TSしたダンジョン配信者は無自覚で無双する〜かわいい見た目と超絶スキルで美少女をイレギュラーから救いバズりの嵐を生む〜

マグローK

文字の大きさ
56 / 60

第56話 ボステイム!

しおりを挟む
「うおおおおお! もちろん! よろしく! やったやった!」

 当然、堕天使だった女の子が、俺を主人として認めるという言葉を、受け入れない理由はない。

「本当デスか?」

「本当だよ! これからよろしく」

「ありがとデス! ご主人!」

 堕天使だった女の子は、満面の笑みを浮かべると、羽を広げて飛び上がった。俺に向けて飛んできた。

 腕を広げたままの姿勢だった俺の胸に飛び込むように、ふわりと飛んで抱きついてきた。

「えへへぇ。ごしゅじーん!」

 女の子は、なんだかやたら満足そうに、俺のことを抱きしめてくる。

 勢いでOKを出してしまったものの、これはアリだ! 大アリだ!

 まだ、攻撃してくる可能性を警戒していたさっきまでとは違い、テイムした今は、完全に俺もリラックスしてしまっている。

 見た目通りのかわいらしい反応を見ていたら、警戒する気が失せてしまった。

 元は石膏像みたいな、磨き上げられた肉体だったから、ちょっと違和感はあるけど……。

「しょうちゃーん!」

「ぐへぇ」

 後ろからも勢いよく抱きつかれ、サンドイッチされる形で息が苦しい。

「いつまで経っても戻ってこないから、わたしの方からきちゃったよ。どうしたの? ねぇ、大丈夫?」

 俺の後頭部に頭を擦り付けながら、やたらめったら吸ってくるのは、美少女としてあるまじき行為だろう。

 というか、えりちゃんは、首に抱きついてきてるから、息が……。

「えりちゃ、息が……」

「あ、ごめん」

 腕をぽんぽんと叩いていると、ようやくえりちゃんは拘束を解いてくれた。

 死ぬかと思った。

 ボスをなんとかしたのに、仲間に殺されるとか笑えないよ……。

「あれ?」

「ご主人に何するデスか!」

「え、なにこの子……?」

「あ……」

 そうだよ。えりちゃんに殺されそうになってる場合じゃなかった。

 いや、先に説明するべきだったのに、えりちゃんが抱きついてきたりするから……。

 まあいいか。

 しかし、気を取り直して堕天使について説明しようとすると、えりちゃんは神妙な顔をしていた。説明が遅れたからか、それとも、俺に抱きついたまま、頬を膨らませている女の子が気に入らなかったのか、えりちゃんは元堕天使をじっと見ていた。

「えりちゃん、この子は」

「きゃわわわわわ!」

 えりちゃんは、俺の体から女の子を引き剥がすと、抱き上げ、頬擦りをしはじめた。

「きゃわ! かわいい! なにこの子! どこにいたの?」

「やめっ。離してください。離して……。助けてご主人!」

 えりちゃんに頬擦りされまくり、抵抗するように女の子は暴れ出した。

 俺も慌ててえりちゃんに駆け寄る。

「えりちゃん。その子はさっきの堕天使だから。あんまり刺激しない方がいいと思うよ」

「堕天使?」

「あ、俺がそんな風に思ってただけだけど。さっきの深層のボス」

「深層の、ボス……」

 そうして、えりちゃんは、俺の言葉を咀嚼するようにしながら、まっすぐ腕を伸ばして女の子を見た。

 体をよじって脱出しようとしているが、今の女の子の力では、えりちゃんに敵わないのか、元堕天使は、そのままの姿勢でえりちゃんに観察されている。

「助けてください! ご主人!」

「もうちょっと待って! えりちゃん、ほら、この羽。ね、天使っぽいでしょ? だからさ、ね?」

「しょうちゃんがテイムしたってこと?」

「そうみたい。よくわかったね」

「しょうちゃんのことだもん」

 何故かニコッと笑うと、そこでえりちゃんは、すんなりと女の子を離してくれた。

 すぐに女の子は俺の影に隠れて、警戒するようにえりちゃんを見出した。

 えりちゃんもまた、顔だけ出した女の子を見ている。

「すごいじゃん、しょうちゃん! やっぱりわたしが見込んだだけはあるよ!」

「そう、かな?」

「騙されちゃダメデス、ご主人。あれはきっと、ご主人を利用しようとしているのデス」

 女の子は俺に忠告してくる。

 えりちゃんはすっかり警戒されてしまったらしい。

「でも、女の子を裸で放置ってのは、いくら元ボスとは言え、あんまりよくないんじゃない? 多分、ゆいちゃんとか千島さんが来たら、ドローンも追いついてくるだろうし」

「うわあああああ!」

 そうだ。元々堕天使が服を着ていなかったから気にしてなかった。それに、なんか光に包まれてたから、よく見てなかったところもある。

 この子。モンスターの姿の時、服着てなかったから、もちろん服なんて着ていない!

