87 / 100
エラルド
しおりを挟む
やることが莫大すぎて最近はずっと執務室で寝泊まりをするようになった。ジュリアがどれだけ私を親身になって手伝ってくれていたのかが身に染みる毎日を過ごすことになった。
瞳を閉じるとまるでジュリアが、『エラルド、風邪をひくわ。無理をしすぎね。部屋に戻りましょう?』とふわりと私に微笑んでいるのが聞こえるようでそれだけでつかの間の幸せに浸れた。
夜、どうしても寝付けないと私の足は自然とジュリアの部屋に進むようになった。
ジュリアの部屋はあまりり物がなく寂しいものだ。
ロレッタの部屋は所せましにドレスや装飾品が並べたてられているというのに。
飾りっ気のない簡素な空間だというのにジュリアの部屋で過ごすと息が楽になる気分がして、いつしかジュリアの寝台で寝るようになっていた。
夢を見た。
『エラルド』
私を振り返ったジュリアが私を呼んでふわりと微笑んだ。
いつからだろう、ジュリアが私のことを『陛下』と温度のこもらない表情で呼ぶようになったのは。
やっと私の名前をジュリアが呼んでくれたと、喜びで全身が浮きだった私を振り返ったジュリアがふわりと微笑んだ。
私は急いでジュリアのもとに駆け付ける。ジュリアも私の方に歩み寄ってくる。互いに近づくと、幼いジュリアの表情に隠されている疲れや悲しみがよく見えるような気がしてジュリアの頬を両手で優しく包み込んだ。
『どうしてそんな泣きそうな顔してるの?大丈夫よ、ずっとエラルドの側には私がいるんだから。ずっとよ。エラルドが辛いなら私も一緒に頑張るから、ね?泣かないで、エラルド?』
ジュリアが心配なのに、そんなときでもジュリアは私を心配してくれた。ああ、そういえはいつもそうだったじゃないか。優しいジュリア、愛おしいジュリア…なぜ忘れていたんだろう…。
ハンカチで私の頬を拭うジュリアに何か言いたいのにうまく言葉が出てこない。
『ご…ごめ…ごめん…ジュリア…』
うずくまる私をずっと抱きしめてくれるジュリアは本当に暖かかった。
その後、夢から覚めた私はしばらく呆然として動くことが出来なかった。
「兄上、お加減はいかがですか?」
「カスト、いいところに来た。」
そして私は意を決しに立ち上がった。
去っていった側近に当て至急手紙をしたためた後、そのまま執務室に向かい、これまで自分に意見してきていた者たちを思い浮かべていた。
ジュリアの公爵家、宰相の侯爵家以外、派閥に属していない家の者で優秀なものを頭に思い浮かべる。
三日後、私のもとに元の側近たちがやってきた。
瞳を閉じるとまるでジュリアが、『エラルド、風邪をひくわ。無理をしすぎね。部屋に戻りましょう?』とふわりと私に微笑んでいるのが聞こえるようでそれだけでつかの間の幸せに浸れた。
夜、どうしても寝付けないと私の足は自然とジュリアの部屋に進むようになった。
ジュリアの部屋はあまりり物がなく寂しいものだ。
ロレッタの部屋は所せましにドレスや装飾品が並べたてられているというのに。
飾りっ気のない簡素な空間だというのにジュリアの部屋で過ごすと息が楽になる気分がして、いつしかジュリアの寝台で寝るようになっていた。
夢を見た。
『エラルド』
私を振り返ったジュリアが私を呼んでふわりと微笑んだ。
いつからだろう、ジュリアが私のことを『陛下』と温度のこもらない表情で呼ぶようになったのは。
やっと私の名前をジュリアが呼んでくれたと、喜びで全身が浮きだった私を振り返ったジュリアがふわりと微笑んだ。
私は急いでジュリアのもとに駆け付ける。ジュリアも私の方に歩み寄ってくる。互いに近づくと、幼いジュリアの表情に隠されている疲れや悲しみがよく見えるような気がしてジュリアの頬を両手で優しく包み込んだ。
『どうしてそんな泣きそうな顔してるの?大丈夫よ、ずっとエラルドの側には私がいるんだから。ずっとよ。エラルドが辛いなら私も一緒に頑張るから、ね?泣かないで、エラルド?』
ジュリアが心配なのに、そんなときでもジュリアは私を心配してくれた。ああ、そういえはいつもそうだったじゃないか。優しいジュリア、愛おしいジュリア…なぜ忘れていたんだろう…。
ハンカチで私の頬を拭うジュリアに何か言いたいのにうまく言葉が出てこない。
『ご…ごめ…ごめん…ジュリア…』
うずくまる私をずっと抱きしめてくれるジュリアは本当に暖かかった。
その後、夢から覚めた私はしばらく呆然として動くことが出来なかった。
「兄上、お加減はいかがですか?」
「カスト、いいところに来た。」
