虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

文字の大きさ
2,904 / 3,140
DIY、未知を既知とする

錬金チャレンジ その12

しおりを挟む


 冒険世界 生産ギルド ギルド長室

 タクマに宣伝を任せた。
 どうやら俺たちだけでなく、休人たちの中にも人造人間を別のアプローチで生み出そうとしている連中が居たらしい。

 だが、彼らは肉体を生み出すことはできても、魂までは用意できなかった。
 俺たちも擬似魂なのは変わらないが……視点の違い、なんだろうな。

「──と、いうわけで新『超越者:錬金王』様のデビュー作がこちらです」

「…………なんで、今?」

「あはは……」

「わざとだよね!? もう広まってて、強引に止めたら休人たちが暴動を起こしかねないこのタイミングでわざと来たよね!?」

 そうしてタクマにも見せた完成版人造人間錬成陣を、生産ギルド長の下へ持ち込んだ。
 ただし、あれから数日が経過して宣伝がかなり広まった後で。

 彼(?)には生産を中止させる権限があるので、このタイミングが最適なんだとか。
 他ならぬ『超越者』様の権威を借りても、少しばかし難しいデリケートなモノなのだ。

「ああもう……! ちゃんと相談されたら、きちんと聞いてあげたのに!」

「聞いたうえで、少々の制限が掛かると思いまし…………いえ、何でもありません」

「そこまであからさまに言っておいて、はぐらかされても……ハァ。まあそれでも、最悪じゃないだけマシだよ」

 最悪、つまりいっさいの連絡をせず勝手にばら撒くという状況。
 生産ギルドに受け入れてもらえなかった休人の中には、これをする者も多いんだとか。

 まあそういうヤツはだいたい違法販売して捕縛されるし、回収された後廃棄されるのが定番だ…………もちろん、取れるだけ情報を搾り取ってからな(犯罪者相手なら合法)。

「それで、何をすればいいのかな?」

「もちろん、窓口を。レシピの方はご用意してありますので、それを量産していただければ充分です」

「充分って……簡単に言うけど、『錬金王』様レベルじゃないと作れない錬成陣なんて、さすがにギルド職員でも無理だよ?」

「今回のは特別、誰でも量産できるよう手を入れておりますので──こちらがレシピとなります、お納めください」

 文句をぶつぶつと言っていたギルド長も、錬成陣の作り方を見れば目の色を変える。
 それは職人としての好奇心、そして──為政者としての恐怖が見え隠れしたもの。

「これは……間違いなくとんでもないね」

「錬成陣の方に、禁則事項も組み込んだ代物です。彼らが暴走し、暴動を起こすといった事態にはならないでしょう」

「それ以外にも問題はある……あるけど、今はそれを考えている暇は無いか。見た限り、錬成陣自体は簡単だね。問題は、それを実行するための素材の方。それなら……うん、いちおう問題無いんだね」

「販売に制限を設け、量産までは持たせてください。ついでに、契約書の方も」

「……本気だね。うん、でもそれぐらいしないとダメか」

 ある程度は契約書も含め、『錬金王』たちと用意してある。
 欲しかったのは許可、それも今貰ったわけだし──本格始動といきますか。

しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

神殴り代行 異世界放浪記 〜俺の拳は神をも砕く〜

ファンタジー
「フォース」——それは、あらゆる生命の魂に宿るエネルギー。 23世紀、日本は新たなエネルギー「フォース」を発見した。 石油の枯渇による世界戦争の中、日本が生み出したこの力は、やがて世界を変革する。 フォースの研究は、「能力開発」へと発展し、人々は意志と感情によって能力を発現するようになった。 主人公・神谷錬(かみやれん)。 東京で働く25歳のサラリーマンであり、趣味は走ることと美味いものを食べること。 幼少期からフォースに興味を持ち、独学で研究を重ねた結果、**「空間干渉」**という独自の能力を会得する。 空間干渉——それは、フォースの膨大なエネルギーを利用し、空間を操る力。 レンは、自在に空間を歪め、破壊することすら可能となった。 しかし、ある事件をきっかけに、世界の壁の向こう側へと放り出される。 彼が目を覚ましたのは、何もない**「虚無空間」**——そこから、レンの果てしない旅が始まる。 辿り着いた異世界には、神々すら支配する強大な力が渦巻いていた。 しかし、レンの拳は、世界の理すら破壊する力を持っていた——。 世界の壁の向こうにあるのは、希望か?それとも絶望か? 異世界を旅する放浪者が、神々と拳を交える物語が、今始まる——。

なんか修羅場が始まってるんだけどwww

一樹
ファンタジー
とある学校の卒業パーティでの1幕。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

合成師

盾乃あに
ファンタジー
里見瑠夏32歳は仕事をクビになって、やけ酒を飲んでいた。ビールが切れるとコンビニに買いに行く、帰り道でゴブリンを倒して覚醒に気付くとギルドで登録し、夢の探索者になる。自分の合成師というレアジョブは生産職だろうと初心者ダンジョンに向かう。 そのうち合成師の本領発揮し、うまいこと立ち回ったり、パーティーメンバーなどとともに成長していく物語だ。

死に戻ったので憎い奴らを食べちゃいます

重田いの
ファンタジー
ジュルメーヌ・アシュクロフトは死に戻った。 目の前には、憎い父親。その愛人と異母妹。 『前』のジュルメーヌを火刑に追い込んだ奴らだ。 食べちゃいまーす。 という話。 食人描写があるので気をつけてください。

処理中です...