100 / 126
「下取り1/10以下の車」おヘソが曲がる・笑。
ベイブリッジを東京に向かう。
漆黒の車両。
太い、
本革巻きのステアリングを握る。・・・・手触りが最高だった。
「首都高速湾岸線」
何度も通った道路だ。高速だ。
・・・・しかし、
全く違った世界に感じた。
何台もの車でここを走ってきた。
・・・・会社を潰して・・・・「ひとり自営業」としてやりなおして買った車・・・
最初は、
ポンコツの日本車だった。
そこから、多少良くなってきてプリウスに乗り換えた。
アクア・・・
いろんな車で走った。
「1年に3度の交通事故」
最近では、代車のシエンタ。
代車のカローラフィルダー。
それらとは全く違った味だった。
同じ「車」という乗りものじゃない。
それほどの違いだった。
「メルセデスベンツ・AMG」
「貰った」というわけじゃない。
・・・・いや、
限りなく貰ったに近いんだけどな。
兄貴は、
代々、AMGを乗り継いでいた。
新型が出る度に乗り換えるってパターンだ。
そういう人多いよな。
同じ車を代々乗り継いでいくってパターン。
で、
新型が出て、乗り換えようと思った。
・・・・が、
時代は、
「失われた30年」の時代。
日本が一番景気の悪かった時代だ。
兄貴の会社も苦しんでいた。・・・・それで「見送り」
・・・・から、なんとかなるかぁ・・・もう、ベンツ乗り換えてもいいかなぁ・・・と思っていたら、
今度は「緊急事態宣言」
・・・・それも、なんとか乗り越えてきた。
なんとか、目鼻はついてきた。
ここんとこは、かなり景気も戻ってきた。
そこへきて、
AMGの車検も迫ってきた。
それで、
ようやく、
新型に乗り換えるって決断をしたんだった。
・・・・とっころが・・・
当然に、
乗り換えるにあたっては、今乗っている車を下取りに出すってことになる。
査定の価格が提示される。
その値段が、
「タダ同然なんだよ」
憤懣やるかたないって表情で、兄貴が煙を吐き出していた。
もちろん、「無料」ってわけじゃない。
価格は付いている。
しかし、
兄貴にとっては「タダ同然」って金額だった。
100万円を切るってな価格だったらしい・笑。
いやいや、
100万円の値段って凄いじゃん!!
ってボクなんかは思うけど、
なんつったって、
兄貴のAMGは、
新車で購入した時には1500万円ってな価格だ。
そこからみれば、
1/10以下。
そりゃ、
「タダ同然」って感じにはなる。
これには、
当然、ディラー側にも言い分があって、
まず、
年式が古いこと。
兄貴のAMGは、
現行からは「2世代前」のモデルになる。・・・・いっこ前のモデルは、景気が悪くて乗り換えられなかったからな。
そして、
車検の残りがない事。
新たに販売するには車検を通さなければならない。・・・ここで費用がかかる。
あとは・・・・
「AMG」ってこと・笑。
・・・・え???笑。
AMGは、マニアックな車だ。
その特殊さゆえに圧倒的なファンも多いけれど、
今の時代は、
「エコ車」って時代だ。
電気自動車が、
「自動車」って世界の覇権を握ろうかってな時代だ。
少なくとも、
小排気量。ハイブリッド。
エコな時代。
低燃費が正義って時代だ。
そんな時代に、V6の3,000CCのエンジンを積んだ。
エコとの真逆な、
前近代的な車は、
買う人間がいない・笑。
まだ、
「1世代前」なら、買う人間もいるけれど、
「2世代前」となると、買う人間はいない。
もっと古くなれば、
「ビンテージ」ってな価値もつくけど、
「2世代前」は、
ただの「古い車」でしかない。・・・・しかも、燃費はチョー悪い・笑。
そんなことで、
「100万円以下」ってな提示額になったらしい。
で、
なんだか、
癪に障ったらしい・笑。
・・・・これ、
たぶん、対応した営業の人間のミスじゃないかと思うけど、
いたく、兄貴はご立腹だった・笑。
だったら、
「売ってやんねーよ」
そうヘソを曲げちゃったらしい・笑。
もちろん、
だからといって他に手はない。
ベンツに下取り・・・・買い取らせるしかないんだけど・・・・
ただ、
「なんだか釈然としないんだよねぇ・・・・」
ってな感情をもってしまった。
「失われた30年」
なんとか会社を維持してきた。
「緊急事態宣言」
なんとか生き抜いてきた。
日頃の苦労が実って、
ようやく、危機的状況も抜けてきた。
「頑張ったなぁ・・・オレ」
そんな気持ちを胸に、
洋々とベンツを買いに行ったら、この仕打ち。
とにかく気分が悪かった。
なんだかなぁ・・・・
すんげーーー気分が落ち込んじゃった・・・・
すんげー気分が悪かったんだよな・・・・・
そんなことらしい。
で、
だったらと、
前から、
この「AMG」の価値を、よーーーく知っている。
ベタ褒めしていたボクに、
今や、
「弟分」といってもいいボクに、
やってもいい。
「カズくんさぁ、オレのベンツ、貰ってくんない?」
となったらしい・笑。
・・・・なーるほどなぁ・・・・・
「ただし・・・・問題はあるんだけどね」
兄貴が笑って珈琲を飲んだ。
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
義姉と押し入れに隠れたら、止まれなくなった
くろがねや
恋愛
父の再婚で、義姉ができた。
血は繋がっていない。でも——家族だ。そう言い聞かせながら、涼介はずっと沙耶から距離を取ってきた。
夏休み。田舎への帰省。甥っ子にせがまれて始まったかくれんぼ。急いで飛び込んだ押し入れの中に、先客がいた。
「……涼介くん」
薄い水色の浴衣。下ろした髪。橙色の光に染まった、沙耶の顔。
逃げ場のない暗闇の中で、二人分の体温が混ざり合う。
夜、来て。
その一言が——涼介の、全部を壊した。
甘くて、苦しくて、止まれない。
これは、ある夏の、秘密の話。