 えりちゃんが言うように、まだ映ってなかったからよかったものの、今はそうも言っていられない。

 俺は慌てて、収納スキルから綺麗な真っ白のワンピースを取り出した。

「はい」

「なぜデス? 何も着ないのが美の頂点デス」

 くそう。謎の価値観で着ようとしない……。

 もうどうにでもなれ!

「これを着てる方がもっと美しいと思うから。お願い!」

「美しい……! わかったデス!」

 なんだか目を輝かせながら着てくれた。

 生態はよくわからないが、美しさが重要な指標らしい。

 ワンピースを被り、ひらひらさせて感動しているように見える。

「まったく、すごいな君たちは?……ん?」

「何この距離。ひとっとびするような距離じゃないでしょ。あれ?」

 なんとかセーフ!

 関先輩と千島さんが来る前に間に合ってよかった。

:倒したああああ!
:何が起きてるん?
:よく見えなかったんだけど

 どうやら、見ている人たちも正気を取り戻せたらしい。よかった。

「あ、えっと。ボスをテイムしました」

 補足しようと俺が正直に白状すると、一瞬だけ、コメントが完全にストップした。

 また何かあったかと画面を見ていると、今度は、ドバッと、滝のようにコメントが流れていく。

:ボスをテイム?
:今から行く!
:バカ死ぬぞ
:止めても無駄ダァ!

「帰るので来なくて大丈夫ですよ?」

「この子の見た目だもん、仕方ないよ」

 どうやらえりちゃんとしては納得の理由らしい。

 深層のボスを攻略したどうこうよりも、ボスだった女の子の方を見たいってわけね……。

「よしよーし」

「撫でないでください! 頭を撫でていいのは、ご主人だけです。ご主人、撫でてください!」

 そう言いながら、話題の女の子は、えりちゃんの手を逃れて俺の前まで回ってきた。

「え、撫でるの?」

「ハイ!」

「ええっと。こんな感じ?」

「はいぃ」

 よくわからないながら、頭に手を乗せてあげると、なんだか気持ちよさそうにし出した。

 いや、これは、撫でてると言うより、手に対して頭をこすりつけてきているような感じだ。ま、いいか。本人がそうしたいなら。

「って、そうじゃない。帰るんだよ。帰るためにここまできたんだから」

「そうだったね。でも、どうしようか」

「あそこにあるのは階段じゃないかい?」

「透明な階段で、あの高さ登るの?」

 関先輩の指さす先には、確かに、大きなドミノのような透明な板が、螺旋状に上まで続いていた。

 おそらく、上の層まで続いているのだろう。

 だが、落ちてきた高さをを考えると途方もない。天井が見えないほど高い。

 そもそも、透明な足場を登るのは、千島さんじゃないが怖い。それに、正直めんどい。

 そんな俺の気持ちを察してか、堕天使だった女の子は、一人、前に出て、真剣な顔で俺たちの方を振り向いた。

「ご主人、名前を下さい」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。 異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。 せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。 そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。 これは天啓か。 俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

【完結】元ゼネコンなおっさん大賢者の、スローなもふもふ秘密基地ライフ(神獣付き)~異世界の大賢者になったのになぜか土方ばかりしてるんだがぁ?

嘉神かろ
ファンタジー
【Hotランキング3位】  ゼネコンで働くアラフォーのおっさん、多田野雄三は、ある日気がつくと、異世界にいた。  見覚えのあるその世界は、雄三が大学時代にやり込んだVR型MMOアクションRPGの世界で、当時のキャラの能力をそのまま使えるらしい。  大賢者という最高位職にある彼のやりたいことは、ただ一つ。スローライフ!  神獣たちや気がついたらできていた弟子たちと共に、おっさんは異世界で好き勝手に暮らす。 「なんだか妙に忙しい気もするねぇ。まあ、楽しいからいいんだけど」

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について

沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。 かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。 しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。 現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。 その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。 「今日から私、あなたのメイドになります!」 なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!? 謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける! カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!

処理中です...