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なにゆえ女装?十二単でフルムーン
第19話 薄汚い小僧なの? ちゃんと話せない颯太に苛立つ天慶さま。
しおりを挟む19
傷ついた体と心をひきづって、月天宮に帰ってきた颯太に天慶さまは開口一番。
「こんな遅くまで・・・。そんな傷だらけになって、なにをやってたんだ。」
傷だらけで今にも泣きそうな情けない顔をして、オレの知らないところで・・・
一体なにが!
感情がこみあげて爆発寸前の天慶さま。
「オレは・・・オレは、薄汚い小僧なのっ?」
傷ついて帰ってきたオレに・・・。
天慶さまのばかっっ。
もうオレはっっ。
混乱して吐き出した言葉はさらに感情を刺激して。
「は?おまえ、なにをいってるんだ!」
「待って天慶ここはぼくに」
今にも手を出し兼ねない勢いの天慶さまから様子のおかしい颯太を庇って肩をだいて、湯殿に連れていく瑞潤。
「颯太くん大丈夫?」
「・・・。」
湯殿で体を洗って、女房さん達に手当てしてもらって、少しづつ落ち着いてきた颯太。
「誰にやられたのか・・・。ひどいですわっ。」
「お可哀想に・・・。すぐよくなりますからね。」
いつも優しい月天宮の人達。
この人達はいつでもオレを温かく受け入れてくれる。
月天宮は優しいから・・・。
忘れかけていたコンプレックスをまた、まざまざと思い返させる毒長の仕打ちは・・・。
「颯太くん?」
「瑞潤さん、オレ・・・オレは・・・。」
瑞潤さんは何も言わず優しく抱きしめてくれて。
「瑞潤さん、オレは薄汚い小僧じゃないっ。
オレは杏酒を盗んでなんかないのにっっ」
しばらく瑞潤さんに甘えて・・・瑞潤さんの胸で思い切り泣いた。
やっぱりオレが気になってそんなやりとりを天慶さまはみていらっしゃったようだ。
天慶さま
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