そして私は意を決しに立ち上がった。
去っていった側近に当て至急手紙をしたためた後、そのまま執務室に向かい、これまで自分に意見してきていた者たちを思い浮かべていた。
ジュリアの公爵家、宰相の侯爵家以外、派閥に属していない家の者で優秀なものを頭に思い浮かべる。
三日後、私のもとに元の側近たちがやってきた。
233
あなたにおすすめの小説
隣の芝生は青いのか
夕鈴
恋愛
王子が妻を迎える日、ある貴婦人が花嫁を見て、絶望した。
「どうして、なんのために」
「子供は無知だから気付いていないなんて思い上がりですよ」
絶望する貴婦人に義息子が冷たく囁いた。
「自由な選択の権利を与えたいなら、公爵令嬢として迎えいれなければよかった。妹はずっと正当な待遇を望んでいた。自分の傍で育てたかった?復讐をしたかった?」
「なんで、どうして」
手に入らないものに憧れた貴婦人が仕掛けたパンドラの箱。
パンドラの箱として育てられた公爵令嬢の物語。
蔑ろにされた王妃と見限られた国王
奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています
国王陛下には愛する女性がいた。
彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。
私は、そんな陛下と結婚した。
国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。
でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。
そしてもう一つ。
私も陛下も知らないことがあった。
彼女のことを。彼女の正体を。
【完結】離縁ですか…では、私が出掛けている間に出ていって下さいね♪
山葵
恋愛
突然、カイルから離縁して欲しいと言われ、戸惑いながらも理由を聞いた。
「俺は真実の愛に目覚めたのだ。マリアこそ俺の運命の相手!」
そうですか…。
私は離婚届にサインをする。
私は、直ぐに役所に届ける様に使用人に渡した。
使用人が出掛けるのを確認してから
「私とアスベスが旅行に行っている間に荷物を纏めて出ていって下さいね♪」
【完結】長い眠りのその後で
maruko
恋愛
伯爵令嬢のアディルは王宮魔術師団の副団長サンディル・メイナードと結婚しました。
でも婚約してから婚姻まで一度も会えず、婚姻式でも、新居に向かう馬車の中でも目も合わせない旦那様。
いくら政略結婚でも幸せになりたいって思ってもいいでしょう?
このまま幸せになれるのかしらと思ってたら⋯⋯アレッ?旦那様が2人!!
どうして旦那様はずっと眠ってるの?
唖然としたけど強制的に旦那様の為に動かないと行けないみたい。
しょうがないアディル頑張りまーす!!
複雑な家庭環境で育って、醒めた目で世間を見ているアディルが幸せになるまでの物語です
全50話(2話分は登場人物と時系列の整理含む)
※他サイトでも投稿しております
ご都合主義、誤字脱字、未熟者ですが優しい目線で読んで頂けますと幸いです
※表紙 AIアプリ作成
【完結】好きです!あと何回言ったらわたしを好きになってくれますか?
たろ
恋愛
「貴方が好きです」
会うと必ず伝えるわたしの気持ち。
「ごめん、無理」
必ず返って来る答え。
わかっているんだけど、どうしても伝えたい。
だって時間がないの。
タイムリミットまであと数日。
わたしが彼に会えるのは。
両片思いのお話です。
たぶん5話前後で終わると思います。
愛を騙るな
篠月珪霞
恋愛
「王妃よ、そなた一体何が不満だというのだ」
「………」
「贅を尽くした食事、ドレス、宝石、アクセサリー、部屋の調度も最高品質のもの。王妃という地位も用意した。およそ世の女性が望むものすべてを手に入れているというのに、何が不満だというのだ!」
王妃は表情を変えない。何を言っても宥めてもすかしても脅しても変わらない王妃に、苛立った王は声を荒げる。
「何とか言わぬか! 不敬だぞ!」
「……でしたら、牢に入れるなり、処罰するなりお好きに」
「い、いや、それはできぬ」
「何故? 陛下の望むままなさればよろしい」
「余は、そなたを愛しているのだ。愛するものにそのような仕打ち、到底考えられぬ」
途端、王妃の嘲る笑い声が響く。
「畜生にも劣る陛下が、愛を騙るなどおこがましいですわね」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる