TS転生したら、カードゲーム系アニメのノリで美少女令嬢とダンジョン探索してた

マグローK

文字の大きさ
8 / 44

第7話 いざ開始! カンモンボス攻略戦!!

しおりを挟む
 門番トロールを突破した僕らは、カンモンボス戦へと移るためカンモンの中へと足を踏み入れた。

 中は、まるで城か教会のようになっていて、ステンドグラスであしらわれたような、幻想的な光が落ちる空間になっていた。
 広いダンジョンの中でも一際広いカンモンという空間の真ん中に、ポツンと一人の女の子のような姿がある。
 ぱっと見の年齢感は僕らとさほど変わらない。
 栗のモンブランみたいな髪色で外にはねたような変わった髪型をしている少女。
 どこか、お姫様のように高貴な雰囲気と、悪役のような艶っぽさを兼ね備えたモンスターは、イスの上で組んでいた足を解くと、おもむろに立ち上がった。

「あれはトロールウィッチ。このダンジョン、第一カンモンがボスの一体。頭脳明晰でトロールを従える存在だよ」

「ボス。これまでのモンスターと雰囲気が違うね」

 カンモンの外までは感じなかった、空気がピリピリとするような刺激が肌から伝わってくる。
 これが、ボス。これが魔法使い相手の戦闘。

 自然と手に汗を握っていて、指先が少し冷えるような感じもある。
 大丈夫だ。今の僕には仲間がいる。

「相手は一体。実力を見せてやれ。せんちょー」

「……!」

 これまで以上に素早くなったせんちょーは、勢いよく飛び出した。
 そして、ゆったりとした余裕を見せるウィッチの懐に飛び込むと体当たりで一気に後方へと弾き飛ばした。

 舐めてっかかっていたらしいウィッチは、驚いたように目を見開き、先ほど座っていたイスに激突すると、カンモン内に轟音を響かせながら、ゴロゴロと地面を転がった。
 魔法使い相手の物理攻撃。かなりのダメージが入ったらしく、すぐには立ち上がってこない。

「ナイスだ、せんちょー」

「……!!」

 こちらを向いて闘志を見せてくれるところを見ると、相手が強敵でも戦意を失っていないとわかる。

 ただ、それは向こうも同じらしい。ウィッチは衝撃で少しばかり傷つけられた衣装を見て、顔に怒りをにじませていた。

「警戒して。ウィッチは反撃が恐ろしいから」

「わかった。せんちょー、守備に集中!」

「……!」

 先ほど以上に空気の震えが増していた。

 おそらくウィッチが、魔力を集中させているのだろう。
 まるで渦を巻いているように、ほのかに輝く粒がウィッチの方へと流れていた。
 やがてそれは、紫とも黒ともつかない球形に圧縮されていく。

「……はぁ!」

 モンスターなりの詠唱の後、闇のような魔法はせんちょーめがけて放たれた。
 一目で強力な攻撃とわかる。
 体が引き寄せられるようなその魔法を前に、僕の体は走り出していた。

「危ない! せんちょー!」

「歴ちゃん!?」

 カンモン内にみふだちゃんの声が響く。

 気づくと僕は、せんちょーの前に立っていた。
 魔法が真正面から飛んでくる。

「……!」

「ぐああああ! ……あれ」

 直撃した魔法はクッションのような柔らかい衝突感の後、消えた。

「ふんっ! ふんっ! ふんっ!」

 連続で放たれた魔法を剣により迎撃。全ての球はあっさりと真っ二つに切り裂かれる。

 これならいける。せんちょーを傷つけずに戦える!

 僕が戦闘に加わると思っていなかったのか、ウィッチはあっけに取られたように、僕の事を見つめていた。
 今がチャンス。

 僕は、ウィッチめがけて走り出す。

 今なら倒せ、

「歴ちゃん! これを使って!」

「これは……ブランクカード!」

 みふだちゃんを見ると、親指を立ててウインクしてくれた。
 2枚目のブランクカード。ありがたく使わせてもらおう。

「……はああああ」

「てりゃあああああ!」

「……いやぁ!」

 僕の攻撃に気づいたらしいウィッチは、ボスらしいさすがの反応を見せてくれた。だが、それよりも僕の方が早かった。
 ウィッチはカードへと封印される。

「トロールウィッチ、ゲット!」

 カードを見ると、封印されたトロールウィッチが描かれている。

 ランクはD……。D? たっか!
 せんちょーでもFなんだが?

「やったね歴ちゃん。ボスまで封印しちゃうなんて、さすがすぎだよ」

「いや、トロールウィッチDランクだったんだけど、ここってそんななの?」

「ボスだからね」

「ボスだからか」

 そりゃ、周りよりランクも高いと。
 納得の理由だ。

「やっぱり元がいいんだよ。素質の塊ってところかな」

「さっきから褒めすぎだよ」

「そんな事ないよ。こういうのはしっかり伝えないとでしょ?」

 真面目な顔で言われてしまった。
 そんなこと言われたらドキッとしてしまう。
 僕は褒められ慣れていないのだ。

 ただ、今さら思った事だが、魔法を簡単に切り飛ばした以前から、ここに来るまで苦戦していない気がする。みふだちゃんの協力もあるが、なんというか、かわいいが正義とか、気分がスキルに影響するみたいな話が、僕にも適用されてるみたいで、少し悩む。

 精神まで女子になったつもりはないのに、僕はノリノリでドレスを着ていたのだろうか……。

 考えるのをやめるため、僕はしれっとウィッチを呼び出した。
 姿を現したウィッチは、何かを探すように周囲を見回した後、僕の姿を見つけるとコツコツと足音を鳴らしつつも、急ぎ足で僕の腕に腕を回してきた。
 謎の急接近だ。

「え、ちょっと、近い……」

「んーん」

 離れようとすると、ウィッチは嫌がるように力を込めてくる。

 さすがはモンスター。並の探索者である僕では簡単に振り解けない。
 顔がかわいいだけに、乱暴もできないし……。

「みふだちゃん。こういう時って……」

「ここのダンジョンはちょっと特殊なんだー。さ、先に行こー行こー」

「ちょっと待ってよ、みふだちゃん!

