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18 最終話
ゾーイ様が屋敷を訪ねてきたあの日、旦那様はゾーイ様を冷たく追い返してしまいました。
『これで本当によろしかったのでしょうか…』
そう尋ねた私を、旦那様が安心させるかのようにふわりと抱きしめて下さいました。
『あれでよかったんだよ。』
優しい旦那様があそこまでなさったのですから、心が痛まなかったわけがないでしょうに。
そのような時でも、旦那様は私を労わるように心を落ち着かせようと側にいて下さいました。
ーーーー
旦那様と心を寄り添うことが出来るようになって、幸せな日々を過ごす中で、あの日のことをふと思い出しておりました。
「旦那様」
「グレース...」
私はあれから旦那様に慰められ寄り添われるばかりでした。そう思うと無意識のうちに旦那様をぎゅっと抱きしめずにはいられません。
「旦那様…愛しております…」
私のその言葉に、私を包み込む旦那様の体がわずかに震えだします。
「ありがとうグレース。私も君をとても愛している…やっと君にそう言ってもらえたっ…」
口づけは旦那様の涙の味がしました。
私たちが引き抜いた薔薇はその後、再び旦那様と一緒に植え替えました。
それからというもの、時折旦那様と共にお出かけしては一緒に花を選んで買って帰っております。旦那様と一緒に花を庭に植えるようになって、以前よりも旦那様との散歩の際に会話も増えて有意義な時間を過ごせております。。
「綺麗な花が咲いてよかった…」
私が引き抜いた薔薇の花が綺麗に咲いてくれてほっと胸をなでおろします。
旦那様が心なしかぎゅっと私を引き寄せるようにしてくださいました。私の腰にまわした腕に熱が伝わってきます。
「一度君を見かけたことがあるんだ。…ずっと遠くから見つめることしか出来なかったけど。一目で君を妻にしたいと思ってしまって、その後はそれはあわててあちこち駆け回ったよ。それで折角君を妻にできたのに、君と結婚したばかりの頃は勇気がなくて君に寂しい思いをさせてしまった。あの頃の自分が情けないよ。」
「 そんなことがあっただなんて知りませんでしたわ。ただの政略結婚だとばかり...」
「君が私たちの結婚を政略的なものだと思っていることには気が付いていたよ。この話をなかなか君にできなくて申し訳なかった。いまだに君のそばにいたら心臓が持たないのではと感じる時もあるんだ。君が私に向けてくれる眼差しが愛おしすぎて,未だに私は君が私にしてくれている以上に、君を幸せに出来ているのか自信がなくなるときがあるよ。…私は、君を幸せに出来てるかい、グレース?」
「イライジャ様…私はとても…とても幸せです。私も…本当にイライジャ様を幸せにできているでしょうか…?」
「それはもう…この上なく…」
たまらないとばかりに唇を合わせてくるイライジャ様が愛おしくてたまりません。
「…一緒に植えたこの薔薇の近くにまた君の好きな花を植えよう。君の好きな花をこれからも一緒に植えて行こう。そうしてこの庭を君と毎日一緒に歩きながらこうして時間を過ごすんだ。想像するだけで毎日がとても楽しみになってきたよ…来年からは三人でこうして過ごすんだ。ああ…とても幸せだ…」
「私も…とても幸せです。」
「愛してるよ、グレース。君に私を愛してるともっと伝えてもらえるように私はこれからも頑張るからね…」
小さな声でそう囁いた旦那様のその声は、私の耳にしっかり届いておりました。
大きくて逞しい腕の中で、この幸せがずっと続くことを心の底から祈ったのでした。
「どうか、この幸せがずっと続きますように…」
【完】
ありがとうございました。
新作連載はじめました。「椿の花の咲くころにーずっと尽くしてきたけど彼の選んだのは別の女性でした。だから私自身を大切にしたら幸せになりましたー」です。相変わらず長いタイトルです。よろしければどうぞご覧になってください。
『これで本当によろしかったのでしょうか…』
そう尋ねた私を、旦那様が安心させるかのようにふわりと抱きしめて下さいました。
『あれでよかったんだよ。』
優しい旦那様があそこまでなさったのですから、心が痛まなかったわけがないでしょうに。
そのような時でも、旦那様は私を労わるように心を落ち着かせようと側にいて下さいました。
ーーーー
旦那様と心を寄り添うことが出来るようになって、幸せな日々を過ごす中で、あの日のことをふと思い出しておりました。
「旦那様」
「グレース...」
私はあれから旦那様に慰められ寄り添われるばかりでした。そう思うと無意識のうちに旦那様をぎゅっと抱きしめずにはいられません。
「旦那様…愛しております…」
私のその言葉に、私を包み込む旦那様の体がわずかに震えだします。
「ありがとうグレース。私も君をとても愛している…やっと君にそう言ってもらえたっ…」
口づけは旦那様の涙の味がしました。
私たちが引き抜いた薔薇はその後、再び旦那様と一緒に植え替えました。
それからというもの、時折旦那様と共にお出かけしては一緒に花を選んで買って帰っております。旦那様と一緒に花を庭に植えるようになって、以前よりも旦那様との散歩の際に会話も増えて有意義な時間を過ごせております。。
「綺麗な花が咲いてよかった…」
私が引き抜いた薔薇の花が綺麗に咲いてくれてほっと胸をなでおろします。
旦那様が心なしかぎゅっと私を引き寄せるようにしてくださいました。私の腰にまわした腕に熱が伝わってきます。
「一度君を見かけたことがあるんだ。…ずっと遠くから見つめることしか出来なかったけど。一目で君を妻にしたいと思ってしまって、その後はそれはあわててあちこち駆け回ったよ。それで折角君を妻にできたのに、君と結婚したばかりの頃は勇気がなくて君に寂しい思いをさせてしまった。あの頃の自分が情けないよ。」
「 そんなことがあっただなんて知りませんでしたわ。ただの政略結婚だとばかり...」
「君が私たちの結婚を政略的なものだと思っていることには気が付いていたよ。この話をなかなか君にできなくて申し訳なかった。いまだに君のそばにいたら心臓が持たないのではと感じる時もあるんだ。君が私に向けてくれる眼差しが愛おしすぎて,未だに私は君が私にしてくれている以上に、君を幸せに出来ているのか自信がなくなるときがあるよ。…私は、君を幸せに出来てるかい、グレース?」
「イライジャ様…私はとても…とても幸せです。私も…本当にイライジャ様を幸せにできているでしょうか…?」
「それはもう…この上なく…」
たまらないとばかりに唇を合わせてくるイライジャ様が愛おしくてたまりません。
「…一緒に植えたこの薔薇の近くにまた君の好きな花を植えよう。君の好きな花をこれからも一緒に植えて行こう。そうしてこの庭を君と毎日一緒に歩きながらこうして時間を過ごすんだ。想像するだけで毎日がとても楽しみになってきたよ…来年からは三人でこうして過ごすんだ。ああ…とても幸せだ…」
「私も…とても幸せです。」
「愛してるよ、グレース。君に私を愛してるともっと伝えてもらえるように私はこれからも頑張るからね…」
小さな声でそう囁いた旦那様のその声は、私の耳にしっかり届いておりました。
大きくて逞しい腕の中で、この幸せがずっと続くことを心の底から祈ったのでした。
「どうか、この幸せがずっと続きますように…」
【完】
ありがとうございました。
新作連載はじめました。「椿の花の咲くころにーずっと尽くしてきたけど彼の選んだのは別の女性でした。だから私自身を大切にしたら幸せになりましたー」です。相変わらず長いタイトルです。よろしければどうぞご覧になってください。
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