不思議体験・外伝。

ポンポコポーン

文字の大きさ
73 / 126

「この子を走らせて!」目覚めるAMG。



横浜から東京に戻るには、

いくつものルートがある。


「高速」と呼ばれるルートだけでも3ルートがある。




「首都高湾岸線」にベンツを乗り入れた。



ベイブリッジを駆け抜けていく。


外洋にタンカーが航行しているのが見えた。


海面が陽に反射して輝いている。



「キレイ・・・・」


助手席の花子が呟く。



首都高湾岸線を使ったのは、この景色のためだった。


左手には、「港町横浜」・・・・その都市部の風景、

右手には、外洋の景色が広がっている。


ボクが好きな景色でもあった。



ベイブリッジは、海の上の「吹きっさらし」の橋だ。


意外と・・・・以外でもないけど「風」が吹く。

その横風に、車が右往左往することがある・・・・風によって通行禁止になることもある。


今日は、

天気はいいものの、

やっぱり「冬」だ。


風は強い。


「箱型」のトラックが風に煽られ右往左往している。


いや、

普通の乗用車ですら、ハンドルを取られていた。



・・・・が、


花子の車。


この、


「メルセデスベンツAMG」はビクともしなかった。



ベンツの凄さ・・・・ドイツ車の凄さか、


そのひとつに、

圧倒的な、「直進安定性」がある。



路面にピタリと張り付くような安定感があった。・・・・これが凄い。速度が上がれば上がるほどに、車が安定していくんだった。


ドイツ車。

初めて乗った時に、

さすがに、

速度無制限の道路「アウトバーン」を有する国の車なんだと思った。


その、

ただでさえ、その能力の高いベンツのところに、


この車両は、


特別仕様の「AMG」だ。



周りの日本車が、右に左に蛇行していく中、


ピタリと路面に張り付き、追い越し車線を疾走していった。




・・・・・凄ぇぇ・・・・



思わず、声が漏れるほどだった。


・・・・はるか昔・・・


ポルシェに乗っていたことがある。



この、


ベイブリッジも、何度も、ポルシェで走った。

その記憶が蘇る。



・・・・・・いい車だ・・・・

やっぱ、ベンツは・・・・

そして、AMGは凄いや・・・・



腹の中で驚嘆していた。




車内には、

ヴァイオリンの響きが流れていた。


花子の顔が目を瞑りズムに身を任せていた。

・・・・もともとヴァイオリニストだもんな・・・



巷でもよく聞く、「白鳥の湖」や「トルコ行進曲」

そんな古典の曲が流れる。




「・・・凄いね・・・この人・・・・なんていう奏者なの・・・??」



デビット・ギャレットのアルバムだ。


ボクは、

別に、クラシックに興味があるわけじゃない。



ただの「映画好き」だ。



天才ヴァイオリニスト「パガニーニ」


その人生を描いた映画がある。


その映画が面白く、


更には、


その音楽に魅了された。



劇中流れる音楽は、


学校で聞かされた「古典」・・・・退屈な音楽が多かった。


・・・・・にもかかわらず、


何か、


「胸を刺された」



それもそのはずで、

映画は、
「天才ヴァイオリニスト」がモチーフであるために、


劇中、

主人公、パガニーニを演じたのは、


本物の、

現代の、

「天才ヴァイオリニスト」と呼ばれる人物だった。


胸を掴まれたボクは、


彼のCD・・・・正確には配信から購入したんだった。・・・・しかも「ハイレゾ」という、高音質で購入した・・・・・これ・・・高いんだよ・笑。


それでも、

それだけの価値があると思って買ったんだった。



クラッシック音楽なんて、

「高音質」がキモだからな。




「・・・・こういう解釈もあるのねぇ・・・・」


花子が、
彼の演奏の特徴を解説してくれた。



・・・・・なるほどなぁ・・・


プロに解説してもらうと、


ボクが、

なぜに、


「心を掴まれた」かの理由がわかった気がした。


そして、

パガニーニが「天才」と呼ばれる所以もだった。



平日だ。

しかも、

すでに、

朝のラッシュ時は過ぎている。


・・・・もともと、



「首都高湾岸線」


この路線は、あまり混まない。


車線が常に3車線以上ある。


他のルートは2車線・・・・しかも、狭い。


そんな理由で、

ボクが、日常に使うルートでもあったんだった。



