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大きな戦いに挑もう
すぐ報告しよう
しおりを挟むこのまま魔王領で延々とグータライフを続けていたかったが……残念なことに、お国から招集が掛かってしまった。
いや、正確には予めそういったお知らせを受けていたが……今日届いたのは、これ以上いるとヤツを向かわせるという書状だ。
「……仕方がない、帰るか」
『え゛っ!? ご、ご主人様がお一人で起きていらっしゃる!?』
「あー、えっと……フェールね。残念なことに、このままだとここに俺の上司みたいな人が来るんだ。だから、そうなる前に急いで帰ることにした」
『ご、ご主人様の……きっと、苦労なさっているのでしょうね』
どうしてそういう発言をしたのかは不明だが、苦労を掛けているのは俺ではなくその上司の上司なので俺は悪くない。
ついでに解雇状をその二段階上の上司が出してくれれば、俺は解放されるんだよな。
「面倒だから転移陣で帰る。フェールは……とりあえず、朝飯の準備をしてくれ」
『は、はい! 畏まりました!』
「あいあい、畏まらなくていいからどんどんレッツゴー」
屋敷内転移によって、すぐさま食堂か厨房へ向かう幽霊メイド。
その間に瞬間装着スキルで服を着替え、知食堂へ……向かう前へとある部屋へ入った。
「魔力を先に注いでおかないと起動しないのは、少し不便だが……まあ、あとで消費しなくていい先払いだし、楽でいいか」
そこにはいくつもの魔法陣が設置されており、予め魔力を消費することでその効果を必要な時に一度だけ発揮させることができる。
俺が今回魔力を注ぎ込むのは、王様たちが待つ…………あの国行きの魔法陣だ。
「よし、これでいいか。飯を食っている間に回復するよな」
さまざまなヤツからスキルをコピーしたので、魔力を増強するスキルも回復するスキルも異なる名称でたくさん持っている。
まあ、一番いいのはやっぱり寝る関係の回復スキルだ……やりたいことをリンクしているからな。
◆ □ ◆ □ ◆
幽霊たちに見送られ、魔法陣を使って目的地へ転移する。
視界が切り替わるとそこには、一人のメイドが待っていた。
ここは俺の屋敷であり、待っているのは奴隷兼メイドの誰か……だと良かったのだが、現実はそうではない。
俺の知る中で魔王と同じくらい厄介だと思う、この国の最強が待ち受けていた。
「──お待ちしておりました。おそらくこの時間帯に来るであろうと思い、こちらでお迎えに上がらせいただきました」
「……あっ、はい」
「国王様がお待ちです。では、さっそく向かいましょう」
「……あっ、はい」
抗うことはできない。
あちらで鍛えた思考スキルを巡らせて策を練ろうとするのだが、結果は同じ──すべてが諦めろと告げている。
魔王同様、完全な隠蔽が行われているためいっさい解析も進んでいないのが現状だ。
どちらもなのだが、全力全開の限界突破付きでも無効化されるので、それこそ才能があるヤツが極地までいかない無理なんだろう。
「──お待ちいただけないでしょうか」
「……何か?」
そんなとき、蒼色の狼耳を生やしたメイドがここへやってきた。
その手には数枚の紙が……ああ、そういうことなのね。
「ご主人様に、お見せしたいものがありまして……そして、バスキ国の上層部にも」
「見てやってくれませんかね、それ?」
「……よろしいのでしょうか?」
「構わないので、どうぞ」
隠すような内容だったなら、わざわざこのタイミングで出すこともないだろう。
なので最強メイドことリディアにそれを渡して、情報を提供する。
「これは……」
「情報の精査も必要でしょう。なので、しばらくここで──」
「すぐに国王様の下へ向かいましょう。そこの魔法陣、お借りしますね」
「えっ、ちょっ……待っ──」
この部屋は先ほどの魔王領の屋敷と同じ、魔法陣を設置してある場所だ。
なので、同じく緊急用にと準備しておいた魔法陣を──隠していたのに──見抜かれて起動されてしまった。
……そして、バレたのにそれもしょうがないかと納得してしまっている自分がいる。
◆ □ ◆ □ ◆
再び移動した場所は城の中。
謁見の間で待ち受けていたのは、ここの主である王様と──
「お久しぶりですね、皆さん」
『…………』
三者三様、異なる思いをぶつけてくる。
だがそれに応えると面倒事になりそうなので、今回はスルーして王と対話することに。
「それで、今回呼び出した理由は? せっかくの休暇を邪魔しやがって……なんて、思っていないからどんどん言ってくれ」
「……いろいろと言いたいことはあるが、まずは感謝する。お陰でヴァープル……お前を召喚した国が力を付けることを防げた」
「ああ、ヴァープルって言うんだっけ? まあ、忘れそうだからいいけど。まさか、今回も異世界人が何かやったのか?」
「いや、そうではない。ヴァープルも先の件で、自重を学んだのかもしれないな」
商人として暗躍したアキラが、ヴァープルに開発していたレポートはすでに纏めてこの国にプレゼントしてあった。
まあ、呼び出されたのはその解析が終わったからだろう。
「お前たちの世界の技術のうち、魔法で再現できる技術はすでに実用化へ向かっているようだ。銃も刀も、かつての異世界人がある程度技術を確立させているからな」
「そりゃあそうか」
「……なぜかこの代の異世界人は、細かな情報を知っている。それはなぜなんだ?」
ああ、うん……ブームのせいだな。
現実逃避をする俺たちがそれを流行らせた結果、さまざまな技術を見る者にこれまでよりも詳細に伝えてしまった。
俺もあやかっているし、それが一概に悪いとも言えないんだけどさ。
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