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「柑橘の媚薬」AMGメルセデス。
花子のお母さんのビジネスは、
小さなショービジネスの事務所だった。
海外からアーティストを呼ぶ仕事。
「大物」を招聘することはないものの・・・
クラシックの世界に特化していて・・・
さらには、未来のスターを呼ぶのに長けていた。
花子も・・・そして、花子の家族は「音楽一家」・・・・しかも、クラシックの音楽一家だった。
そのために、世界中にネットワークがあった。
お母さんは、
身の丈に合った、手堅い、小さな事務所を営んでいた。
花子も身体が動くときは手伝っていた。
・・・・いや、そもそも、
花子の「自立」のための会社の色彩が強い。
花子の仕事として立ち上げたのではないかと思う。
その仕事のため、
お母さんは、海外への渡航が多い。
「・・・そう・・・・医療用です・・・海外では、「合法」とされている国も多いですから・・・」
花子の「柑橘の紫煙」
香りで、
すぐに「大麻」だとわかった。
大麻は、国によっては「合法」とされている場合もある。
・・・・ましてや、
「医療用」
末期患者などの緩和ケアとしては、
医療行為として、正式に処方される場合もあるんだった。
日本でも、
末期患者にはモルヒネが投与されたりする・・・未だ、大麻は認められていないが・・・
・・・・それを、
お母さんは手にしていたんだった。
アメリカでも、「合法」とされている州は多い。
ボクは、
会社を潰した後で、
「アメリカ逃避行」の時期を過ごしたことがある。
アメリカにしばらく滞在すれば・・・
ましてや、カジノに出入りしていれば、そういう話を見聞きする機会はあった。
もちろん、
ボクは吸ったことはない。
・・・いや、
本当に、
一度も吸ったことはない。
ボクは、
過去に煙草を吸っていたことがある。
それを、20代の後半で止めたわけだけど・・・
なかなかに苦労した。
最初は「本数」を減らす・・・・から始めた。
しかし、
これが、なかなか難しい。
一番吸っていた時で、
1日60本・・・・徹夜仕事が多かったからなぁ・・・
そこから、
1日5本へと減らした。
けど・・・
なかなかできない。
ちょっと仕事がたてこめば、すぐに10本を超えた。
そして、
「仕事が忙しいんだからしょうがない」
自分に言い訳した。・・・・そんなふうに甘やかせれば、
すぐに、本数は20本・・・・1箱となった。
自分の弱さ、
自分の言い訳に辟易とした。
・・・・それで、
思い切って、
「やめる!!」
となったのだが、
これこそ大変だった。
何かの拍子に吸ってしまい・・・・またやめて・・・・それを繰り返す・・・・
・・・煙草だけでも、
脳を麻痺させる・・・
あの、
全身麻酔のような陶酔感は、相当な快楽だ。
一度、味わってしまえば、なかなかやめられるものじゃない。
・・・・それに・・・・
親父の「酒乱」を見てきた。
親父の酒乱ゆえに、ウチの家族は辛酸を舐め続けた。・・・・ボクは、弟との生き別れすら経験させられてしまった。
・・・・ボクの性格は、
この経験で、
ことごとく曲がってしまった。
ひねくれてしまった。
親父は・・・・
最後は、
人生を壊し・・・・
そして、
お決まりで、
身体を壊して死んでいった。
「合法」とされている、
煙草、酒ですら、
やめるのに、あれだけの苦労をする・・・・
いや、
止めることができない。
なのに、
それよりも、
何倍も・・・何百倍も作用の強い・・・・快楽の強い、
「大麻」・・・・「覚せい剤」
一度味わってしまえば、
絶対にやめられるはずがない。・・・・それほどの快楽だと思っている。
「甘い悦楽」だと思う。
・・・・じっさい・・・・
あの、
花子の初体験のシーンでは、
副流煙とはいえ、
ボクは、
大麻を吸い込んでいたんだと思う。
その効果・・・効用・・・・「悦楽」は恐ろしいほどだった。
ボクは、
すでに、
病気で、SEXできない身体になっていた。
確かに、
それをなんとかするために、勃起薬を・・・・ヴァイアグラを飲んでいた。
しかし、
それの効用だけではなかったと思う。
おそらく、
あの「大麻」の影響が大きかったと自覚している。
・・・・もちろん、
花子の魅力が大きかったのはいうまでもない。
花子の・・・
真っ白な裸体は美しかった・・・・
背が高く、
脚が長く・・・
その脚を、ガーターストッキングで包んだ裸体は、
現実世界とは思えないほどの美しさだった。
・・・・そして、
花子の感じ方にも、
その影響はあっただろうと思っている。
処女喪失の痛みへの麻酔となり・・・・
さらには、快楽を倍増させる、禁断の媚薬となったんだと思う。
・・・・・ボクは・・・・
意志の弱い人間だと、
自分の事を知っている。
だからこそ、
絶対に、
それらの類には手を出さなかった。
・・・・・今では、煙草は当然として、
アルコールすら飲まない人生となった。
・・・・・それほどに、
親父の、
「反面教師」としての存在は大きかった。
・・・・弟も、
酒にも、煙草にも手を出さなかった。
シガレットケース。
・・・・・写真の横に戻した。
・・・・・もうひとつ、
見慣れたものがあった。
・・・・・思わず手に取った。
「シューちゃん」のキーだった。
メルセデスベンツ・AMGのキーだった。
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