快調に右車線を駆け抜けていく。


海岸線を走る。


直線道路・・・・・なだらかなカーブが続くルートだ。



久しぶりの、

ドイツ車。

ベンツ・AMG。

スポーツカーの乗り味を堪能していた。



・・・・・・何年振りだろうな・・・・



最後にここを駆け抜けたのは・・・・


ポルシェを手放したのは、


2000年に入ってすぐ・・・


2001年だったっけか・・・



だから、


20年ぶり以上ってことになる。


太いステアリング。

アクセルの重さ。

ブレーキの利き・・・・


久しぶり・・・


ドライビングを楽しむ・・・・堪能する・・・



もうすぐ、
湾岸線から、東京都市部へと分岐していく。



ここからは、


都心部の、曲がりくねった路線になる。


中央環状線に乗り入れていく。


ここは、

比較的新しくできた地下ルートだ。


今や、

東京の地上に高速道路を建設することは不可能に近い。


それで、


地中深くに建設された道路だ。



しかし、

地下とはいえ、

簡単に道路を通すことはできない。


地下鉄・・・・あるいは、各種インフラ設備、

諸々が、網の目のように張り巡らされている。


それらをくぐっての道路だ。



だからか、

結果的には、

適度にワインディングした、


走っていて楽しい道路となっていた。


おそらく、大型トラックとかには厳しい道路だ・・・・そして、ふだん運転しない「サンデードライバー」にとっても難しい道路だろう。


しかし、

ボクのような人間には「楽しい道路」だった。


・・・・・しかも、


今日、駆っているのは、

世界の名車、

AMGメルセデスだ。



湾岸線に別れをつげて、
都市部へと分岐していく。




「カズくん・・・・」



・・・・・ん??



「踏んでいいよ」


花子が笑った。・・・・少女の顔だった。



「踏んでいいよ」



アクセルを入れろということだ。



花子も、


若き日々は、

「首都高ランナー」だったといった。

女だてらに、首都高を乗り回していたと言った。

・・・・まぁ、

そうじゃなきゃ、

メルセデス・・・・ベンツとはいえ、AMG、

こんな、スポーツバージョンを買いはしないだろう。



花子の愛車。


F1ドライバーの名前をとった、



愛称「シューちゃん」



こいつも、


もはや、


アクセルを踏んでもらえずに何年になるのか・・・・


入退院の花子には運転はできない。


家族でも、

花子以外は乗らないと言っていた。


難しい車だもんな。




「シューちゃんに走らせてあげて」




・・・・了解した。



AMGの走行モードを「SPORTSプラス」に変更した。・・・・ゲームさながらに「走行モード」を変更することができる。



シューちゃんの性格が変わった。

戦闘モードになったのがわかる。・・・・ステアリングの重さ・・・・サスペンションの硬さが変わった。



高架の路線から急降下していく。

地下深くへと潜航していく。



オレンジの光が左右に流れ去る。


アクセルを入れれば、


今までおとなしく・・・猫を被っていたような、

ツインターボ。400馬力を越えるエンジンが轟音を上げる。・・・・下手なレースカーよりもパワーがある。


「爆音」だといっていい。



メルセデスベンツが、

合法的に「族車」を造ったというほどの爆音だ。・・・・この爆音で、車検が通る市販車だというのか・・・・



真っ赤な、


爆音を轟かせたAMGベンツ。


地下道。


眩しいLEDヘッドライト。



前をいく車。


全てが道を譲った。



トンネル。

地下道。

轟音を響かせ駆け抜ける。


感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

義姉と押し入れに隠れたら、止まれなくなった

くろがねや
恋愛
父の再婚で、義姉ができた。 血は繋がっていない。でも——家族だ。そう言い聞かせながら、涼介はずっと沙耶から距離を取ってきた。 夏休み。田舎への帰省。甥っ子にせがまれて始まったかくれんぼ。急いで飛び込んだ押し入れの中に、先客がいた。 「……涼介くん」 薄い水色の浴衣。下ろした髪。橙色の光に染まった、沙耶の顔。 逃げ場のない暗闇の中で、二人分の体温が混ざり合う。 夜、来て。 その一言が——涼介の、全部を壊した。 甘くて、苦しくて、止まれない。 これは、ある夏の、秘密の話。