待つだけだった私にさようなら ー私だけを見てほしかったー

梅雨の人

文字の大きさ
15 / 18

15

「まあ…グレース様だわ…フォンテーヌ伯爵とご一緒よ…ご夫婦とても仲が良ろしいのね。お二人ともとてもお幸せそうだわ。…やはり噂なんてあてにはならないわね…」 
「まあ…本当に…あのフォンテーヌ伯爵が…微笑んでらっしゃるだなんて…」 


時折、このような声がちらほらと聞こえてまいります。 

「グレース...すまなかった。君にはつらい思いをさせてしまっていたんだな…」 
「イライジャ様…もう終わった話ですので…あっ…」

あっという間に、エスコートしている反対の手が私の腰に回ってきて、ふわりと抱きしめられておりました。 
 
「まぁっ…フォンテーヌ伯爵ったらあんなところで…羨ましいわね…グレース様のことをあんなに大事になさっておられるだなんて…」 
「情熱的だわ...グレース様が羨ましいわ…私の夫なんて今頃愛人のところよ…はぁっ…まさかあのフォンテーヌ伯爵があんな方だなんて…よっぽどグレース様がお大事なのね…」 
「そうね…でもわかるわ。グレース様って素敵な方だもの...」

花々が咲き乱れる王立植物園の真ん中で抱擁する私たち夫婦に、周囲の方々が生暖かい目を向けているのを感じます。 


「イライジャ様ったら…」 

「…ああ…すまないこんなところで。柄にもなく…その…早く噂を払しょくするにはこうするのが一番だと思ってだな…その…違う、だって仕方ないだろう?君があまりにも可愛いからだな…」 

耳まで真っ赤にして言い訳をしていらっしゃる旦那様が愛おしくてなりません。 

「ふふふっ…」 

「愛してるよグレース...」 

性懲りもなく真っ赤な顔をしたイライジャ様に触れるだけの口づけをおくられたのでした。 

ーーーー

「お帰りなさいませ、旦那様、奥様。」 

ディナーをレストランで頂いてから帰宅したのは深夜に近い時間でした。 

「疲れさせてしまっただろうか、グレース?その…今日はたのしかっただろうか?」 

「とても楽しかったです、ありがとうございます。イライジャ様…」 

「ああ、そうか。良かった…じゃあ…お休みグレース」 

「疲れておりませんので…いつものように私に触れて下さいませんか…イライジャ様…」 

「ああ…グレース...ありがとう…愛してるよ…」 

 
今日も旦那様が私に触れて下さいます。それが本当に嬉しくて愛おしくてたまらないのです。
大きな体に私を包み込むようにしてくださる旦那様の腕の中で一つに重なり、互いの想いを伝えることが出来るのはなんてしあわせなことなのでしょう。

ゆっくりと、朝になってから目覚め、旦那様と一緒に朝食を頂ける日々が続いております。



「グレース、もう食べないのかい?」
「食欲がなくて…うっ…」
「グレース?!大変だ!」

吐き気が急に襲ってきて、苦しそうにする私の周りでは旦那様はじめ使用人の皆が大慌てで動き回っております。
それから寝台に寝かされた私の手を心配した旦那様がぎゅっと握り締めて寄り添ってくれております。


「おめでとうございます、ご懐妊です。二か月といったところでしょう。」

「それはほんとうかっ!グレース!!!なんてことだっ…ああっ…グレースッ!!」
ギュッと私を抱きしめる旦那様に私も腕を回して喜びを分かち合いました。

あなたにおすすめの小説

【完結】私よりも、病気(睡眠不足)になった幼馴染のことを大事にしている旦那が、嘘をついてまで居候させたいと言い出してきた件

よどら文鳥
恋愛
※あらすじにややネタバレ含みます 「ジューリア。そろそろ我が家にも執事が必要だと思うんだが」 旦那のダルムはそのように言っているが、本当の目的は執事を雇いたいわけではなかった。 彼の幼馴染のフェンフェンを家に招き入れたかっただけだったのだ。 しかし、ダルムのズル賢い喋りによって、『幼馴染は病気にかかってしまい助けてあげたい』という意味で捉えてしまう。 フェンフェンが家にやってきた時は確かに顔色が悪くてすぐにでも倒れそうな状態だった。 だが、彼女がこのような状況になってしまっていたのは理由があって……。 私は全てを知ったので、ダメな旦那とついに離婚をしたいと思うようになってしまった。 さて……誰に相談したら良いだろうか。

いくつもの、最期の願い

しゃーりん
恋愛
エステルは出産後からずっと体調を崩したままベッドで過ごしていた。 夫アイザックとは政略結婚で、仲は良くも悪くもない。 そんなアイザックが屋敷で働き始めた侍女メイディアの名を口にして微笑んだ時、エステルは閃いた。 メイディアをアイザックの後妻にしよう、と。 死期の迫ったエステルの願いにアイザックたちは応えるのか、なぜエステルが生前からそれを願ったかという理由はエステルの実妹デボラに関係があるというお話です。

結婚記念日をスルーされたので、離婚しても良いですか?