 一瞬むくれた顔が見えて気がした。が、ボス戦が終わったせいか、くるっと背を向けてみふだちゃんは第二区画を目指して歩き出してしまった。

 仕方なく、しばらく1人で格闘してみたが、どうやらウィッチに離れるつもりはないらしい。

「ねえ、離してくれないの?」

「ん」

 断固としてくっついてくるらしい。
 強者にかしずくみたいな習性があるのかもしれない。
 困った。

「なら、戻ってくれ」

「んーん!」

 カードを出すと、まるで中に入るのを嫌がるようにかわしたり、僕の手を掴んだりしてくる。
 それでも、僕から離れようとはしない。

 カードの中が快適じゃないとかか?

 ただ、そうは言っても、このままくっついていられたんじゃ探索に支障が出る。
 何より、みふだちゃんの態度が気になる。

 ここは秘策を使わせてもらおう。

「あっ!」

「ん?」

 よそ見をした隙をついて封印。
 僕は急いでみふだちゃんを追いかけた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

~最弱のスキルコレクター~ スキルを無限に獲得できるようになった元落ちこぼれは、レベル1のまま世界最強まで成り上がる

僧侶A
ファンタジー
沢山のスキルさえあれば、レベルが無くても最強になれる。 スキルは5つしか獲得できないのに、どのスキルも補正値は5%以下。 だからレベルを上げる以外に強くなる方法はない。 それなのにレベルが1から上がらない如月飛鳥は当然のように落ちこぼれた。 色々と試行錯誤をしたものの、強くなれる見込みがないため、探索者になるという目標を諦め一般人として生きる道を歩んでいた。 しかしある日、5つしか獲得できないはずのスキルをいくらでも獲得できることに気づく。 ここで如月飛鳥は考えた。いくらスキルの一つ一つが大したことが無くても、100個、200個と大量に集めたのならレベルを上げるのと同様に強くなれるのではないかと。 一つの光明を見出した主人公は、最強への道を一直線に突き進む。 土曜日以外は毎日投稿してます。

荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました

夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。 スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。 ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。 驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。 ※カクヨムで先行配信をしています。

趣味で人助けをしていたギルマス、気付いたら愛の重い最強メンバーに囲まれていた

歩く魚
ファンタジー
働きたくない元社畜、異世界で見つけた最適解は――「助成金で生きる」ことだった。 剣と魔法の世界に転生したシンは、冒険者として下積みを積み、ついに夢を叶える。 それは、国家公認の助成金付き制度――ギルド経営によって、働かずに暮らすこと。 そして、その傍で自らの歪んだ性癖を満たすため、誰に頼まれたわけでもない人助けを続けていたがーー 「ご命令と解釈しました、シン様」 「……あなたの命、私に預けてくれるんでしょ?」 次第にギルドには、主人公に執着するメンバーたちが集まり始め、気がつけばギルドは、愛の重い最強集団になっていた。

底辺動画主、配信を切り忘れてスライムを育成していたらバズった

椎名 富比路
ファンタジー
ダンジョンが世界じゅうに存在する世界。ダンジョン配信業が世間でさかんに行われている。 底辺冒険者であり配信者のツヨシは、あるとき弱っていたスライムを持ち帰る。 ワラビと名付けられたスライムは、元気に成長した。 だがツヨシは、うっかり配信を切り忘れて眠りについてしまう。 翌朝目覚めると、めっちゃバズっていた。

現世にダンジョンができたので冒険者になった。

盾乃あに
ファンタジー
忠野健人は帰り道に狼を倒してしまう。『レベルアップ』なにそれ?そして周りはモンスターだらけでなんとか倒して行く。

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

スキルハンター~ぼっち&ひきこもり生活を配信し続けたら、【開眼】してスキルの覚え方を習得しちゃった件~

名無し
ファンタジー
 主人公の時田カケルは、いつも同じダンジョンに一人でこもっていたため、《ひきこうもりハンター》と呼ばれていた。そんなカケルが動画の配信をしても当たり前のように登録者はほとんど集まらなかったが、彼は現状が楽だからと引きこもり続けていた。そんなある日、唯一見に来てくれていた視聴者がいなくなり、とうとう無の境地に達したカケル。そこで【開眼】という、スキルの覚え方がわかるというスキルを習得し、人生を大きく変えていくことになるのだった……。

異世界へ転生した俺が最強のコピペ野郎になる件

おおりく
ファンタジー
高校生の桜木 悠人は、不慮の事故で命を落とすが、神のミスにより異世界『テラ・ルクス』で第二の生を得る。彼に与えられたスキルは、他者の能力を模倣する『コピーキャット』。 最初は最弱だった悠人だが、光・闇・炎・氷の属性と、防御・知識・物理の能力を次々とコピーし、誰も成し得なかった多重複合スキルを使いこなす究極のチートへと進化する! しかし、その異常な強さは、悠人を巡る三人の美少女たちの激しい争奪戦を引き起こすことになる。

処理中です...