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9イライジャ
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(イライジャ視点)
「…出かけます。あとはお二人でどうぞ。少し気分転換に行ってまいります。私も友人とたまには楽しんできてもよろしいですよね…。」
「…泣いているのかグレース...?…どこに行くんだ…?誰と…?」
喚き続けるゾーイと困惑している私が言い合いを始めてから、グレースが静かにそう口にした。嫌な予感しかしなかった。
グレースにどう詫びたらいいか、そしてゾーイの歪んだ本音にどう対処したらいいかと困惑し立ちすくむ私の横を、グレースはすり抜けて屋敷を出て行った。
ハッと我に返って追いかけたが、グレースは屋敷を出てしまった後だった。
妻のことなのに彼女がどこに行ったのかなんて私には皆目見当もつかなかった…
冷や汗と共に後悔に激しく襲われた全身が震えだしそうになるのを何とか耐えた。
―――グレースが泣いていた…
一度も見たこともないデイドレスに身に包んで。見たこともない宝飾品を身に着けて。それのどれもが妻にとてもよく似合っていた。きっと嫁入りと共に持参したものだろう。ゾーイに会いに行って日を跨いで帰宅した私に幻滅したのだろうか。
きっと私が今日帰ってきたらすぐにでも出かけられるようにしていたのだろう。もう私の顔なんて見たくないのかもしれない。こんな結婚生活が嫌になってしまったと言われても私には弁論のしようもない。
こんな時なのに、これから妻が時間を過ごす友人というのが誰なのか、あんな美しいグレースと共に過ごす、まだ会ったこともない人物に嫉妬心が沸き上がった。
実は自分が望んでしまったがため、こんな遠くに突然嫁ぐことになったグレースには悪いと思っている。それでも私はグレースのことを私は心から愛しているのだ。
いまだ政略結婚だと思い込んでいるであろうグレースに、この結婚に至った経緯を説明できていない。愛しさ余って直視できず、話しかけるだけで心拍が上がりきってしまう。
情けない私は結婚式でさえも綺麗だのひとことさえ告げられず、閨でもグレースが愛おしすぎて緊張してしまう始末だ。何ならグレースを喜ばせる前に果ててしまうし、嫌われたくない一心で気持ちと裏腹にあっさりと終らせてしまっている。
グレースにやさしい言葉も何もかけてやれない。仕事とゾーイに時間を取られて、妻と一緒に食事をとれない日が続き、実はかなり落ち込んでいるなんて情けなさすぎて、グレースには知られたくなかった。
グレースをどうしても妻にしたくて、ほかにもグレースを妻にと狙っていた男たちから掻っ攫うようにして奔走し、やっとのことでグレースを妻にした。これで毎日グレースと共に時間を過ごせると、本当に嬉しくて仕方なかったのに…。
蓋を開けてみれば私は何一つ、私の重たすぎる気持ちをグレースに伝える勇気もなければ、なんならグレースを日に日に悲しませて奈落の底につき落としてしまった。
遠く知らない土地に一人で嫁いで来て、女主人として頑張るグレースを私が夫として支えるべきなのは分かっている。
しかし情けない私は幼馴染のゾーイの面倒をみつつ仕事をこなすと、グレースと過ごす時間を捻出できないままでいる。
いつも慌ててグレースの元に戻ってもタイミングが合わなかったり、もう眠ってしまった後なのだ。
ああ、なぜ私はあんなにもゾーイの面倒を見なければと使命感に燃えていたのだろう。ただの幼馴染なのだ。一番にグレースとのことを考えなければならなかったというのに。
素直にグレースが愛おしすぎて、緊張してうまく接することができないのだとグレース伝えるべきだと昔から使えてくれている執事長に言われていたのに、その勇気が持てなかった。
グレースが好む色も、食べ物も、趣味も未だに私はよくわかっていない。
人づてに聞いただけで本人からは直接聞いていないのだから。
そしてこの屋敷の中でグレースが落ち込んだ際に足を向ける場所が執務室だと聞いて、夫として自分自身が情けなくなってしまった。
夫である自分の元ではなくて執務室に行かざるを得ないグレースの心境と、自分の不甲斐なさに頭を抱えた。
グレースが泣いていた…
私がグレースを泣かせてしまった…
私が…
私が間違っていたから…。
ゾーイが違う女に見えてきた。