秋月一花
恋愛
 本日、結婚記念日を迎えた。三周年のお祝いに、料理長が腕を振るってくれた。私は夫であるマハロを待っていた。……いつまで経っても帰ってこない、彼を。  ……結婚記念日を過ぎてから帰って来た彼は、私との結婚記念日を覚えていないようだった。身体が弱いという幼馴染の見舞いに行って、そのまま食事をして戻って来たみたいだ。  彼と結婚してからずっとそう。私がデートをしてみたい、と言えば了承してくれるものの、当日幼馴染の女性が体調を崩して「後で埋め合わせするから」と彼女の元へ向かってしまう。埋め合わせなんて、この三年一度もされたことがありませんが?  もう我慢の限界というものです。 「離婚してください」 「一体何を言っているんだ、君は……そんなこと、出来るはずないだろう?」  白い結婚のため、可能ですよ? 知らないのですか?  あなたと離婚して、私は第二の人生を歩みます。 ※カクヨム様にも投稿しています。

もう終わってますわ

こもろう
恋愛
聖女ローラとばかり親しく付き合うの婚約者メルヴィン王子。 爪弾きにされた令嬢エメラインは覚悟を決めて立ち上がる。

王家の面子のために私を振り回さないで下さい。

しゃーりん
恋愛
公爵令嬢ユリアナは王太子ルカリオに婚約破棄を言い渡されたが、王家によってその出来事はなかったことになり、結婚することになった。 愛する人と別れて王太子の婚約者にさせられたのに本人からは避けされ、それでも結婚させられる。 自分はどこまで王家に振り回されるのだろう。 国王にもルカリオにも呆れ果てたユリアナは、夫となるルカリオを蹴落として、自分が王太女になるために仕掛けた。 実は、ルカリオは王家の血筋ではなくユリアナの公爵家に正統性があるからである。 ユリアナとの結婚を理解していないルカリオを見限り、愛する人との結婚を企んだお話です。

初恋の相手と結ばれて幸せですか?

豆狸
恋愛
その日、学園に現れた転校生は私の婚約者の幼馴染で──初恋の相手でした。

どう見ても貴方はもう一人の幼馴染が好きなので別れてください

ルイス
恋愛
レレイとアルカは伯爵令嬢であり幼馴染だった。同じく伯爵令息のクローヴィスも幼馴染だ。 やがてレレイとクローヴィスが婚約し幸せを手に入れるはずだったが…… クローヴィスは理想の婚約者に憧れを抱いており、何かともう一人の幼馴染のアルカと、婚約者になったはずのレレイを比べるのだった。 さらにはアルカの方を優先していくなど、明らかにおかしな事態になっていく。 どう見てもクローヴィスはアルカの方が好きになっている……そう感じたレレイは、彼との婚約解消を申し出た。 婚約解消は無事に果たされ悲しみを持ちながらもレレイは前へ進んでいくことを決心した。 その後、国一番の美男子で性格、剣術も最高とされる公爵令息に求婚されることになり……彼女は別の幸せの一歩を刻んでいく。 しかし、クローヴィスが急にレレイを溺愛してくるのだった。アルカとの仲も上手く行かなかったようで、真実の愛とか言っているけれど……怪しさ満点だ。ひたすらに女々しいクローヴィス……レレイは冷たい視線を送るのだった。 「あなたとはもう終わったんですよ? いつまでも、キスが出来ると思っていませんか?」

あなたの隣は私ではないけれど、それでも好きでいてもいいですか、レオナルド様

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢エリアーナには、三年間ずっと抱えてきた秘密がある。 婚約者であるヴァルフォード公爵・レオナルドへの、誰にも言えない恋心だ。 しかし彼の隣にいるのは、いつも幼馴染の伯爵令嬢・ソフィア。 儚げな笑顔と上目遣いで男性を虜にするあざとい彼女に、レオナルドも例外ではないようで—— 「レオ、私のこと嫌いにならないでね?」 「……そんなことにはならない」 また始まった二人の世界。