虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

文字の大きさ
155 / 3,179
DIY、穴に潜る

西の草原

しおりを挟む


「……あっ、結局穴が開いた理由が分かってないじゃん」

 このことに気づいたのは、一度ログアウトしてからのことである。
 とっくの昔に休みも終わっているので、普通に出社してきた。

 残業もなく定時で帰宅し、再ログインしているのが現状である。

「『SEBAS』、何か理由分かったか?」

《……いくつか仮説がございますが、確証が持てませんので》

「そっか、ならまた今度で」

『SEBAS』ですら、解明を終わられないないような難問……俺には解けないな。
 ちなみに俺の回答は──冥界に封印されたナニカが原因なのでは、と思っているぞ。

 困ったら悪に責任を押し付ける……今までの人類は、こうして自分たちの正義を正当化していたからな。

「でも、それなら何をしようか……」

 また冥界に行くには早いし、かと言って街に行っても納品はまだだし。
 再び攻略を進めるのも良さそうだが……まだ巨大な怪鳥が、俺を捜索していると困るからなー。

「……そうだ、散歩しよう」

  ◆   □   ◆   □   ◆

 W1

 別に、東側にだけこだわる必要など無かったのだ。
 方位は東以外にも存在するし、決して行ってはいけない禁忌の地というわけでもない。

 E1と似た草原を歩きながら、俺は空を仰ぎ見る。
 ……巨大な鳥なんて、いないよな。
 実は太陽が二つあって、片方が怪鳥でしたなんてオチは要らないんだ。

「ふぅ、たぶん大丈夫だろう。それに、今なら結界で安心は確保されている。……さすがに『超越者』が相手だと心配だが、普通の魔物ぐらいならどうってこともないか」

 空を仰ぐ=調子にのった餌だと思われているのか、近くで俺を観察していた魔物がいっせいに俺へ突撃してくる。

 現れたのは──ゼラチンスライム、ドリルラビット、グループドッグ。
 どの魔物もE1に現れる魔物の上位種であり、このエリアで現れる普通の魔物だ。

「今のプレイヤーは余裕で倒せるらしいんだよなー。どれだけ強くなってるんだか」


 そもそも、俺は冒険できるようになったのがだいぶ後なんだよな。
 プレイヤーたちは俺が星を整えたり、神様の試練をこなしている間も、俺が想像もできない激しい冒険を行っていた。

 イベントでレベリングでもしたのか、今でも新しい場所が解放されているらしい。
 ……ショウたちの場合、クエストに絡まれることが多かったらしいからな。
 他の場所に行く余裕が無かったのだろう。

 一般プレイヤーが全方位の第2エリアを突破し、とっくにその先である3や4で冒険をしているそうだ。

 ──俺も、正当な方法・・・・・で進んでみたいな。

「……ハァ、そろそろ行かないとな。今回はこれを使うか」

 絶縁結界を起動すると、そこへかなり弱めの電圧を浴びせていく。
 魔物はそれによって感電死……じゃなくて感電し、気絶していった。

「正当な方法……少なくとも、魔法でも無いのに電気を使って倒すのは違う気がするんだよなー」

しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

ある、義妹にすべてを奪われて魔獣の生贄になった令嬢のその後

オレンジ方解石
ファンタジー
 異母妹セリアに虐げられた挙げ句、婚約者のルイ王太子まで奪われて世を儚み、魔獣の生贄となったはずの侯爵令嬢レナエル。  ある夜、王宮にレナエルと魔獣が現れて…………。  

ずっとヤモリだと思ってた俺の相棒は実は最強の竜らしい

空色蜻蛉
ファンタジー
選ばれし竜の痣(竜紋)を持つ竜騎士が国の威信を掛けて戦う世界。 孤児の少年アサヒは、同じ孤児の仲間を集めて窃盗を繰り返して貧しい生活をしていた。 竜騎士なんて貧民の自分には関係の無いことだと思っていたアサヒに、ある日、転機が訪れる。 火傷の跡だと思っていたものが竜紋で、壁に住んでたヤモリが俺の竜? いやいや、ないでしょ……。 【お知らせ】2018/2/27 完結しました。 ◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。

側妃ですか!? ありがとうございます!!

Ryo-k
ファンタジー
『側妃制度』 それは陛下のためにある制度では決してなかった。 ではだれのためにあるのか…… 「――ありがとうございます!!」

婚約破棄が聞こえません

あんど もあ
ファンタジー
私は、真実の愛に目覚めた王子に王立学園の卒業パーティーで婚約破棄を宣言されたらしいです。 私には聞こえないのですが。 王子が目の前にいる? どこに? どうやら私には王子が見えなくなったみたいです。 ※「承石灰」は架空の物質です。実在の消石灰は目に入ると危険ですのでマネしないでね!

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

転生幼女の攻略法〜最強チートの異世界日記〜

みおな
ファンタジー
 私の名前は、瀬尾あかり。 37歳、日本人。性別、女。職業は一般事務員。容姿は10人並み。趣味は、物語を書くこと。  そう!私は、今流行りのラノベをスマホで書くことを趣味にしている、ごくごく普通のOLである。  今日も、いつも通りに仕事を終え、いつも通りに帰りにスーパーで惣菜を買って、いつも通りに1人で食事をする予定だった。  それなのに、どうして私は道路に倒れているんだろう?後ろからぶつかってきた男に刺されたと気付いたのは、もう意識がなくなる寸前だった。  そして、目覚めた時ー

いい子ちゃんなんて嫌いだわ

F.conoe
ファンタジー
異世界召喚され、聖女として厚遇されたが 聖女じゃなかったと手のひら返しをされた。 おまけだと思われていたあの子が聖女だという。いい子で優しい聖女さま。 どうしてあなたは、もっと早く名乗らなかったの。 それが優しさだと思ったの?

処理中です...