧倒的に難しい。
とにかく、
人間の「皮膚」ってやつを描くのは、とてつもなく難しい。
・・・・そして、
その「皮膚感」が上手く表現できなければ、絵としては失敗になってしまう。
「蝋人形」
その、
「皮膚感」が、
圧倒的な表現力で造られていた。
釘付けになるほど、
ホントに、
凝視して見て周った。
・・・で、
皮膚感だけじゃなく、
目を見張ったのが、
その躍動感だった。
今にも「動きそう」で・・・・歌い出しそうで・・・・汗さえ・・・・熱量すら感じるものだった。
髪の毛も、「本物」を、1本1本植え付けるって徹底ぶりだ。
もう、
ただただ、
「感嘆」の二文字しかなかった。
ボクの手元には、今でも、その時の画像があるけれど、
それを見ても、
どれが「人形」で、
どれが、入場客なのかの見分けがつかない。
・・・・しかし、
現地、
現物を見ていくと、
やはり「わかる」・・・・わかってくる。
些細な「何か」
些細な「違和感」
それによって、
やはり「人形」だとわかるようになっていく。
・・・・もちろん、
そもそも、
蝋人形には、
「展示物」としての表記がなされているわけで、
それで文句ナシにわかるわけだけど。
・・・・・何が違うんだろうな・・・・・???
ボクは、
自分の「脳」の不思議を解析していった。
「何によってボクは人形だと判断しているのか・・・?」
それが、
「髪の毛」なんだと気づいた。
一言で表せば、
「生命力がない」
そういう結論になる。
生きてる、身体の一部としての髪の毛と、
すでに、身体から切り離された髪の毛。
同じ「髪の毛」とはいえ、
人体から「生えている」
人体の一部としての髪の毛と、
人体から切り離され、「繊維」となってしまった髪の毛。
やはり、
「生命力」のようなもの・・・・そんなものが消えてしまってるようだった。
それを、
人間の「脳」
その些細な「違い」を、
人間の脳は見逃さないのだと気づいた。
花子に感じた、
「些細な違和感」がこれだった。
キスをして、
顔を近づけて、初めて「ウィッグ」なんだと気づいた。
しかし、
その時は、
まだ、半信半疑・・・・
・・・・それが、
「確信」となるには、
また、別の日のできごとがあった。
・・・・いや、
そもそもは、そんなに深くは考えていない。
言葉にすれば、
説明すれば、こういうことになるというだけのことだ。
今は、
「ウィッグ」自体は、別に珍しいものでもない。
別に、病気じゃなくても、
ファッション、アクセントとして、着けてるものだったりもする。
ただ、
出会った場所が病院だった。
「病気のせいかもしれない・・・・」
そう思い、
どうにも、髪の毛に触れることを躊躇・・・・というより我慢していたんだった。
ふとした時に、
髪の毛に触れそうになる。
キスをして・・・・
抱きしめて・・・・
髪の毛に触れそうになる。
それを、
ボクは我慢していたんだった。
「花子は、ショートの方が似合うと思うから・・・・ボクは、ショートの方が好きだなぁ・・・すごく良いと思うよ」
これは、
本当に本心からだった。
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
義姉と押し入れに隠れたら、止まれなくなった
くろがねや
恋愛
父の再婚で、義姉ができた。
血は繋がっていない。でも——家族だ。そう言い聞かせながら、涼介はずっと沙耶から距離を取ってきた。
夏休み。田舎への帰省。甥っ子にせがまれて始まったかくれんぼ。急いで飛び込んだ押し入れの中に、先客がいた。
「……涼介くん」
薄い水色の浴衣。下ろした髪。橙色の光に染まった、沙耶の顔。
逃げ場のない暗闇の中で、二人分の体温が混ざり合う。
夜、来て。
その一言が——涼介の、全部を壊した。
甘くて、苦しくて、止まれない。
これは、ある夏の、秘密の話。