TSしたダンジョン配信者は無自覚で無双する〜かわいい見た目と超絶スキルで美少女をイレギュラーから救いバズりの嵐を生む〜

マグローK

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第60話 帰宅

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「ご主人のお家デス! 大きいデス!」

「これ全部じゃないよ」

「そうなんデス?」

 ルージュの世話をするため、そして、探索も終わったため、俺たちは自らの根城へと帰ってきた。

 しかし、アパートというものを知らないらしいルージュは、一室でなく、全部屋俺のものと勘違いしたらしい。

 いやまぁ、見ようによっては一軒に見えなくもないからね。

「じゃあ、どこまでがご主人のお家デス?」

「この中の一部屋が俺の家」

「やっぱり、ご主人のお家デス!」

「まあ、そういう意味じゃ、間違いじゃないけど」

 これ以上は訂正しても仕方ないだろう。

 なんだか無邪気で楽しそうにしているのだ。わざわざ気分が下がるようなことを言い続けてはかわいそうだ。

 それにしても、今日は家に帰ってくるまでがものすごく長かった気がする。

 だが、ここはもう家だ。そして、ルージュと一緒となると、二人で一部屋ということになる。

 なんの気もなく普通に階段を上り、二階にある俺の部屋へ入る。

「ただいまー」

「あ……」

 俺はそそくさと中に入ったが、ずっと隣にいたルージュはすぐに入ってこない。

 どういうわけか、困ったようにしながら、玄関で固まってしまった。

「どうかした?」

 一部屋だけでがっかりしたかな? それとも、えりちゃんに片付けてもらってから、また部屋が汚くなったとかか?

 少し不安になっていると、ルージュは俺の顔をまっすぐ見て、言った。

「た、ただいまデス!」

 俺もできる限り優しい笑顔を作って言う。

「うん。お帰り」

「ハイ!」

 自分の家という認識でいいのか、ちょっと迷っていただけか。

 もう、決まってしまったのだ。俺も、ここまでの道のりで覚悟を決めた。

 ルージュはうちの子だ。

 こうなった以上、不便な生活をさせるつもりはない。

「さて、ご主人は疲れているはずデス。ルージュが寝かしつけてあげマス」

 突然、えっへんといった感じで胸を張りながら、ルージュはそんなことを言い出した。

「眠たそうにしてたのはルージュでしょ。俺は大丈夫だよ」

「遠慮しないでくだサイ」

「いや、遠慮ってわけじゃないけど」

 確かに疲れてはいるが、すぐに眠るような気分じゃない。

 しかし、ルージュは止まらなかった。

 俺の言葉など気にした様子もなく、ラララーと、子守唄のようものを歌い出した。

 堕天使だった時の頃とは違う、謎の振動ではなく、見た目通りでかわいらしい、天使のような歌声だった。

 ヤバイ。

 何がヤバいって、一瞬で力が抜けた。

 まだ、戦闘後の興奮が残っていたのが、嘘のように消えてしまった。

 疲れていたものの眠れそうにもなかった体から、すっかり力が抜けてしまい、めちゃくちゃリラックスしているのがわかる。

 ヤバい、不覚にも、眠……。

 …………。

 あれ、急に静かになった。

「……」

 と思っていたら、子守唄を歌っていたはずのルージュが、先に寝てしまったようだ。

 いつの間にかソファに横になり、寝息を立てて眠っている。

「まったく……」

 とりあえず起こさないように、ブランケットをかけてやる。

 ルージュはむにゃむにゃ寝言を言いながら、それでも気持ちよさそうに眠っている。

 人型のモンスターを家に連れ込むことに決まり、初めはどうしようと思ったが、あまり、気にしても仕方なさそうだ。

 もし仮に周りに知れても、姉妹でもできたとごまかすことにしようか。

 他人の世話なんて、当然したことはない。不安ももちろんあるが、これは俺の問題だ。

 何を食べられるのか確認していないが、お金の方は問題ない。

 深層攻略の報酬がこれから入ってくるわけだし、やはり、不便はさせない。

「押し付けてきた三人からも、借りれる力はとことん借りよう」

 一緒に暮らすことはしなくても、それくらいは、探索者として協力してくれるだろう。

 深層攻略の一時的なパーティは解散したが、関係はこれで終わりではないのだから。

「そういや、俺は別にソファでもいいけど、ルージュをソファで寝かすのはかわいそうか」

 羽がある種族がどうやって寝るとか知らないけど、なんとなく体を痛めそうだ。

 怪我とかさせたら大変だ。

 今度は、そっと起こさないように抱き上げて、俺のベッドまで運ぶ。

「んぅ。ご主人……」

 下ろしたところで、まるで俺が離れるのがさみしそうな顔でルージュは言う。

 そして、俺を探すような形で手を伸ばしてきた。

「……」

 どうするべきかわからず、俺はその手を掴んであげた。

「ふふっ」

 っと、ルージュは少し安心したような顔に変わると、また、リラックスしたように寝息を立て始めた。

 やはり、少しは体の方に精神が引っ張られているらしい。

 こんな世話をしているのも、俺も肉体に精神が引っ張られているのかもしれない。

 いや、小さい子を放置するなんて、普通できない。それだけのことか。

 ルージュは一応モンスターとはいえ、今の見た目は幼い少女。

 今日くらいは一緒に居てやるか。
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