ゾーイに構うべきではなかった。
私が…私が…グレースを泣かせてせてしまった……
「…出かけます。あとはお二人でどうぞ。少し気分転換に行ってまいります。私も友人とたまには楽しんできてもよろしいですよね…。」
「…泣いているのかグレース...?…どこに行くんだ…?誰と…?」
喚き続けるゾーイと困惑している私が言い合いを始めてから、グレースが静かにそう口にした。嫌な予感しかしなかった。
グレースにどう詫びたらいいか、そしてゾーイの歪んだ本音にどう対処したらいいかと困惑し立ちすくむ私の横を、グレースはすり抜けて屋敷を出て行った。
ハッと我に返って追いかけたが、グレースは屋敷を出てしまった後だった。
妻のことなのに彼女がどこに行ったのかなんて私には皆目見当もつかなかった…
冷や汗と共に後悔に激しく襲われた全身が震えだしそうになるのを何とか耐えた。
―――グレースが泣いていた…
一度も見たこともないデイドレスに身に包んで。見たこともない宝飾品を身に着けて。それのどれもが妻にとてもよく似合っていた。きっと嫁入りと共に持参したものだろう。ゾーイに会いに行って日を跨いで帰宅した私に幻滅したのだろうか。
きっと私が今日帰ってきたらすぐにでも出かけられるようにしていたのだろう。もう私の顔なんて見たくないのかもしれない。こんな結婚生活が嫌になってしまったと言われても私には弁論のしようもない。
こんな時なのに、これから妻が時間を過ごす友人というのが誰なのか、あんな美しいグレースと共に過ごす、まだ会ったこともない人物に嫉妬心が沸き上がった。
実は自分が望んでしまったがため、こんな遠くに突然嫁ぐことになったグレースには悪いと思っている。それでも私はグレースのことを私は心から愛しているのだ。
いまだ政略結婚だと思い込んでいるであろうグレースに、この結婚に至った経緯を説明できていない。愛しさ余って直視できず、話しかけるだけで心拍が上がりきってしまう。
情けない私は結婚式でさえも綺麗だのひとことさえ告げられず、閨でもグレースが愛おしすぎて緊張してしまう始末だ。何ならグレースを喜ばせる前に果ててしまうし、嫌われたくない一心で気持ちと裏腹にあっさりと終らせてしまっている。
グレースにやさしい言葉も何もかけてやれない。仕事とゾーイに時間を取られて、妻と一緒に食事をとれない日が続き、実はかなり落ち込んでいるなんて情けなさすぎて、グレースには知られたくなかった。
グレースをどうしても妻にしたくて、ほかにもグレースを妻にと狙っていた男たちから掻っ攫うようにして奔走し、やっとのことでグレースを妻にした。これで毎日グレースと共に時間を過ごせると、本当に嬉しくて仕方なかったのに…。
蓋を開けてみれば私は何一つ、私の重たすぎる気持ちをグレースに伝える勇気もなければ、なんならグレースを日に日に悲しませて奈落の底につき落としてしまった。
遠く知らない土地に一人で嫁いで来て、女主人として頑張るグレースを私が夫として支えるべきなのは分かっている。
しかし情けない私は幼馴染のゾーイの面倒をみつつ仕事をこなすと、グレースと過ごす時間を捻出できないままでいる。
いつも慌ててグレースの元に戻ってもタイミングが合わなかったり、もう眠ってしまった後なのだ。
ああ、なぜ私はあんなにもゾーイの面倒を見なければと使命感に燃えていたのだろう。ただの幼馴染なのだ。一番にグレースとのことを考えなければならなかったというのに。
素直にグレースが愛おしすぎて、緊張してうまく接することができないのだとグレース伝えるべきだと昔から使えてくれている執事長に言われていたのに、その勇気が持てなかった。
グレースが好む色も、食べ物も、趣味も未だに私はよくわかっていない。
人づてに聞いただけで本人からは直接聞いていないのだから。
そしてこの屋敷の中でグレースが落ち込んだ際に足を向ける場所が執務室だと聞いて、夫として自分自身が情けなくなってしまった。
夫である自分の元ではなくて執務室に行かざるを得ないグレースの心境と、自分の不甲斐なさに頭を抱えた。
グレースが泣いていた…
私がグレースを泣かせてしまった…
私が…
私が間違っていたから…。
ゾーイが違う女に見えてきた。
ゾーイに構うべきではなかった。
私が…私が…グレースを泣かせてせてしまった……
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