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DIY、流れて交わる
アリバイ作り その07
しおりを挟むN4
今回もまた、一度待ち合わせをしてから目的地へ行くシステムだ。
ただ、初回をもう一度再現するのはなんだか嫌だという相互の理解のうえ、一区画上の場所での待ち合わせとなった。
「──お、お待たせしました!」
「いえ、大丈夫ですよ。私もちょうど、今着たところですので」
「そ、そんな風には思えないんですけど……えっと、どうしたんですか、その支度は?」
「妻と子供たちを迎えてピクニックに来たときを想定して、いろいろと試そうとしていたところなんだよ。だからこうして、魔道具を並べ始めたところで──君が来たのさ」
少年とも少女とも思える、中性的な容姿と服装をしたその子は──人造人間である。
製作者から女の子だと聞けなければ、どちらか分からないままだったかもしれないな。
俺がその情報を知る前に知れたことは──彼女が『錬金王』であることだった。
「ユリル、最近の調子はどうかな?」
「あっ、はい。最近は師匠様が居なくともエリクサーが作れるようになりましたよ。オリジナルレシピも、随時作成中です」
「それはそれは……! これは私も、うかうかしてられませんね。実は、いくつか試作してみたいレシピを見つけておりまして……そちらの工房で試したいと思っていたのです」
「そうなんですか? ああ、それで今回はこちらに来たかったのですね……あれ? それならどうして、師匠様が作った転移陣をお使いにならなかったのですか?」
先代『錬金王』である彼女の師匠が用意してくれた転送陣を使えば、目的地である工房まではすぐだ。
しかし、今回はアリバイ作りもあるのでそういうわけにもいかない。
「深い事情がございまして……久しぶりに、ユリルさんともこういった情報交換の機会が欲しかったのです」
「たしかに……いつもは師匠様が、『生者』さんから情報を聞きだしてばっかりですもんね。せっかくですし、何か錬金術に関する話以外でもしませんか?」
「それは構わないのですが……あまり、話せるようなことはないんですよね」
「どんなことでも構いませんよ。師匠様もよく言っています、アイデアは日常の中から生まれるモノだって」
その通りである。
リンゴから重力云々を閃く者や、楽をしたいと自動で信号を返す機械を発明する者……天才とは一つのきっかけで凡人の何十歩も先へ進める存在だ。
だが凡人もまた、時間と知識を重ねることでくらい付くことができる。
彼らが一のことで百を理解できるなら、百でも千でもさまざまなモノから知識を得れば天才に匹敵するアイデアを生みだせるのだ。
──まあ、それをさらに追い越していくのが天才という奴らなんだけど。
「はい、まったくそうだと思います。以前持ち込んだブーストドラッグも、そうした発想の一つでしたので」
「えっ、そうだったんですか?」
なんてささいな会話をしながら、俺たちは工房を目指す。
……多少遠回りをしても構わないだろう、きっと心は広いのだから。
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