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「信長さまの威光」譲り受けの決め手。
自宅。
マンション駐車場。
AMGを降りる。
リアゲート・・・・後ろのドアを開ける。
すぐに目に飛び込んでくるのが、
建築業で不可欠の「脚立」だ。・・・・笑。
後部座席を倒して、縦に入れてあった。
漆黒のベンツには、どうにも不釣り合いだ・笑。
・・・で、
その周辺には測定器のケースとか、段ボールが並んでいる。
箱を開ける。
1mモノ・・・・3m・・・5m・・・
LANケーブルの数を数えた。
大丈夫だな、
次の作業には問題ない。十分に足りる。
カバンを持って、ドアを閉めた。
兄貴のAMG。
買った理由はいくつもあるけれど、
ひとつには、
このスタイルがあった。カッコだよな。
ワゴン形式だった。
メルセデスには、・・・・いや、BMWにもだけど、
「ステーションワゴン」
そういうスタイルが確立されている。
ヨーロッパでは、
バカンスで、
長期休暇の習慣がある。
そんなときに、
家族で、車で旅をする。
その時、
家族、荷物が充分に積めるスタイルとして確立されている。
この形式、
日本車だと、
どこか、
「バン」・・・・・商用車ってカッコになってしまう。
それが、
ヨーロッパ車だと、
見事な、
お洒落な車に出来上がる。
このAMG。
「お洒落で荷物が積める車」ってのが良かったんだった。
花子のAMGは・・・
小型のスポーツカー。
ハッチバックってスタイルだった。
これだと、ボクが必要とするほどの荷物は積めない・・・・少なくとも「脚立」は入らないよな・笑。
花子のAMGだと、
本当に、
休日のドライブ仕様になってしまい、
仕事用、
平日用には、もう一台の車が必要になってしまう。
・・・・・さすがに、そんな、生活の余裕はない・・・
そんなことも、
花子の話を辞退した理由ではあった・・・・・情けないことだけどな・・・・
・・・・これは・・・
本当に、
自分が情けないと思った。
カバンを持って歩き出す。
黒のチノパンに、
MA1のコピージャンパー。
・・・・さすがに、
AMGを作業服で乗る勇気はなかった。
なんだか、
車に申し訳ない気もするしな。
最小限の「カッコつけ」で、
スーツとはいかないけれど、
それなりの服装には心がけた。
・・・・・最初・・・・
ベンツで、
ましてや、AMGで、客先に乗り付けるのはどうなんだろうって思った。
大企業や、
あるいは、「建築家」みたいな肩書の人間ならともかく、
単なる、
「出入りの業者」でしかないボクが、
果たして、
AMGで、客先に乗りつけて大丈夫だろうか・・・・「爆音」も響くしさ・笑。
・・・・心配はしたんだ。
しかし、
まぁ、
杞憂だった。
まぁ、
考えてみれば、
今のボクは、
「固定客」
そう呼ばれる客先しかまわっていない・・・・・それで、生活ができるんだから、・・・まぁ、言ってみれば大したもんだとも言える。
・・・いや、「チョービンボー」なんだけどさ・笑。
・・・・もっとも・・・・
もう、
遮二無二働くって気・・・・意欲を失ってしまっているわけだけどな・・・
いずれにしろ、
全ての顧客が、
昨日今日・・・・2年、3年って付き合いの会社じゃない。
みんな、
15年、20年ってな付き合いの客先ばかりだ。
・・・・そして、
もう、
ボクも「ガキンチョ」でもない。
もう、
世間では、
充分に「大人」だ。
そんなことから、
AMGに眉をひそめられたりはしなかった。
・・・・いや・・・
むしろ・・・
ボクの顧客は、
「偏っている」
もっと言えば、
「信さん」
兄貴のことを知っている顧客が多い。
・・・・・ってことは、
ボクが、
兄貴からAMGを譲り受けたことも知っている人が多いわけで、
乗りつけて行けば、
「おおーーーー、これかぁーーーーノブさんから貰ったってベンツはーーーー」
ってな話になり、
絶好の、
営業会話の「ツカミ」になった・笑。
・・・・・さらに言えば、
兄貴は、
「業界の雄」だ。・・・・・少なくとも、この「県」・・・「市」・・・・地元レベルでは、知らない人間がいないという実力者だった。
その兄貴から、
「ベンツを貰った男」
そんな、
妙な箔が付いていた。
なんだか、
「後光」が差すような感じになっていた。
それで、
ありがたいことに、
今まで以上に、
仕事が上手く回るようになったんだった・笑。
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